- 紡木たく PICTURE BOOK
- 文・絵:紡木 たく
- 出版社:集英社
キラキラまぶしい絵と珠玉の言葉がつまった作者初の絵本。伝説の名作「瞬きもせず」と「ホットロード」から作者が絵とモノローグを厳選して生まれた、全く新しい世界です。 ひとつひとつのシーンが胸に迫ります。
●伝説の少女漫画が「PICTURE BOOK」としてよみがえる!
───私は10代の頃に紡木さんの作品を読んでいた世代なんです。特に「ホットロード」は、主人公の和希(かずき)の髪型を真似してみたりして(笑)。なので今回、「紡木たく PICTURE BOOK(ピクチャーブック)」が発売されると聞いて、すごく嬉しくて、他のスタッフとも盛り上がりました。8月には映画「ホットロード」も公開されましたし、すごくタイムリーですよね。
そうなんです。この絵本の出版には「ホットロード」の映画公開が重要なきっかけとなっています。ただ紡木さんは映画公開にあわせては、何もされない意向でした。でも私がこの企画の見本をお渡ししたところ、これだけは興味をもってくださって企画を受け取ってくださいました。ですから映画化という話題性をぬきにしても手に取っていただきたいです。
───『紡木たくPICTURE BOOK』では、「ホットロード」ともう1作、こちらも紡木さんの代表作である「瞬きもせず」がひとつの作品になっていますよね。「瞬きもせず」はコミックスでいうと7巻、「ホットロード」は4巻と、長い作品ですが、「PICTURE BOOK」では、短くまとめられていて、しかもそれがただのストーリーの抜粋ではなく、新たなメッセージを持つ内容になっていて、新鮮な気持ちで読むことができました。このような作りにするのは大変だったのではないですか?
───イラストもモノローグも全部連載時のままということは、カラーイラストも当時の原画を使ったんですか?
───本当にどのイラストもすごく透明感があって、美しいものばかりですね。イラストのセレクトで気をつけたことは、どんなところでしょうか?
紡木さんのセレクトは、顔のアップがほとんどないんですね。むしろキャラクターが風景の中にぽつんといたりする。そのように風景や情景が中心となっていて、あの時に見た風景、あの時に思った気持ちなどが、よみがえってくるような1ページ1ページになっています。そして厳密にストーリーを追うことをやめたので、何の拘束もなく、現在の自分の状況でその世界に入って行けます。昔を懐かしむこともあれば、今の自分へのメッセージにも聴こえてくる。その結果、元のストーリーを全く知らない方が読んでも魅力的な作品になっています。