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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  おいらはもう竜宮城にあきたのでした。1人称童話シリーズ Vol.3 『浦島太郎が語る浦島太郎』 ニシワキタダシさんインタビュー

原画はとっても小さいです。

───ニシワキさんは、普段、鉛筆で線を描いた後、スキャンしてパソコンに取り込んで、色を付けると伺いました。今回の絵本も同じような描き方で、原画を描かれたのですか?

そうですね、基本的に絵の描き方は、あまり変えていません。原画の大きさも、普段のイラストを描くときと、そんなに変えていないんですよ。


A4コピー用紙に描かれたラフを見せていただきました。

───これが原画の大きさですか? 本のサイズよりもかなり小さいと思うのですが……。

はい。だいたい、A4サイズのコピー用紙に収まるくらい小さく描いて、清書も鉛筆でして、それをパソコンに取り込んでいます。

───これ、拡大するとかなり線が太くなりますよね……。

よく太い画材を使って描いていると思われるのですが、小さく描いて、それを拡大しているから、独特のかすれや、粗い感じが表現できているんです。


ラフ(左下)と清書した原画(右下)です。本との大きさの差を感じますね。

───すごい! こんなに小さいと思いませんでした。本と同じサイズで描こうとは、思わなかったんですか?

そうですね。他のイラストの仕事でもそうなんですが、例えば丸を描くとき、大きく描くとどうしても歪んでしまって、一発で良い丸が描けない。小さいサイズで描いた方が、精度が高いんです。
それと、描いているとどうしても、遠くから俯瞰して見て、全体のバランスを確認したくなるのですが、小さいサイズだと、スッと体を引くだけで、全体が見えるんです。そういう効率の良さ、自分の中の絵のバランスのとりやすさもあって、できるだけ小さく描いてしまいますね。

───原画よりも大きくなった絵を見たとき、ビックリすることはないですか?

それが味になる気持ちがしていて、そういうのもいいなーと(笑)。

───絵本の原画は、大きく描いて、縮小するイメージがあったので、すごく新鮮です。

マンガの原画とかも大きく描くことが多いですよね。でも、ぼくはほとんど、パソコンで色を付けて、データでお渡ししているので、この状態の原画を誰かに見せたりすること自体が、少ないんです。

───今見せていただいているのは、すごくレアなんですね! 原画のサイズも独特ですが、鉛筆を使って清書しているのも、珍しいと思います。鉛筆の太さにはこだわりがあるのですか?

太いところは6B鉛筆、細かいところは2Bの0.7oのシャープペンを使って描いています。目や鼻など、小さいパーツは、シャープペンで描くことが多いですね。鉛筆は自分でナイフを使って削っているので、絶妙に太さの差ができていて、同じ6B鉛筆でも、先端を使ってちょっと細い線を描くことも、斜めにして、面を広く使って描くこともできます。芯が柔らかいので、強弱が付きやすいのが、6B鉛筆を使う最大の魅力ですね。

───先程、色はパソコンを使って着色していること、水色など、既存の海の色を彷彿とさせるような色は、なるべく避けようと思ったことを伺いました。
ほかに色を付けるときにこだわったところはどこですか?

そうですね。使っている色自体は実は5色と少ないんです。黄色、水色、ピンク、あと肌色と黄緑色くらいでしょうか。色数が少ないと単調なイメージにもなってしまうので、ページをめくるたびに場面の印象が変わるよう、背景に使う色を重ならないようにするなど、工夫しました。


背景の色も工夫しています。

───カメの背に乗る場面は、黄色とピンク、ご馳走が並んでいる場面は白……という風に変化がついていますね。

海をピンク色に、空を黄色にすることはかなり冒険でした。でも、この方がふしぎな世界に行く感じが表現できるような気がしたんです。ご馳走の場面は、背景を白にすることで、より食べ物に注目が集まるようにと考えました。

───浦島太郎がもてなされている場面の、周りがピンクで、真ん中が白くなっているのも面白い描き方だと思いました。

ここは、浦島太郎が美味しいご馳走と、楽しいもてなしに酔って、ポーッとしている表現なんです。お酒を飲むと、視界がぐっと狭くなることがありますよね。そういう変化も絵で表現しています。

───なるほど。並んでいる料理もなんだかとってもふしぎで、「これはなんという食べ物だろう……」と思いました。

お団子やごはんなど、分かりやすいものもありますが、竜宮城で出る食べ物だから、ぼくたちも食べたことのない、ふしぎな見た目の料理を多く取り入れました。ただし、竜宮城にいる魚たちを連想するような食べ物はNG。「これは、どんな食べ物なんだろう?」と、想像力を膨らませるようにしました。

───竜宮城にやってきて、望んでいた非日常の生活を送ることができた浦島太郎ですが、1年も経つと、また退屈に襲われていることに気づきます。そして、乙姫様やカメたちの引き留めを振り切り、再び地上に戻ってきます。
今までの「浦島太郎」では、村が懐かしくなって戻ってきているのだと思っていましたが、この浦島太郎は、退屈な生活を送ることへのむなしさから、竜宮城を去っている気がして、新鮮でした

そうですよね。昔話の主人公って、優等生のキャラクターが多いと思っていましたが、このおはなしの浦島太郎は、恩返し目当てでカメを助けたり、退屈だから竜宮城に行こうと思ったり、かなり自分勝手なところが見られるんです。それが、すごく新鮮というか、今までの主人公の概念がぼくの中で崩れていくような気がしました。

───しかも、それを表情や態度で描かずに表現するんですよね。

はい。例えば、浦島太郎が再び地上に戻ってくる場面。本当は300年経っているのですが、300年ってすごいことですよね。ぼくだったらとても耐えられない絶望です。でも、その表情や、玉手箱を開けた後の姿を、この絵本では描くことができない。そこで、手を画面に入れて、年の経過を描いたり、遠くに見える山から、300年経ったけれど、浦島太郎は同じ場所に戻ってきたことを感じてもらえるように工夫しました。

───最後の、水辺に映った白いひげと、しわだらけの手の描写からも、浦島太郎がどんな表情で、年を取ってしまった自分を見つめているのか、いろいろ想像が広がりそうです。

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ニシワキタダシ

  • イラストレーター。1976年生まれ。大阪在住。イラストレーションの仕事を中心に幅広く活動中。
    著書に『かんさい絵ことば辞典』、『ニシワキタダシの日々かるたブック』、『あたらしいことわざ絵辞典』、『こんなときのどうする絵辞典』(以上、パイ インターナショナル刊)、『えBOOK』(大福書林 刊)、DVDに「みるきくはなす かんさい絵ことば辞典」(ポニーキャニオン)などがある。

作品紹介

浦島太郎が語る浦島太郎
絵:ニシワキタダシ
文:クゲユウジ
出版社:高陵社書店
桃太郎が語る桃太郎
桃太郎が語る桃太郎の試し読みができます!
絵:岡村優太
文:クゲユウジ
出版社:高陵社書店
シンデレラが語るシンデレラ
シンデレラが語るシンデレラの試し読みができます!
絵:柴田 ケイコ
文:クゲユウジ
出版社:高陵社書店
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