
病におかされ、死のふちにいる大名の妻。唯一の心残りは妹のようにかわいがっていた側室のゆきこのことだった。妻の最後の願いにゆきこは…。二人をめぐるおぞましい因果。小泉八雲を絵本で読む。
ーーーー 小泉八雲とは? 小泉八雲こと英国名パトリック・ラフカディオ・ハーンは、一八五〇(嘉永三)年六月二十七日、ギリシアのイオニア諸島の一つレフカダ島に生まれました。アイルランド人軍医の父とギリシア人の母の次男でした。 移民として単身米国に渡ったハーンは、新聞記者、文芸評論家として実績をあげ、西インド諸島滞在を経て、一八九〇(明治二十三)年四月四日、来日を果たします。古き良き伝統や伝承を大切にする日本の風土に魅了されたハーンは、大学講師のかたわら独自の日本研究に邁進。セツ夫人との結婚を機に「小泉八雲」と改名して帰化。『怪談』『骨董』ほか数々の名著を著しました。 2025年のNHK朝ドラ「ばけばけ」でも話題に。

罪つくりな絵本です
とても罪つくりな大人の絵本です。
「因果ばなし」の基の話を知らないので、円城塔さんがどのように翻案したのかは解らないのですが、中川学さんをもってした世界は、なんとも艶容で、死を目前にした女の怨念と絡み合って読者の心を苦しめる作品になっています。
女性の嫉妬はかくも執念深いものなのでしょうか。
本妻であった女性は、これでは成仏できません。
人心を惑わしておいて、救いがないのが怪談でしょうか。
本妻が亡くなれば、代わりに妻となるゆきこが美しく描かれているだけに、何の因果があってゆきこは転落していくのか、小泉八雲の物語を確認したくなりました。
絵を描いた中川学さんが、浄土宗西山禅林寺派の僧侶であることも気になりました。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
|