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おいらはもう竜宮城にあきたのでした。1人称童話シリーズ Vol.3 『浦島太郎が語る浦島太郎』 ニシワキタダシさんインタビュー

昔話の主人公の目線で語られる、斬新な発想の「1人称童話シリーズ」。
シリーズ第1弾『桃太郎が語る桃太郎』の発売以来、「面白い!」「こんな昔話、今までなかった」と話題を読んでいます。この度、シリーズ最新刊が発売されました。今回の主人公は、「浦島太郎」。
浦島太郎は、どんな思いでカメを助けたのか……、乙姫様との暮らしはどうだったのか……。
今まで語られることのなかった浦島太郎の内面に触れることで、読者は昔話の面白さ、間口の広さを再認識するのではないでしょうか?
今回、『浦島太郎が語る浦島太郎』の絵を担当したニシワキタダシさんにお話を伺いました。

浦島太郎が語る浦島太郎
絵:ニシワキタダシ
文:クゲユウジ
出版社:高陵社書店

おいらはもう竜宮城にあきたのでした。1人称で語る童話シリーズ第三弾。

絵と文章、同時進行でおはなし作りがスタートしました。

───話題の「1人称童話シリーズ」第3弾の「浦島太郎」。ニシワキさんがこの作品の絵を担当することに決まったのはいつ頃でしたか?

たしか『つけたしことばの本』(高陵社書店)の制作をしていたころだと思うので、2017年の春ごろでしょうか……。「1人称童話シリーズ」のクゲユウジさんと、デザイナーの市川千恵さんが『つけたしことばの本』も関わっていて、そのご縁もあり、絵を担当することになりました。

───「浦島太郎」のおはなしは、昔話の中でもかなり認知度が高いと思います。ニシワキさんは、何歳くらいのときに、浦島太郎の物語を知ったか、覚えていますか?

気づいたら、おはなしを知っていたという感じで、いつ、誰から、浦島太郎の話を聞いたのかははっきり覚えていないですね。ただ、子どものころ、テレビで放送していた「マンガ日本昔ばなし」で、いろいろな昔話を観た記憶があるので、それかもしれません。

───テレビで、「まんが日本昔ばなし」、やっていましたね! ニシワキさんの中の「浦島太郎」のおはなしは、どんなイメージでしたか?

子どものころから、ふしぎな話だと思っていたと思います。カメを助けて、竜宮城に連れて行ってもらうまでは良いんです。でも、帰ってみたら300年も経っているし、お土産にもらった玉手箱を開けたら、おじいさんになっちゃうし。

───前半部分の楽しい雰囲気に比べて、かなり悲劇的なラストですよね。

そう、乙姫様もどうして、カメの恩人の浦島太郎に、そんな玉手箱を渡したんだろう……って。考えれば考えるほど謎なんですよ。

───今回の『浦島太郎が語る浦島太郎』では、浦島太郎の視点で語られている分、より浦島太郎の心情が、リアルに感じられたように思います。
「1人称童話シリーズ」の依頼はどんな形で受けたのですか?

『つけたしことばの本』の打ち合わせをしているときから、「今度、『1人称童話シリーズ』を出すことになっているんです」ということと、第一弾が「桃太郎」だということは聞いていました。でも、「1人称童話」がどういうものなのか、聞くだけではあまりイメージできなくて……。
はっきり、分かったのは「浦島太郎」の依頼を受けたときに『桃太郎が語る桃太郎』を見せてもらったときですね。

───『桃太郎が語る 桃太郎』を見たときは、どう思いましたか?

ずっと「桃太郎が出てこない、桃太郎ってどういうことだろう……?」と思っていたので、実物を見て、「こういうことか!」って、すごくスッキリしました。自分が桃太郎になったような気分で読めたので、それがとても新鮮でしたね。

───桃の中から見ている場面など、普通の「桃太郎」のおはなしではまず出てこないですものね。

そうなんです。想像のおはなしの中に、リアルな感情が絶妙にミックスされていて、「その気持ち、すごく分かる!」って共感するところがたくさんありました。特に、お供のいぬ、さる、きじがすごく頼もしくて。鬼と対峙したとき、桃太郎はちょっと怖気づいてしまうけれど、三匹が躊躇なく向かっていくじゃないですか。その場面を読んだときに感じた心強さは、今までの「桃太郎」では味わえなかった感覚でした。

───『浦島太郎が語る浦島太郎』を描く上で、『桃太郎が語る桃太郎』は参考になりましたか?

まず「1人称童話シリーズ」のコンセプトが、実際の絵本を手にすることでとてもよく伝わってきました。あと、いい感じで力が抜けている絵のタッチがすごく好みで、ぼくも、そうやって「浦島太郎」に向かえたら良いなと思いました。

───浦島太郎というと、カメを助けた正義感あふれる若者というイメージがありましたが、「1人称童話シリーズ」の浦島太郎は、かなり怠け者というか、今の境遇に退屈している感じが新鮮でした。絵を描くときに、浦島太郎の性格など、文章から読み取って反映したのでしょうか?

普通、誰かの文章に絵をつけるときは、文章がしっかりあるものなんですが、今回のおはなしは、作り方もちょっと変わっていて、文章と絵の制作がほぼ同時に進められているんです。だから、ぼくは文章を読まずに、絵を描かなければいけませんでした。

───文章がない状態で、どうやって絵を描いていったのですか?

デザイナーの市川さんが、大まかなイラストの構成案を考えてくれて、それを参考にしました。浦島太郎のはなしはすでに知っていましたから、その構成案を参考にしながら、ぼくなりに、より面白いイラストになるように、構図などを考えていきました。

───そこには、浦島太郎の性格などは書かれていたのでしょうか?

あまり書かれてなかったですね。船の上で魚釣りをしている場面も、文章は「船の上でだらだらしている」という一行くらいで……(笑)。
ただ、おはなしは知っていましたし、「絵の構成は、自由に変えてください」と言ってくださっていたので、いろいろ想像しながら描く楽しみがありました。

───ニシワキさんは普段、挿絵やイラストのカットなどを描く機会も多いと思います。絵本の場合、表現などあえて変えた部分などもあったのでしょうか?

普段、イラストを描くときは、サイズも小さいことが多いので、使う色の数を絞ったりすることもあります。でも、デザイナーの市川さんから、「絵をページ全体に描いて、その上に文章を乗せるような構成も考えたいです」と提案していただいたので、ページ全体を使って、浦島太郎の世界を描くようにしました。

───浦島太郎が釣りをしている場面の波の動きや、カメの背中に乗って竜宮城を目指しているところの、海の色の変化など、すごく広がりを感じるタッチだと思いました。

竜宮城を目指す場面の色は、ずいぶん悩みました。リアルに描こうとすると、深く潜るほど、海の色は濃くなっていきますよね。でも、それはちょっと違うな……と思ったんです。そこで、あえて明るい色を使って、海の底に行くほど、竜宮城の光が強くなるように描きました。

───「あったかな春風の中にいるみたい」という文章にも、絵がピッタリ合っていると思いました。

文章と絵、お互いの作品を見ていないのに、合わせてみたらふしぎとイメージが共通するところがあったのも、面白かったですね。
竜宮城も、ぼくはなんとなく屋根と扉を赤く塗っていたのですが、文章と合わせてみたら、「まっ赤」と表現されていて、「赤く塗っておいてよかった〜〜」と胸をなでおろしました。

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ニシワキタダシ

  • イラストレーター。1976年生まれ。大阪在住。イラストレーションの仕事を中心に幅広く活動中。
    著書に『かんさい絵ことば辞典』、『ニシワキタダシの日々かるたブック』、『あたらしいことわざ絵辞典』、『こんなときのどうする絵辞典』(以上、パイ インターナショナル刊)、『えBOOK』(大福書林 刊)、DVDに「みるきくはなす かんさい絵ことば辞典」(ポニーキャニオン)などがある。

作品紹介

浦島太郎が語る浦島太郎
絵:ニシワキタダシ
文:クゲユウジ
出版社:高陵社書店
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文:クゲユウジ
出版社:高陵社書店
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