絵本紹介
2022.09.06
外遊びができないほどモーレツな暑さが過ぎて、涼しさを感じられる日が増えてきました。元気に公園に戻ってきた子も多いかもしれません。今回は、秋の外遊びや散歩が楽しくなる絵本をセレクトしました。朝日新聞社の本の情報サイト「好書好日」の記事よりご紹介します。(文:好書好日編集部)
小さくなったさっちゃんが、どんぐりぼうしのお金で買い物に出かけるのは、魚市場や食べ物屋。並んでいるものをよく見ると、魚もたこ焼きもジュースもすべて、落ち葉や木の実でできています。絵本のアイデアは、作者・西原みのりさんの幼い頃の草花遊びがもとになっているそう。花でかんざしを作ったり、花の色水でジュース屋さんごっこをしたり。「そういう好きなものへの思いを、この絵本につめ込みました。本に出てくる落ち葉や木の実を見つけて、外で遊んでくれたらいいなと思っています」と語っています。
出版社からの内容紹介
さっちゃんが、ドングリのお馬さんに乗ってやってきたのは、なんとも不思議な「おちばいちば」。 木の実でつくったごちそうや、おちばのスカート、ずらりとならんだおちばの魚など、さっちゃんはにぎやかな市場を大満喫。 するとそこへあらわれたのは、大きなキツネ! はっぱを頭にのせると......。
『おちばいちば』を出版してから今年でちょうど10年を迎えますが、大きな災害が幾度もあったり、コロナ禍があったり、子どもたちをとりまく状況は変わったように思います。そんな中で、この絵本を通して、自然の中の遊びや、小さな生き物たちに思いを馳せる読者さんが変わらずにいてくれると聞いて、本当に嬉しいです。子どもが自分で新たなお店を考えて開店するのもいいですし、葉っぱのおさかなを作って部屋に飾ってもいいですし、絵本の世界で自由に遊んでもらえたら嬉しいですね。
(西原みのりさんのインタビューより)
この書籍を作った人
1983年、福岡県生まれ。九州産業大学芸術学部デザイン学科卒業。第6回ピンポイント絵本コンペにて優秀賞を受賞し、受賞作『いもむしれっしゃ』でデビュー。
主人公は、北欧の森でいろいろなものを集めるのが大好きな丸太の男の子・キュッパ。木の実に葉っぱ、片方だけの手ぶくろ、ひも、ネジなど、散歩に出かけるたびに落ちているものを次々と拾っていきます。それらを細かく分類し、展示して、ついに博物館を開くことに――。作者はノルウェーの絵本作家オーシル・カンスタ・ヨンセンさん。翻訳を担当した枇谷玲子さんによると、オーシルさん自身がキュッパのような人で、身の回りの草や花やボタンを集めて、自分のアトリエに並べているそうです。
出版社からの内容紹介
キュッパは丸太の男の子。いろいろなものを集めるのが大好き。キュッパは集めたものを分類して
展示しました。展示が終わると記録に残します。最後は芸術作品の出来上がり。
コロナ禍になってから遠くへ行けなくて、近所を徒歩や自転車で行ったり来たりする日が増えました。そんなとき、オーシルさんのように、身近なものを観察して愛おしめたら日常をもっと楽しめるだろうと思いました。キュッパになったつもりで歩いてみると、いままでと同じ公園に行っても、ここにこんな木が生えているんだと発見がありました。普段は遠くの町に憧れがちなのですが、すぐそばにもまだまだ通ったことのない道や、見過ごしてきたおもしろいものが溢れているのだと気づかされます。
(枇谷玲子さんのインタビューより)
この書籍を作った人
この書籍を作った人
「じっちょりん」とは、数ミリに満たない小さな体に虫のような触角がついた謎の生き物。パパ、ママ、兄、妹の4人家族で、どんぐりの帽子で作った「たねかばん」を背負い、「コンクリートのみち」や「かべのちいさななすきまのなか」に種を植えて回っています。作者のかとうあじゅさんが、歯磨きをしていたときにふと生まれたキャラクター。いわく「妖精でも虫でもこびとでもなくて『じっちょりん』という生き物です。小さい人間みたいな、アリみたいな、蜂みたいな、お花みたいな……いろんな生き物の要素が入っています」。
じっちょりんたちが歩くのは、私たち人間が暮らす街。絵本の中にはオオイヌノフグリ、カタバミなどの草花が細かく描き込まれています。街で見かけたとき、「じっちょりんが植えたのかな?」と想像すると、散歩が楽しくなりそうです。
出版社からの内容紹介
ちいさないきものじっちょりんは、人間の気付かないところでは、せっせと野の花の種を植えて歩きます。アスファルトの隙間や、電信柱の根本や・・・。雑草と呼ばれるような小さなきれいな花たちを愛でる気持ちが芽生えるあたたかな絵本です。
★この作品によせて、絵本作家・片山健さんからコメントをいただきました!
「春がくるのも なんだかうれしいのも みんなわずか数ミリのじっちょりんのおかげかもしれません。」
<作者のかとうあじゅさんより>
じっちょりんの目の前にはきっと道はないけれど、
自分達でつくった道を進んで生きています。
制作中に何度も壁にぶつかったりもしましたが、
最後まで完成する事ができたのは、
そんなじっちょりんの存在を尊敬していたからだと思います。
思い入れたっぷりのデビュー作となりました。
絵を描くときに気を付けたのは、ファンタジーと日常の描写のバランス。数ミリに満たない小さな生き物と人間を同じ画面に描くのがとても難しくて。それを補うために、草花や道などを丁寧に描いたり、読者が身近に感じられるような街並みを意識したり、じっちょりんの存在がリアルに感じられるように工夫しました。
(かとうあじゅさんのインタビューより)
この書籍を作った人
東京生まれ。幼いころの絵本が好きな気持ちのまま現在に至る。絵本ワークショップ「あとさき塾」出身。作品に「ただ よんだだけ」「なかよしスタンプがたまったら」(おはなしプーカ・学研)がある。「じっちょりん」シリーズは、『じっちょりんのあるくみち』、『じっちょりんのなつのいちにち』、『じっちょりんとおつきさま』、『じっちょりんのふゆのみち』(全て文溪堂)がある。