『ぼくのにゃんた』(ブロンズ新社)で絵本作家としてデビューした、鈴木康広さんは、日常の見慣れたものを新鮮な感覚でとらえ直す作品を、数多く発表されている人気現代アーティストです。
そんな鈴木さんが作る絵本の最新作は、『りんごとけんだま』(ブロンズ新社)。アーティストはどのように考えて作品を作るのか……。そのユニークな思考の連なりが追体験できる、考えることの楽しさに満ちた1冊です。
今回、鈴木さんの所属する、東京大学先端科学技術研究センターへお話を伺いに行ってきました。
●リアル「りんごとけんだま」発見!
まずはこちらの写真をご覧ください!
絵本から飛び出してきたような、《りんごのけん玉》。実はこれも鈴木康広さんの現代アート作品のひとつ。
鈴木さんは、この作品について、以下のようにコメントされています。
「けん玉は地球の引力を利用した遊びです。それに気づいて赤い玉をりんごの形にしました。
ニュートンもりんごから万有引力の法則を着想したと言われています。
月とりんごという一見かけはなれたものどうしをつなぐ視点は、
けん玉の「見立て」の世界とつながっています。」
そして、横浜山下公園象の鼻パークに制作した、巨大な象の鼻のオブジェ《未知への鼻》。
こちらも鈴木さんの作品のひとつです。
『りんごとけんだま』の中にも、このオブジェと同じ場面が出てきます。
鈴木さんは、『りんごとけんだま』についている「鈴木康広 遊びの成長史」の中で、絵本の刊行について、「《りんごのけん玉》という作品をつくってあたまのなかに広がった空想を受け止める場所がなくて困っていたところ絵本という居場所を見つけることができた」と書いています。
鈴木さんが、絵本に求めた居場所とはいったい何だったのでしょうか?