●念願の働く車登場!
───前回、『おたすけこびとのまいごさがし』でインタビューをさせていただいたとき、なかがわさんが、巨大扇風機を出せなかったことをとても残念がっていたことが印象に残っているのですが、今回、登場してますよね、巨大扇風機(笑)。
なかがわ:気づいてくれましたか!念願の(笑)、巨大扇風機。正式には「ブロアー車」って言うんですよ。前作で消防署に見に行って一目ぼれ。実際にはリボンは付いていないんですけどね(笑)。
あと、どうしても出したかったのが、「パイルドライバー」。
───パイルドライバー?
なかがわ:電柱やビルの支柱を立てるときに使われる、穴を掘る重機です。パイルドライバーは一番最初の『おたすけこびと』の中で、ケーキにろうそくの穴を開ける場面に使う予定だったんです。でも、コヨセさんから「クリームの上に乗り物は乗せられません。沈んじゃうでしょ」って却下されて、泣く泣くあきらめたんです。今回は実際に木に穴を開けるからピッタリじゃない!と(笑)。
コヨセ:なかがわさん念願の…野望を達成しましたね(笑)。
───その他にも今回初登場の重機も登場していますよね。この、ボンドをつける機械がとても面白いですね。
コヨセ:これは「シリコン充填剤」を使うときの道具なんですよね。それをボンドに変えて、胴体だけを使ったんです。
なかがわ:重機に関しては、現場作業をしている人が見ると、「あれをアレンジしたんだ」って分かると思います。一歳児から、現場で働くプロにまで楽しんでもらえる、おたすけシリーズ…なあんて(笑)。
───コヨセさんは『おたすけこびと』のときに、重機の取材をかなりされたと伺いましたが。シリーズも4冊目になると、色々前に出せなかった重機が登場したりと、願いがかなっていきますよね。
コヨセ:そうですね。工事現場の作業によって同じ車体でも役割の違う道具が取り付けられていることも、取材を重ねるうちに大体分かるようになりました。
なかがわ:私も原稿を書くときに調べて、「ここは木を削る重機で」など提示するんですが、コヨセさんはそれを更に考えてくれるんです。
コヨセ:そうなんです。色々探すんです…。
コヨセさんのトラの巻!! 本当に沢山の重機の写真が集まっています。
───(一同)ワー、すごい!
コヨセ:実際には、日本にない重機もあるので、ヨーロッパの中古の重機を扱っている業者のHPから写真を見つけたりします。写真はできるだけ沢山、細かい部分まで写っているとすごく幸せな気持ちになります(笑)。
なかがわ:前に、私の家の近くにパイルドライバーが置いてあって、写真を数枚とって、コヨセさんに送ったら「もっと別の角度がほしい!」って連絡が来て、あわてて写真を撮りにいったんですよ。でも、すでにそのパイルドライバーは仕事を終えて、帰ってしまっていたことがあって…(笑)
コヨセ:重機ってかなり短い期間しかその場所にいないんだよね。この「ロードスイーパー」も今回初登場です。ごみを集める車なんですけど、ほしい角度を探すのに2日くらいかかったんです。
なかがわ:表紙に出てくる「ログローダー」も初登場ですね。
コヨセ:それから今回是非お伝えしたいのが、この「デリバリーバス」。これにはエピソードがあって、モデルは「おひさま号」という図書館バスなんです。
───デリバリーバスと同じデザインのバスが本当に走っているんですね!
なかがわ:おひさま号は気仙沼市本吉図書館に今年寄贈された図書館バスで、この地域では初の移動図書館なんです。司書さんが、おたすけこびとの絵を使いたいと言ってくれたので、コヨセさんと私はもちろん、編集部、デザイナー、画像処理班、すなわち「おたすけこびとチーム」が総力をあげてお手伝いしました。ほんとに、かわいいバスなんです。
コヨセ:「おひさま号」という名前が決まっていたので、遠くからでも目立つ色が良いねって思って、ビタミンカラーを希望したんですが、実物を見たら、絵本の中に登場させられそうだなって思ったんです。
なかがわ:完成したばかりのバスを見に二人で工場にでかけたとき、コヨセさんが横で「使えるかもな…」ってつぶやいていたの、とっても印象的でした。
コヨセ:本吉地区の子ども達が気づいて喜んでくれたら嬉しいね。
「おひさま号」と一緒のなかがわさん、コヨセさん。「おひさま号」とデリバリーバス、本当にそっくりですね!