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《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2013.01.17

『新世界へ』あべ弘士さんインタビュー

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『新世界へ』あべ弘士さんインタビュー

動物を描かせたら右に出る者のいない絵本作家、あべ弘士さん。2011年6月、あべさんは8人の仲間達とヨットをチャーターし、約4週間、北極圏に浮かぶスヴァールバル諸島(ノルウェー)に滞在しました。その体験を元に生まれたのが『こんちき号北極探検記 ホッキョクグマを求めて3000キロ』(講談社)や「ふたごのしろくま」シリーズ(講談社)、そして今回ご紹介する『新世界へ』(偕成社)です。あべさんのルーツとも言える、動物園時代のお話から、長年会いたいと思っていたカオジロガンとの出会い、あべさんにとっての「約束の地」について、語ってくれました。

新世界へ
新世界への試し読みができます!
作:あべ 弘士
出版社:偕成社

ぼくたちは飛ぶ、新しい世界、約束の地へ。 北極で生まれたカオジロガンの若鳥たち。 その初めての渡りの旅を雄大な風景の中に描く。

「北極に行く前は“不毛の地”だと思った。行ってみて、豊穣の地だと知った」

───あべさんは2011年6月から約4週間、北極へ行かれたんですよね。
北極での様子は『こんちき号北極探検記 ホッキョクグマを求めて3000キロ』に、書かれていて、あべさんが動物に出会ったときの感動や興奮が、スケッチから感じられてすごく面白かったです。

『こんちき号北極探検記』はほぼ酒飲みの記録だからね…(笑)。本にも書いたけれど、僕はずっと北海道に住んでいて寒さには強い。北極の気温を聞いたら、旭川と比べて5度くらいしか変わらない。だからというわけじゃないけれど、今回、かなり軽装というか、取るものとりあえず…という格好で、北極に行ったんだよね。直前まで絵本の仕事をしていたから、絵を描く道具も取るものもとりあえずという感じで、ほとんど持って行かなかった…。スケッチブックと鉛筆、携帯絵具セットくらいでした。

───『こんちき号北極探検記』の中でも、「絵具は青と黒しかない」ということを書かれていて、鉛筆がどんどん短く、描けなくなっていく描写も出てきて、「え、このまま絵がなくなっちゃうの・・・」と、かなりハラハラしたんですが、毎日のようにスケッチをされていますよね。

そう、鉛筆の他にシャープペンと芯も用意していたんだけど、かなり最初の方で氷河の上に落としちゃってね(笑)。だから残った3本の鉛筆もだいじに使いました。線も段々筆圧が弱くなってるでしょ。絵の具も青と黒と白だけ。だけど、実は北極って色が少ないんだよ。ほとんどが白と青と黒の世界。それで充分だった。だからたとえ画材がなくてもそれなりの描き方があったんだね。

───北極に行く前といった後で、北極に対する印象が変わった部分はありますか?


60万羽の「ウミガラス」が登場する圧巻のシーン

行く前の北極のイメージは氷と岩しかない、不毛な地だった。でも、行ってみたら不毛どころか、ものすごい豊穣な土地だったんだよ。例えば、絵本の中にも出てくる「ウミガラス」。これが1ヵ所に60万羽いた。その60万羽が暮らすために、海にどれだけ魚がいるか…。そして、その魚を育てるにはどれだけのプランクトン、オキアミがいるか…。そう考えていくと、ウミガラス1種類だけを考えても相当数の生き物を想像できる。実際に行かないと分からなかったね。
私は他の人よりもじっくり動物と対峙してきたと思っていたんだけど、北極で出会った動物達は全然違った。

───絵本の中には、シロクマやトナカイ、セイウチが出てきますね…。

セイウチもトナカイも沢山出会ってスケッチしたけど、シロクマには今までに感じたことのない神々しさを感じたんだよね。キラッキラした銀色で、影は青かった。それから、今まで見ていたよりも顔がものすごく長かった。雪をなめている所なんて足が5本あるのかと思うくらいで。

※その神々しいシロクマの姿は「ふたごのしろくま」シリーズ(講談社)で存分に味わえます。

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あべ弘士(あべひろし)

  • 1948年北海道に生まれる。1972年から25年間、旭川市の旭山動物園に勤務。自然に対する知識と愛情に裏打ちされた作品は、自由闊達な線と色の魅力、大らかなユーモアによって多くの読者に愛されている。『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞、産経児童出版文化賞JR賞、『ゴリラにっき』で小学館児童出版文化賞、「ハリネズミのプルプル」シリーズで、赤い鳥さし絵賞、『どうぶつゆうびん』で産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞。そのほかの作品に『ライオンのながいいちにち』『どうぶつさいばん ライオンのしごと』『なめとこ山の熊』『エゾオオカミ物語』『こんちき号北極探検記』などがある。
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