- どんぐりむらのほんやさん
- 作:なかや みわ
- 出版社:Gakken
本の力で、子どもを元気にした本屋さんの店長さん、入院中の子を笑顔にした店員のこなろう…店員くるんも、「おはなし会」で頑張ります。素敵な本がたくさん登場します。その素敵な本とお客様との出会いのために、頑張る本屋さんのお仕事ぶりを描きます。
●5周年記念のテーマは本屋さん!
───シリーズ最初の『どんぐりむらのぼうしやさん』が発売されたのが5年前なんですね。4歳でこの絵本に出会った子が9歳になっていると思うと、月日の流れを感じます…。今回のテーマは「本屋さん」ということですが、なぜ、本屋さんを取り上げようと思ったんですか?
───「どんぐりむら」シリーズは、毎回、お仕事をされている方のところに伺って取材したり、たくさんの資料を読んで作品を作り上げることで有名ですが、今回もかなりの数の書店さんに取材に行ったのでしょうか?
はい。ひと口に「本屋さん」と言っても、大型書店さんや家族経営の町の小さな本屋さん、専門書店さんなど、本屋さんにもたくさんの種類がありますから。どんぐりむらにある本屋さんのイメージを作るために、まずは、いろんな形態の本屋さんに取材をしました。
───なかやさんは作家さんとしてサイン会であったり、ご自身で本を購入されるために本屋さんを訪れたり、本屋さんに行く回数は多い方だと思いますが、取材をしてみて発見したことなどありますか?
───本屋さんのタイプによって、大変なところもいろいろ違うんですね…。
でも、町の本屋さんは町の本屋さんなりに工夫を重ねて、独自の進化を遂げている所もありました。お客さんの好みを熟知して本を仕入れてオススメしたり、独自の視点で本の紹介冊子を作って、お客さんとのコミュニケーションの場として盛り上げている書店さんもあり…、そういうおはなしを伺って、すごく感動しました。
───本屋さんの取材で得たエピソードが、今回の『どんぐりむらのほんやさん』でもたっぷり生かされているんですね。
そうなんです。私としては、どんぐりむらにある本屋さんは、町の小さい本屋さんを考えていたのですが、取材で聞いた話や、本屋さん関連の本で得た知識から、どんぐりむらに合いそうなエピソードを選んで1冊にまとめました。でも、本屋さんは本当にいろんなエピソードがあって、最初32ページに収まりきらなかったんですよ。
───『どんぐりむらのどんぐりえん』でおはなしを伺ったときも、仕事の部分とキャラクターのエピソードを両立させておはなしを考えるのが大変だったとおっしゃっていましたよね。
書店さん自身や書店に関する本からヒントをいっぱいもらって、自分の伝えたい部分を、どうまとめるか、どんぐりの世界とマッチするように、どうストーリーを組むかという部分は、毎回、苦労の連続です。最終的に収まりきらないときは、編集者さんに頼んで、カットするエピソードを決めてもらって、調整したりします。自分だとカットできないので。
───そういう苦労をされて、今回の『どんぐりむらのほんやさん』も見事、完成されたんですね! 実際に出来上がったときはどう思いましたか?
実際にある仕事を取り上げているので、プロから見てどう思われるのか、毎回、すごく気になります。今回は特に、著者として関わりの深い職業であるので、書店員さんがどう思うのか、ドキドキですね。本屋さんなので、実際の本屋さんが観たときにどう思うかがちょっと怖いと思っているんです。
───元書店員の私ですが、読んでいて、現在の書店の姿をすごくとらえている部分もあり、どんぐりむらならではの本屋さんの形があり、すごく楽しく読ませていただきました!