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穏やかな眠りを誘う、おやすみ前にオススメの絵本『ちいさなりすのエメラルド』 そのだえりさんインタビュー

緑の瞳のちいさなリスが、大好きな本を手に、動物たちの元を訪れるとってもかわいい絵本『ちいさなりすのエメラルド』は、おやすみ前のひとときにオススメのおはなしです。
作者のそのだえりさんは国際的な絵本作家の登竜門と言われている「ボローニャ国際絵本原画展」に入選し、フランスで初絵本を出版した絵本作家さん。
そのださんにこの絵本の生まれた経緯や、魅力的なキャラクターを生み出すきっかけについておはなしを伺いました。
絵本の原画展情報も載っていますので、最後までどうぞお楽しみください。

ちいさなりすのエメラルド
ちいさなりすのエメラルドの試し読みができます!
作:そのだ えり
出版社:文溪堂

大好きな本を読んでもらおうとするエメラルドですが、みんななかなか先に読み進んでくれません。困ったエメラルドでしたが・・・。

本屋さんでの出会いから生まれた物語

───まず目を引くのが、エメラルド色の表紙の真ん中に、本を抱えて、ちょこんと佇むりすの姿。この表紙を見ただけで、「かわいい絵本に違いない!」と思ったのですが、読みはじめると、想像していた以上にかわいくて……。どんな方がこのエメラルドのキャラクターを生み出したのか、お会いするのがとても楽しみでした。

ありがとうございます。エメラルドのキャラクターは、私と文溪堂の編集者さんがはじめて会った場所が関係しています。そこは本屋さん。なので、「本」がおはなしの鍵になって、物語が生まれました。

───本屋さんで編集者さんと出会って、絵本を作ることになったなんて、素敵ですね。

知り合いの書店員さんが、編集者さんに私のことを紹介してくれたんです。ちょうど『いじわるアイザック』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)が出版された時期で、編集者さんも私の絵のタッチを気に入ってくれて……。私も編集者さんと会った瞬間に、「この人と絵本を作りたい!」って思って、本屋さんから家に帰るまでに、ストーリーの大筋ができあがっていました。


最初の頃のラフ(下絵)を見せてもらいました。

───そんなに早く!? 今日はそのときの下絵(ラフ)を持ってきていただきました。最初からこんなに細かくラフを描くんですね。

このときは、エメラルドが物語の主人公として、しっかり動いてくれたので、あまり悩まず、ストーリーを描き進めることができました。

───主人公のエメラルドが、小さいながら、ちょっぴり背伸びをして、お姉さんの様にふるまっている姿がとても愛らしく感じました。

エメラルドは最初、うさぎの女の子にする予定だったんです。でも、うさぎに本を持たせたら、飛び跳ねたりできないように感じて、りすに変えてみました。そうしたら、今にも窓から出ていきそうな感じがしたので、「この子で決まり!」と(笑)。あとは、エメラルドが小さく見えるよう、出会う動物たちをくまやひつじなど、体の大きい動物にしたり、エメラルドが行きそうな場所のイメージを膨らませて物語を作っていきました。

───「このほん よんで くださらない?」と、動物たちに頼むときのエメラルドの言い方もとてもかわいらしいくて。こんな風にお願いされたら、喜んで絵本を読んであげたくなっちゃいますよね(笑)。こんなに愛らしいエメラルドのキャラクターにはモデルはいるのですか?

エメラルドには、今年7歳になる私の姪っ子が反映されていると思います。エメラルドのおはなしを作り始めたときはまだ3、4歳くらいだったのですが、小さい頃からとても自立心のある子なんです。いつだったか、彼女が我が家にご飯を食べに来たとき、子ども用の食器を用意したら、「もうお姉さんだから、大人用のでいい!」ってはっきり宣言して。その姿をみて、なんてしっかりしているんだろう!って、とても感動しました。

───しっかりした姪っ子さんの姿が、エメラルドのキャラクターに反映されているんですね。

でも、姪っ子は夜中に家を抜け出したりしませんから、エメラルドの方がおてんばかもしれませんね(笑)。

───そんなエメラルドと一緒に住んでいるのが、うさぎのガーネット。彼が夜、急な仕事で出かけてしまったことから、『ちいさなりすのエメラルド』の物語はスタートするのですが、ガーネットには誰かモデルとなる人はいるのですか?

ガーネットは、最初のストーリーを決めたときからすでに存在しているキャラクターで、私の無意識の産物なので、特にモデルはいないんです。ただ、お仕事は最初から決まっていて「調律師」。ピアノの音が正確に出るようにするプロフェッショナルです。実際に知り合いのピアノの調律師さんにも取材させていただいて、お仕事風景を見せてもらったこともあるんですよ。

───調律師さんなんですね! よく見ると、部屋の中にピアノもちゃんと描かれていますね。


部屋には調律の仕事で使うピアノがしっかり置いてありました。

それと、エメラルドのベッド脇の棚にあるハンマー。あれは、ガーネットが調律の仕事で使っていたお古なんです。

───そんな細かい部分まで、設定があるんですね!

設定をいろいろ考えてからでないと原画を描き始めることができないんです。でも、最初に決めた設定の中には画面に活かせていないものもたくさんあるんですよ。


お家の間取りまでしっかりと考えられています。

───それはどんな部分ですか?

例えば、ガーネットとエメラルドの住んでいる家の間取りなんかも最初に考えました。本当はピアノのある仕事部屋もちゃんと見せたかったのですが、エメラルドがお家の外に出てしまったので、描くことができませんでした。

───エメラルドが訪ねていくお家の配置や、キャラクター設定も考えているんですね。

『いじわるアイザック』を作ったときも、アイザックの住むマンションの間取りを考えたんですが、絵本を見ているだけだと、そこまで分からないとアドバイスをもらったことがあって。今回は、部屋の構造も伝えられるようにしたいと思い、間取りを考えるのにとても時間をかけました。

───エメラルドのベッドの周りの小物やブランコ、それにキッチンの小物など、細かい部分まで描き込まれていて、なおかつ二人が暮らしている生活感も感じられて、登場人物がより生き生きとしている様に思います。小さい子は細かい部分もしっかりと見てくれますよね。

ガーネットが出かける前のベッド周りと、出かけた後のベッド周り、そして、ガーネットが帰ってきてから寝るまでのベッド周りが少しずつ違っているので、そこの変化を見て楽しんでもらえたら嬉しいですね。

───最初の2ページのベッドには、エメラルドが眠る前に遊んだ様子の変化が表れていますよね。遊んで遊んで、ガーネットのベッドにちょこんといる姿は本当に、かわいい!


ベッドの周りはきちんと整理されているけれど……。

ガーネットが出かけた後、ベッドの周りにエメラルドが遊んだ様子が表れています。

私は5歳上の兄がいるのですが、兄が学校の旅行などで家にいないときなんかはよく、兄のベッドにもぐりこんでいました。この場面は姪っ子ではなく、私の体験談ですね。

───とても微笑ましいエピソードですね。

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そのだえり(ソノダエリ)

  • 昭和女子大学にて住居建築を学んだ跡、東洋美術学校グラフィック・デザイン科を卒業。2007年、ボローニャ国際絵本原画展入選。主な作品に『Service de nuit』(フランス・Liraabelle社)、『いじわるアイザック』(ディスカヴァー21)など。

作品紹介

ちいさなりすのエメラルド
ちいさなりすのエメラルドの試し読みができます!
作:そのだ えり
出版社:文溪堂
全ページためしよみ
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