タテ126ミリ、ヨコ119ミリという小さなサイズの青い表紙に、ゆるい服と帽子をかぶった4人が立っています。目を閉じていますが…なんだかとっても幸せそう。絵本を開く前から伝わってきます。
どうやら彼らは、とっても小さなサイズの家族。どのくらい小さいかというと、みんなの履くスリッパの片方の中に一家まるごとすっぽり入れちゃうくらい。
そして、彼らを説明する言葉はただひとつ、「ねむたいひとたち」。
ねむたいひとたちは、ねむれる場所さえあれば、どこでもいいのです。いつもとってもねむいんです。おねまきを着て、ナイトキャップをかぶって、あくびをして…。ねるまえには、とうさんが探してきたココアとクッキーで「ねるまえのスナック」をもぐもぐ。ココアをのんでいるうちに目はとろんとろん。とうさんも寝息をたてはじめて。
私たちは、いったいなにを見ているのでしょう。ねむたいひとたちがお休みする時間? それとも彼らの大事な仕事の時間?それとも可愛いあくび?…どちらでもいいですよね。大切なことは、かれらが部屋のどこかすみっこに住んでいるのかもしれないってこと。私たちも、かれらと一緒におやすみしましょうね、「すーすーくーくー」。
人生においての幸福とはなにか、特に誇張することなく、いつも淡々と問いかけてくれるゴフスタインの作品。この『ねむたいひとたち』は特に直接的で、誰にでも共感できて、とてつもなく愛らしい。子どもたちと一緒にかみしめたい一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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