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世界にたった一つ、少数言語の単語帳『なくなりそうな 世界のことば』西淑さんインタビュー

私たちが暮らしている地球では、実に7000もの言語が使われているそうです。その中には、限られた地域、数少ない人々の間で使われている「小さな言葉」もあります。そんな小さな言葉たちを集めた『なくなりそうな世界のことば』(創元社)がこの度、発売されました。今、この瞬間にも消えつつある「小さな言葉」の中から、特に“その言語らしい”単語に文と絵を添えて紹介した、世にも珍しい少数言語の単語帳です。今回は、イラストを担当した西淑さんに作品の魅力をお話しいただきました。

なくなりそうな世界のことば
著:吉岡 乾
イラスト:西 淑
出版社:創元社

「小さな」言葉の窓からは、広い世界が見渡せる。世にも珍しい、少数言語の単語帳。 世界で話されていることばは、およそ7000もある。しかしいま世界では、科学技術の発展とともに、数少ない人が限られた地域で用いている「小さな」ことばが次々に消えていってしまっている。本書は、世界の50の少数言語の中から、各言語の研究者たちが思い思いの視点で選んだ「そのことばらしい」単語に文と絵を添えて紹介した、世にも珍しい少数言語の単語帳。耳慣れないことばの数々から、「小さな」言葉を話す人々の暮らしに思いを馳せてみてください。

“なくなりそうな”世界のことばって何?

メディア・ネット・科学技術の発展とともに、担い手がいなくなっていく「小さな言葉」たちのことです。
本書では「小さな」言葉の専門家たちが、思い思いの視点で「その言葉らしい」単語を選び、1冊にまとめられています。


ハワイ語「マカイ」

日本からは、アイヌ語の「イヨマンテ」が選ばれています。


アイヌ語「イヨマンテ」

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「言葉」の持つ魅力をもっと伝えたい!

───『なくなりそうな世界のことば』は、『翻訳できない世界のことば』、『誰も知らない世界のことわざ』など、「世界を旅するイラストブック」シリーズの最新刊ですね。「なくなりそうな」というフレーズがとても印象的に感じました。この作品はどのようなきっかけで生まれたのですか?

2016年5月ごろだと思うのですが、創元社の内貴さんから「“少数言語”をテーマにした作品を作りたいので、イラストをお願いできますか?」と依頼をいただきました。

創元社・内貴:弊社では、ちょうどその年の4月に、『翻訳できない世界のことば』を出版し、かなり注目を集めていました。私は編集担当としてこの本に関わっていたので、作品の盛り上がりを直に感じ、「言葉」の持つ魅力を、もっともっと知ってもらえるような作品を続けて作りたいと思っていました。いろいろ調べている中で出会ったのが、今回のテーマである、少数言語と言われる「小さな言葉」だったのです。

───では、『翻訳できない世界のことば』が出版された直後に、『なくなりそうな世界のことば』の企画は生まれていたのですね。

創元社・内貴:はい。テーマを決めた後、どなたに執筆をお願いしたら良いか調べている中で、国立民族学博物館で助教をされている、吉岡乾先生のことを知りました。吉岡先生は、『なくなりそうな世界のことば』にも登場する、ブルシャスキー語やドマーキ語などを専門に研究されている方なのですが、おひとりでは、とても世界中に散らばっている「小さな言葉」をセレクトすることはできません。そこで、吉岡先生の研究者ネットワークで、世界各国の「小さな言葉」を研究している研究者の方々にご協力いただきました。最終的に、50の少数言語をあげていただき、その中から「その言語の言葉らしい」単語をそれぞれ3つセレクトしていただくことになりました。

───西さんにイラストの依頼をされたのは、そのころでしたか?

創元社・内貴:もう少し後だったかもしれません。ただ、イラストをどなたにお願いするかは、かなり悩みました。西淑さんのイラストレーションは以前から気になっていて、大好きでしたので、「西さんに、この作品の絵をお願いしたら、とても素敵な本になるに違いない」と気づいたときは、目の前がパッと明るくなったような気がしました。

───たしかに、絵がとても素敵なので、「この絵で表現されている言葉はどういう意味だろう?」「どんな所に暮らしている人たちが話している言葉なんだろう……」といろいろ知りたくなります。先程、「小さな言葉」の研究者さんから、3つずつ「その言語の言葉らしい」単語をセレクトしてもらったと伺いました。本の中では、1つの言語につき、1つの言葉が紹介されていますが、どのように1つに絞ったのですか?

吉岡先生と内貴さん、そして私の3人で、打ち合わせを行い、最終的にどの言葉を掲載するか、多数決で決めました。

───多数決ですか?! なかなか意見が合わず、決まるのに時間がかかりそうです……。

そんなことはなかったですよ。私は、自分で絵を描いたときに描きやすい表現の言葉を選んだのですが、意外と3人の意見が合う言葉が多くて、思っていたよりもずっとスムーズに決まりました。

創元社・内貴:西さんには、絵描きとして絵を描くことを優先に考えていただき、吉岡先生には研究者として、本に残すべき言葉、言語的に面白い表現を中心に選んでいただきました。私は、一読者として、言葉を耳にしたときの新鮮さや、絵で見てみたい言葉を選びました。三人三様の選び方だったのですが、西さんのおっしゃるように、意見が分かれることはそれほど多くありませんでしたね。

───西さんは、掲載する言葉が決まってからイラストを描かれたんですね。絵を描くときに参考にした資料などは何かありましたか?

吉岡先生から、言葉の意味や、その言葉が話されている地域、小さな言葉の詳しい解説など、本に紹介しているテキストをいただき、それを参考にしました。

───絵を描くときに、大変なことなどはありましたか?

地図を見ていただくと分かるのですが、本当に世界中に散らばっている小さな言葉を取り上げているんですよね。国や地域が異なれば、そこに暮らす人々の文化、着ているものや肌の色、生活習慣なんかも変わってきます。
私は少数民族の暮らしなどに詳しいわけではないので、想像で絵を描いてしまっては、言葉の持つ魅力が伝わらなくなってしまうのではないかと不安に思うこともありました。かといって、その地域の暮らしを再現して描くだけでしたら、絵ではなく写真の方が良いはずで……。
そんなとき、内貴さんから「これは、図鑑や辞書ではなく、「世界を旅するイラストブック」シリーズなので、西さんの感じたものを表現してください」とアドバイスをいただいたんです。その言葉でフッと肩の力が抜け、自由に描くことができました。

───特に気に入っている、言葉とイラストはどれですか?

そうですね……。特に思い入れがあるという意味では、「ボロソコモダップ」です。

───インドネシアのカリマンタン島で話されているドボイ語の言葉ですね。

「莫大な量の小さな何かが降る」という意味の言葉なのですが、この本の原画を制作中に、引っ越しをしたんです。その年の春ごろだと思うのですが、新居に白アリが発生しまして、家のドアを開けたら、庭にたくさんの小さな虫がいっぱい飛んでいたんです、それを見たときに「ボロソコモダップ」を思い出しました。ああ、私のなじみのある民族の言葉ではないのに、この仕事を通して、私の中にしみこんできているんだなと感慨深く感じました。


ドボイ語「ボロソコモダップ」

───日本語では表せないものも、世界の言葉で表現できるものがあると知っていると、より世界が身近に感じるかもしれませんね。ほかに思い入れのある言葉はありますか?

ロシアのサハリン島で使われているウイルタ語の「シマナ」です。この言葉は、描いているときに一番イメージが湧いてきた絵なんです。ウイルタ語では、「降っている雪」を表す「シマナ」以外にも、「積もった雪」「溶けかけた雪」など、雪をいくつも分類してそれぞれに名前がついているのが、すごく面白いなと思いました。


ウイルタ語「シマナ」

───日本も「牡丹雪」や「粉雪」など雪の降り方で名前が変わることもありますが、雪の多い地域ならではの表現ですね。

あと、描いていてハッとしたのは、「マラミク」。インドのアンダマ諸島で使われていた大アンダマ混成語です。

───「死後の世界・夢」という意味の言葉ですね。絵も色がグッと抑えられていて、とても印象的です。

大アマダン混成語は、2010年に話者が亡くなってしまい、世界から消えてしまった「小さな言葉」なんです。絵を描くときに、吉岡先生の解説などを見るのですが、「話者数:0人」という言葉を読んだときは、ハッとしましたね。もうこの言葉を使っている人は、世界中で誰もいないんだ……って。


大アンダマ混成語「マラミク」

───本の構成として、比較的多くの人が話している、少数言語からはじまって、段々数が減っていく見せ方になっているのも考えさせられる気がしました。

創元社・内貴:この構成は、デザインをした後で変えたものなんです。なので、西さんにお願いしたときは、順番も特に関係なく、お渡ししているんです。

───絵を描くときは、この世界から消えつつある少数言語だということを意識しながら描いていたのですか?

最初はそれほど意識しなかったのですが、描いているうちにどんどん「もうこの言語を話している人は、こんなに少ないんだ……」というのを、実感するようになってきました。でも、その部分にはあまり引っ張られすぎてもいけないと思い、言葉の意味と吉岡先生の解説に向き合うようにしました。

───この解説文が、ただの言葉の意味だけを伝えるのではなく、今まで知らなかった言葉のこと、その言葉を話す人々のことを感じさせてくれて、楽しさや発見が散りばめられているように思いました。

そうなんです。全体を通して、小さい言葉に対する優しい気持ちが感じられたから、私もその文章から絵を引き出してもらえました。

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西淑(にししゅく)

  • 福岡県生まれ。雑誌、広告、パッケージ、CDジャケット、書籍の装丁などのイラストレーションを手がける。京都、鳥取を拠点に活動。

作品紹介

なくなりそうな世界のことば
著:吉岡 乾
イラスト:西 淑
出版社:創元社
翻訳できない世界のことば
著:エラ・フランシス・サンダース
訳:前田 まゆみ
出版社:創元社
誰も知らない世界のことわざ
誰も知らない世界のことわざの試し読みができます!
著者・イラスト:エラ・フランシス・サンダース
訳:前田 まゆみ
出版社:創元社
はかりきれない世界の単位
著:米澤 敬
イラスト:日下 明
出版社:創元社
信じてみたい 幸せを招く世界のしるし
著:米澤 敬
画:出口 春菜
出版社:創元社
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