絵本「だいすきなパパへ」の着想はある朝、とつぜん浮かんできました。
といっても、この本の多くの部分は、子ども時代の私の経験と似ています。
私はシングルマザーの母によって育てられ、創造力をはぐくむ環境で大きくなったのです。（両親は離婚して、父は国の反対側、つまり東海岸側に住んでいました）。
お話の舞台は、私が育った場所の近くにある、オレゴンの海岸をモデルにしました。ふねのアイディアは、現在住んでいるワシントンで見つけた、白茶けた流木流木からうまれました。流木にはとても心をひかれるのです。
そして私はずっと、自分の手でものを作ることが大好きでした。
つまり、私はとてもバークリーと似ているのです！　
――ジェシカ・バグリー

浜辺で流木をひろったことはありますか。
すべすべと白くなめらかに晒された流木が、かつては緑の葉をもつ樹木だったなんて遠い夢のよう。
ビーバーの子どものバークリーは、そんな流木で小舟をつくり、せっせと海のかなたへ流します。今はもう会えないパパのところへ届くようにと。
たいせつな人を失った心の穴に、のこされた者たちの時間がしずかにふりつもっていきます。
余白の多い物語です。みなさんがなにを読み、どんな思いを重ねたのかを、どうぞ聞かせてください。
――なかがわちひろ