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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  クレヨン画家の描く のびやかな雲の世界らいおんbooks 第2弾!『ぼーると ぼくと くも』 加藤休ミさん インタビュー

クレヨン画家の描く のびやかな雲の世界らいおんbooks 第2弾!『ぼーると ぼくと くも』 加藤休ミさん インタビュー

「らいおんbooks」は、編集者さん、書店員さん、出版社さんの営業担当者さんという、出版社の枠を超えたメンバーで結成され活動している、今話題の児童書レーベル。らいおんbooksの絵本第2弾として、『ぼーると ぼくと くも』が、発売になりました。作者は、クレヨン画家として『きょうのごはん』(偕成社)や『りきしのほし』(イースト・プレス)など人気絵本を手がける、加藤休ミさんです。
今回は、作者の加藤休ミさんと、絵本の編集を担当した、らいおんbooksのKさんにお話を伺いました。Kさんは実は現役の書店員さん。ふだんは売り場を通して絵本や児童書の情報を発信しています。そんなKさんがはじめて編集者として携わったのが本書です。長年の友人でもあるお二人が、絵本を完成させるまでに思いをぶつけあったエピソードなど、たっぷり伺いました!

ぼーると ぼくと くも
ぼーると ぼくと くもの試し読みができます!
作:加藤 休ミ
出版社:風濤社

クレヨン画家・加藤休ミが描く、のびやかな雲の世界。 「こんなに おっきな ぼーる みつけちゃった」 あかくて おっきな ぼーるを みつけた おとこのこ。 ところが さかみちを おりているときに かぜのいきおいで ぼーるが!!! ぼーるとぼく そらにうかんじゃった……。 次々形を変えていく雲とのごっこ遊びを、 くたくたになるまで楽しんで。

絵本を読んだとき、文章が声で聞こえてくる作家さんがいます。その中の一人が加藤さんだったんです。

───らいおんbooks第2弾、『ぼーると ぼくと くも』発売おめでとうございます。空の青と雲の白が本当に美しくて、見ているだけで気持ちがいいです!

加藤:青と白と赤の世界。どうですか?

───今までの加藤さんの作品は、わーっとクレヨンの色が渦巻く世界というイメージがありました。今回はぐっと潔さを感じます。

加藤:そうですねー。ふふふ。雲の白は、最初にいっぱい色を塗ってから、白を上に重ねて描いていっているんですよ。

───クレヨンでほかの色の上に白の色をのせるのはとても大変そうですね。

加藤:色の上に白をのせるために、クレヨンをくだくんですよね。それをぐりぐりとたたく。「いやー、なかなか白になんない」とか言いながら。
指の力で、ぐいぐい油絵みたいに伸ばしていったので、白のクレヨンの消費量がすごかったです。一晩置くと塗ったクレヨンがちょっと乾くので、色を重ねるときは、いったん時間をおいてから塗り直しました。

───雲のふわふわの質感が、クレヨンで表現されていることが驚きです。

加藤:描く前のイメージで、食べ物っぽい雲の白にしたかったんです。飛行機の中から雲を見ると、すごいですよね。ふわ〜って食べられそうで。あれになるまで頑張ろうと思って描きました。最初に描いたのはうさぎの雲の絵です。描きあげてみて、これくらいだったらいいかなって。

───納得いく雲になったんですね。

加藤:描ける描ける、大丈夫だって思いました。実は、おはなしのテキストが完成する前に、実際に絵で表現できるのかが試したくて、原画に取りかかってしまったんです。描いてしまってから、らいおんbooksのメンバーに見てもらったんですが、もうダメとは言えないですよね(笑)。

編集・K:原画はテキストが完成してからお願いする予定だったのが、気づいたらおおかたの原画ができていたんです。もちろん絵としては完璧に良いのですが、この先、絵本の構成上苦しくなるところが出てきたら困るなと思って、ちょっと焦りました(笑)。

加藤:おはなしを詰めていく途中でしたが、この絵本で私がやりたいことが、ラフ(下絵)の鉛筆画では絶対伝わらない、原画でどうしたいか伝えようと思って、早く描きたかったんです。

───おはなしは、元々あたためていたアイディアがあったのですか?

加藤:私、これと同じ場面を、5、6年前に実際に見ているんです。

───男の子がボールを抱えている、はじまりの場面ですね。

加藤:赤いボールを抱えた男の子が、お母さんの自転車に乗って坂道を下りているところでした。勢いがついて、「飛ぶ!」って、ドキドキしました。もし、このまま飛んで空に行ってしまったとしても、お母さんは絶対気づかないって思ったんです。それで、あの子がお母さんと離れちゃったらそれからどうなるだろうと考えたら、空の雲とボールと一緒に遊ぶイメージが浮かびました。雲の白と赤いボールで、いろんな遊びかたができそうだなと。

───それがきっかけだったんですね。

加藤:たぶんバランスボールだったと思うんですけど、小さい子がすごく大きいボールを抱えていたのが、印象に残って。『ともだちやま』(ビリケン出版)の絵を制作している時期だったと思うのですが、その出来事をもとに「たのしいふうせん」っていうラフにしていたんです。今回のおはなしは、それが元になっています。

───『ともだちやま』は加藤さんの絵本デビュー作ですね。『ぼーると ぼくと くも』も『ともだちやま』も、まっすぐでのびのびした気持ち良さに共通する空気を感じます。

加藤:そのときのラフは、おじさんがくれた風船で子どもが飛んでいっちゃうというおはなしでした。そのラフは完成せず今まで放っておいたんです。でも、今回、らいおんbooksさんに声をかけてもらって、この機会にあのおはなしを試せるかもしれないと思いました。

───作品を加藤さんに依頼した経緯を伺えますか?

編集・K:らいおんbooksで編集会議をしたときに、「この作家さんと絵本を作りたい」という希望をメンバーで出していったんです。メンバーには編集者がいますし、本屋さんの私は編集はやらなくてもいいのではとも思いましたが、思わず「加藤さん」と言っていました。私は、絵本を読んでいるときに、文章が声で聞こえてくる作家さんがいます。それは数名しかいないのですが、その中の一人が加藤さんだったんです。もちろん当人を知っているからというのはあるのですが、その声で聞こえてくる絵本のことばがすごく好きでした。

───実際に絵本を作ることになって、加藤さんのラフを見てどう思われましたか?

編集・K:加藤さんの今までの絵本は、『きょうのごはん』(偕成社)は食べ物、『おさかないちば』(講談社)は魚、『りきしのほし』(イースト・プレス)のおすもう等、どれも加藤さんの好きなもののテーマで描かれています。趣味の塊みたいな人が、それ以外のテーマで絵本を描いたらどうなるのか見てみたいと思っていました。そこでちょうど見せてもらったラフが、「男の子が雲と遊ぶ」というおはなしで。今まで彼女のイメージにないものだったので、すぐ「あ、いいな」と思いましたね。

───ラフは、らいおんbooksのメンバー全員で確認したのですか?

編集・K:メンバーは4人いるのですが、絵本ごとにそれぞれ担当編集者を決めています。ふつうは編集会議というと編集長がトップにいて話し合うイメージだと思いますが、らいおんbooksは編集長なしで、全員で会議しています。強いて言えば、担当編集者が、その本の編集長という感じでしょうか。作家さんとの基本的なやりとりは担当編集者が行い、要所要所で編集会議をしてメンバーみんなで確認しています。

───ラフの段階では、どんなやりとりがあったのでしょうか。

加藤:最初のラフは、おはなしの中で白い雲と黒い雲が戦うという展開がありました。空の話だったら、東京上空だけ黒い雲が汚かったりして、環境問題も訴えられないかなと思ったんです。

編集・K:それも壮大なテーマで良かったのですが、男の子がボールと空で雲と遊ぶ、というおはなしでおさまるのが良いと思って、黒い雲のエピソードは割と早い段階でなくなりました。

加藤:それから、赤いぼーると雲で、何ができるか、いろいろ候補がある中から決めていったりもしました。

───雲とぼーるが、どんどん形を変えて遊ぶ展開がとても面白かったです。

加藤:ぼーるが信号の赤になるのは、私が絶対入れたかった場面。お気に入りのページです!

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加藤休ミ(かとうやすみ)

  • 1976年、北海道釧路市出身。クレヨン 画家、絵本作家。クレヨンとクレパスを用いた独特の画法と迫力あるタッチで、ノスタルジックな情景や滑稽味のある人物画や、なかでも食べ物を描いた作品は定評がある。2010年から築地、西荻窪、北海道立釧路芸術館にて展覧会「魚展」開催。絵本に『ともだちやま』(ビリケン出版)、『きょうのごはん』(偕成社)、『りきしのほし』(イースト・プレス)、『おさかないちば』(講談社)、『かんなじじおどり』(BL出版)、『いっすんこじろう』(文・内田麟太郎/WAEV出版)、『ながしまのまんげつ』(原作 林家彦いち/小学館)など。

作品紹介

ぼーると ぼくと くも
ぼーると ぼくと くもの試し読みができます!
作:加藤 休ミ
出版社:風濤社
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