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漢検の絵本 第一作目が出版!『いちまるとふしぎな手』 八田香里さん&宮下知子さんインタビュー

宇宙人の「いちまる」が、おばあちゃんのおうちへ行く途中、「手」という漢字が書かれた扉に出会います。扉を通るたびに、ふしぎな体験をする、いちまると妹の「ぷちまる」の冒険を描いた絵本『漢検の絵本 いちまるとふしぎな手』が出版されました。
この本を手がけたのは、「公益財団法人 日本漢字能力検定協会」。「漢検」を行っている協会と言えば、なじみ深く感じる方も多いのではないでしょうか。
「漢字のおもしろさと奥深さを、子どもたちに伝えたい」という想いから生まれた、待望の漢字絵本。
今回は、協会理事の八田香里さんと、編集担当の宮下知子さんにお話を伺いました。
京都にある「漢字ミュージアム」のレポートと共にお楽しみください。

漢検の絵本 いちまるとふしぎな手
漢検の絵本 いちまるとふしぎな手の試し読みができます!
編集:日本漢字能力検定協会
出版社:日本漢字能力検定協会

―読んだあと、手をつなぎたくなる絵本― [あらすじ] 今日は“いちまる”のおばあちゃんの誕生日。 いちまるは妹と二人で、お祝いのケーキを届けにおばあちゃんの家へ向かいます。 道に迷った二人の前に突然現れたのは、「手」とかかれた扉。 扉を開くと、不思議な「手」の世界がひろがり・・・ 漢検公式キャラクター“いちまる”が、絵本を通じて、漢字の持つぬくもりや楽しさをお届けします。

「日本語と漢字にもっと親しんでほしい」その思いから誕生したキャラクター「いちまる」。

───「漢字検定」を行っている協会から、漢字の絵本が出版されるということですが、どのようなきっかけで、この企画がスタートしたのですか?

八田:私共は「財団法人 日本漢字能力検定協会」として「漢字検定」を営んでまいりました。そして2013年、「公益財団法人 日本漢字能力検定協会」となり、「漢字検定」だけでなく、「日本語」「漢字」にもっと親しんでもらえるような活動にも力を入れる一環で、楽しい教材を作ることになりました。

───公益財団法人となったときに、「絵本」という媒体にもチャレンジすることになったのですか?

八田:絵本は、まだ漢字を学ぶ前のお子さんに、漢字の面白さを伝えるための、とても魅力ある媒体だったので、いつか出版したいという思いはありました。しかし、当時は、漢字を学びはじめる小学生のお子さんに向けた教材が少なかったので、教材を作ることを先行させました。今回の絵本の主人公「いちまる」はその中で生まれたキャラクターなんです。


編集担当の宮下知子さん(左)と協会理事の八田香里さん(右)。

───「いちまる」はつぶらな瞳や、丸いボディなど、とてもかわいいデザインですよね。「いちまる」はどのような経緯で生まれたのですか?

宮下:小学生に向けた教材のコンセプトが「楽しく学ぶ」と決まったとき、教材を手にする子どもたちと一緒に漢字を学んでいくキャラクターがいた方が良いのではという案が出ました。そこで、協会の職員にアイディアを募集したところ、教材の学習時間として提案した「1日10分」いうフレーズから「いちまる」という言葉が生まれました。また、そこから、イラストレーターさんと何度もやり取りを重ね、頭に「1」と「0」がついた、今の「いちまる」になりました。

───公式HP「いちまるスペシャルサイト」には、いちまるのキャラクター紹介も掲載されていますが、「ちちまる」や「ははまる」など家族構成までかなりしっかりと決まっていて、とても楽しめました。

八田:最初はいちまるだけだったのですが、漢検の教材『いちまるとはじめよう! わくわく漢検』の中に、家族みんなで漢検を受けて、表彰状をもらおうという案内をしていたので、家族を作ることになりました。

───子どもたちに漢字に親しんでもらおうと生まれたいちまるが、今回、絵本の主人公として冒険をします。『いちまるとふしぎな手』は、「手」という漢字の持つ意味だけでなく、手そのものの温かさや、家族とのかかわりが深く描かれている作品だと思いました。たくさんある漢字の中から「手」を選んだのはなぜですか?

八田:漢検では2013年から、大切な人への想いを漢字一字とメッセージで表現する「今、あなたに贈りたい漢字 コンテスト」を開催してきました。今回の絵本では、このコンテストの過去の受賞作品の中から、世代を問わない身近な「手」を扱った作品がストーリーのベースになっています。

───「手」は過去の作品の中で、一番応募の多かった漢字なのですか?

宮下:応募数が多かったのは別の漢字です。「笑」「楽」「感」などポジティブな漢字が人気でした。ただ、絵本にするエピソードとして、「手」を選んで書かれた作品がとても共感しやすく、おはなしとしても面白いと思い、「手」をテーマにすることが決まりました。

八田
:まだ漢字を学んでいないお子さんも、「手」は身近な存在だと思います。あかちゃんがご飯を食べるとき手を使いますし、汚れた手を拭いたり、頭をなでられたり、親子関係の中でも手が登場する場面は多いですよね。あかちゃんからご年配までなじみ深いですし、漢字一字が持っているいろいろな意味や気持ちの乗せ方に多様性があるということを考え、表現しやすい漢字が「手」だったのです。

───一言で「手」と言っても、お母さんの指を握るあかちゃんの「手」や、壊れたおもちゃを直す魔法のようなお父さんの「手」、触っただけで具合が悪いことに気づくお母さんの「手」など、いろいろなエピソードがあって、「手」の魅力を感じることができるおはなしだと思いました。

宮下:ありがとうございます。「手」をおはなしの中に織り交ぜていくことは早い段階で決まりました。しかし、おはなしを作る途中で、いちまるが、「手」と書いてあるお家を訪ねていくというくりかえしだけではなく、さらに子どもたちがおはなしの世界に引き込まれるようなスパイスが欲しいという思いが湧いてきました。そこで生まれたのが、いちまるたちの邪魔をする「ぎざるぼん」というキャラクターです。

───「ぎざるぼん」は、おばあちゃんの家へケーキを届けにいくいちまるたちから、大事なケーキを奪ってしまういたずらっ子。見た目もいちまるたちと違って、ギザギザしている姿が印象的です。

宮下:いちまるは「ぶさかわいさ」のあるキャラクターとして、イラストレーターさんと作りました。「ぎざるぼん」は、そのぶさかわいさを残しつつ、もう少しダークなイメージを与えるビジュアルになるよう、イラストレーターさんにお願いしました。

───「ぎざるぼん」という名前も、悪役っぽいですよね。

宮下:名前は、協会の職員の中で、お子さんのいるご家庭にキャラクターをお見せし、どんな名前が良いかアンケートをお願いして決めました。「あくまる」や「ぎざまる」などアイディアが寄せられ、最終的に「ぎざるぼん」という名前に決まりました。

八田:ぎざるぼんが登場したことで、ストーリーに起伏が生まれ、より楽しめる内容になったと思います。また、絵本を通して子どもたちに感じてほしい「ありがとう」や「ごめんなさい」という感情についても、自然と伝えられる内容になったと思います。

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作品紹介

漢検の絵本 いちまるとふしぎな手
漢検の絵本 いちまるとふしぎな手の試し読みができます!
編集:日本漢字能力検定協会
出版社:日本漢字能力検定協会
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