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切なくてあたたかい、小さな「わすれもの」の気持ち『わすれもの』豊福まきこさんインタビュー

遊んでいたオモチャ、てぶくろの片一方、大事なぬいぐるみ……。
大好きなのに、どこかに置き忘れてしまうことってありますよね。
絵本『わすれもの』は、公園のベンチに忘れられた、ヒツジのぬいぐるみが主人公のおはなしです。
ぬいぐるみの目線で語られる“わすれもの”の寂しさと強がり、そして持ち主を思う気持ち。読み終わった後に、ポッと心が温かくなるような絵本です。
作者の豊福まきこさんはこの作品が絵本デビュー作。絵本に込めた想いを伺いました。

わすれもの
わすれものの試し読みができます!
作:豊福 まきこ
出版社:BL出版

切なくてあたたかい、小さな「わすれもの」の気持ち。 ミナちゃんは、パパとママと大好きなヒツジのぬいぐるみと一緒に公園に遊びに行きました。ベンチにひつじを座らせたミナちゃんは、遊びに夢中になり、公園にヒツジをわすれてしまいました。ヒツジは、カラスにつつかれたり、ベンチから転げ落ちながらも、迎えが来てくれると信じています。けれどあたりが暗くなり、その夜は雨も降ってきて…。

編集者さんから、絵本のアドバイスをたくさんいただきました。

───『わすれもの』は、「大事なものをなくしてしまった」という誰もが一度は経験したことのあることを、落とし物側の視点で表した作品。この物語はどのようなことがきっかけで生まれたのでしょうか?

私はそもそも、イラストレーターとして活動していたので、おはなしが生まれるきっかけも一枚の絵からでした。このときは、「雨の絵が描きたい」という想いからです。雨でぬれているベンチに、ぬいぐるみが置いてある。そんな場面が頭の中に浮かびました。

───まさに表紙の絵、そのものですね。

はい。その絵のイメージと、物が忘れられてしまったら悲しいと思うだろうな……という、おはなしのテーマが、どのようにつながったかは、自分でもはっきり覚えていないんです。
ただ、ストーリーを考えているとき、大事なものをなくしたときの悲しさや後悔、そしてそれが見つかったときの「ああ、よかった」という安堵や喜びは、子どもも大人も関係なく、共通する思い。その思いを、絵本にしたいと考えていくうちに、ヒツジのぬいぐるみを主人公にしたおはなしが頭の中で生まれました。

───最初から、「わすれもの」はヒツジのぬいぐるみにしようと思っていたのですか?

ぬいぐるみであることは決めていたのですが、どの動物にしようかははっきりと考えてはいませんでした。「ぬいぐるみ」と聞いて、すぐに思い浮かぶ動物は、クマやウサギですよね。だからそれ以外の動物を主人公にしようと思いました。
あるとき、ヒツジのもこもこっとした毛をぎゅっと抱きしめたら気持ちよさそうだな、その構図はとってもかわいいだろうなと、絵が思い浮かび、主人公をヒツジのぬいぐるみにしようと思いました。

───大きなベンチの隅っこにヒツジのぬいぐるみがちょこんと座っている姿は、とても目を引きますね。主人公が決まってからは、おはなしもすぐに完成したのですか?

おはなしの大スジは早かったと思います。そのラフを編集者さんに見せてから全体が完成するまでは、約1年くらいかかりました。


制作を重ねたラフ(右)を見せていただきました。

───ラフを見せていただくと、最初からかなりしっかり描かれていて、完成度が高いと思ったのですが、出版までにどんなやり取りがあったのですか?

おはなしの展開はあまり変えていないのですが、最初のころは文章がもっと多かったんです。おはなしを作ることが初めてだったので、あまり短い文章だと、正確に伝わらないのではと思い、ついつい、ぬいぐるみの気持ちや、場面の情景など、かなり細かく書いていました。
しかし、編集者さんに、「絵で説明されているところは極力削りましょう」と言われたんです。何度も推敲していく中で、細かく書きすぎると、登場人物の気持ちを読者が想像する自由度を奪ってしまうということに気づきました。

───特に推敲するのが難しかった場面はありますか?

最後の、ぬいぐるみと女の子が再会する場面ですね。この場面はもっと多くて3〜4行ほどの文章がありました。でも絵を見れば全部伝わる!と信じて、本当に短い一言だけを選びました。自分の絵の力を信じるのに、とても勇気が要りました。

───文章以外にも編集者さんからのアドバイスはありましたか?

たくさんありました。私はイラストレーターとして絵を描いてきましたが、絵本としての絵を描くのははじめて。なので、様々なアイディアやアドバイスをもらいました。
例えば、最初の公園の場面。ここに、とっても小さいですが、わすれもののヒツジのぬいぐるみと、女の子の家族も描いているんです。

───本当ですね!

子どもは、細かいところまで絵をしっかり見ているし、そういうのを発見するのが好きだよと言われ、「そういえば私もそうだった」と思い出しました。あと、カラスにつつかれて、ベンチから落ちてしまったぬいぐるみを、ねこの親子がベンチまで戻してくれる場面。ここで、女の子がぬいぐるみを探しに来ている様子を、画面の端っこに描いているんです。

───お母さんと一緒にぬいぐるみを探している女の子の不安そうな姿が登場しますね。

これも、「自分の大事なものを忘れて、一度も探しに行かないことってあるでしょうか?」という小さな疑問から追加したシーンです。うまくすれ違っているように見えるように、どの角度で女の子を配置させたらいいか、ぬいぐるみはどの方向に落ちていって、ネコたちに拾われるのが良いか、位置関係をいろいろ考えました。

───最後に、無事に女の子の家へ戻ったぬいぐるみを、ネコたちが見に来ている様子が描かれているのも、つながりを感じられて楽しいですね。

はい。最初は、お風呂場のタイルが描きたくて、室内で洗濯している場面にしていたんです。でも、編集者さんから、「デザイン的になりすぎているかも」と言われ、じゃあ、庭で洗おうとラフを描き直しました。
すると今度は自分で「ここでネコたちが様子を見に来ていたら、楽しいかも」と思って追加。編集者さんとのやりとりで、私自身も色々なアイディアが浮かび、絵本を手にする子どもたちがワクワクするようなエッセンスをいっぱい入れることができました。

───ネコたちとの再会の様子は、本を閉じた後の裏表紙にも描かれていて、物語の余韻を楽しめるところが、嬉しいですね。

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豊福まきこ(とよふくまきこ)

  • 東京都出身。武蔵野美術大学造形学部卒業。広告代理店でグラフィックデザイナーとして勤務したのち、フリーランスのイラストレーターに転向。
    新聞・雑誌・バレエ専門誌・児童書籍の挿絵など幅広く手がける。

作品紹介

わすれもの
わすれものの試し読みができます!
作:豊福 まきこ
出版社:BL出版
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