うまはかける うまはかける うまはかけるの試し読みができます!
文: 内田 麟太郎 絵: 山村 浩二  出版社: 文溪堂 文溪堂の特集ページがあります!
ナンセンス絵本の決定版!
ヒラP21さん 60代・パパ

いろんな「かける」
「うまは駆ける」、「うま歯欠ける」と言…
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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  新米パパママへ贈る 子育てはツライ!?楽しい!? 本音トーク 座談会 【ヨシタケシンスケさん、書店員 花本武さん、編集者 跡辺さん & 沖本さん】

まさに新米パパまっただ中です。

───花本さんは新米パパまっただ中ですよね。子育ては、楽しいですか?

花本:ぼくはすごく楽しいです。『ヨチヨチ父』を読んで、共感することがいっぱいありました。ぼくもこんな感じですよ。出かけるときに、なんの荷物も持たずに、子どもだけ抱っこして、「さあ、いこー!」って。妻のほうがはるかにしっかりしているんですよねえ。
あと、本の中にヨシタケさんが描かれているように、妻と「あかちゃんのにおい、なんていい匂いなんだろうね」って何度も話しました。なんかもう…あの匂いだけでいいなっていうくらい…。


あかちゃんと出かけるときの荷物の多いこと…!「荷物問題」『ヨチヨチ父』より


「赤ちゃんのにおい」(『ヨチヨチ父』より)

ヨシタケ:いい匂いですよね。不思議ですよねえ。

跡辺:今もいい匂いですよ。中2のお兄ちゃんも、くさくていい匂い(笑)。

花本:子どもの匂いもだけど、「人間がはじめて言葉を獲得する瞬間に立ち会うって、すごいことだ」と日々感動しています。それまでは単語でアヒルのことを「があがあ」と言っていたのですが、この間子どもが初めて二語文を口にしました。いつもお散歩で通るとアヒルがいるところに、アヒルがいなくて、「があがあ、いない」と言ったんです。子どもの頭の中で、今、何かと何かがつながったんだ!すごい瞬間だなあと。そういう記録を残したいと思って自分で「父子手帳」を作りました。

一同:おお〜! 父子手帳!

跡辺:ヨシタケさんも『ヨチヨチ父』のカバー折り返しに、「母子手帳はあるのに、『パパ手帳』は無くていいの…?」とショックを受けているパパを描いていましたよね(笑)。


「『パパ手帳』は無くていいの…?」(『ヨチヨチ父』より)

花本:本当にそうですよ。母子手帳しかないのは納得いかない、と思って。ファーストシューズがどんな靴だったか、初めてリュックを背負った日とか、1歳の誕生日プレゼントはタンブリンと笛だったとか、いかにもすぐ忘れてしまいそうだけど、ぼくが覚えておきたいと思うことを、父子手帳には記録しています。

ヨシタケ:すてき〜!


花本さんの「父子手帳」!


『マイブック』にも子どものことをメモしています

花本:例えば「きのこ」って言うと子どもが拍手をするんですよ。不思議な言葉の覚え方をしているんですよね。もう1冊、日付入りの記録ノート『マイブック』(新潮文庫)にも子どものことをメモしているんですが、ゾウが好きでゾウのエピソードがしょっちゅう出てきます。わりとどうでもよいようなことだけど、書くのが楽しいです。でも育児していると毎日ものすごく忙しいんですよね…。もっと書きたいんですけど…。

───花本さんご自身も、本屋さんは朝が早かったり土日もお休みじゃなかったり…忙しいお仕事ですよね。

花本:そうですね。ただぼくはすごいメモ魔なんで。今、動画は手軽にとれるけど、動画って“ありのまま”じゃないですか。ぼくの場合は、それじゃないような気がします。「自分の視点で子どもをとらえたこと」を残したいんだと思います。

ヨシタケ:ぼくは花本さんの奥様も存じ上げているんですけど、作家さんでいらっしゃるんですよね。

花本:そうですね。元々は仕事で知り合いました。

沖本:花本さんの家庭では、パパが稼いで家族を養う、ママが家にいて家庭を守るとか、そういう性別の役割意識はありますか。

花本:まったくないですね。妻の影響も大きいですが、「こちらの性別はこういう役割であるべきだ」というメッセージやプレッシャーを伝えてくる人が周囲にあまりいないなと思います。
妻には「子どもを理由に、自分が本当にやりたいことを制限するのは、よくない」とよく言われます。それは子どもにとってもよくないことだから、子どもがいるからこそ、自分が本当にやりたいことをちゃんとやりなさい、と言うんですね。妻の考えを尊敬しますし、僕自身も妻の言葉に助けられています。

沖本:本来、夫婦は相手が楽しそうにしているのが幸せだから、互いにやりたいことができるように、どうすればいいのかを一緒に考えられたらいいですよね。

「父」になるのが遅い人もいるんだよ。

跡辺:「イクメン」という言葉も出てきて、この10年間でパパの抱っこひも姿も珍しくなくなりましたよね。世代の意識もだいぶ変わってきたのかな。今だから『ヨチヨチ父』が読まれているのかもしれないですね。

沖本:これまでは、育児マンガの読者ターゲットはお母さんたちでしたものね。

ヨシタケ:でも、自然にパパになれる人もいるけど、やっぱりすぐにパパにはなれない人もいると思います。出産に立会ってぼろぼろ泣いちゃって「一緒に育てていこうね」って、感極まって言えるお父さんもいると思う。そういう人は放っておいても大丈夫。自然にパパになれます。でも僕の場合は、最初に盛り上がれない自分がいて「やばいんじゃない、これ」と。
そういう意味ではぼくは「父親でいるってそんなにわるくないな」と思えるようになるのがいちばん遅かったタイプとして、「遅い人っているんだよ」と言えたらいいなと思っているんです。そういう情報もあちこちに転がっているべきだし、みんなそれぞれだよな、子どもができて「幸せ」って言えるやつも、そうじゃないやつもいるよなって。

沖本:そうですよね。ママもパパも自然になれる人ばかりじゃないし、目覚めが遅い人ってけっこういると思います。

ヨシタケ:「みんなやってることなのに、なんでうちは子育てを楽しめないんだろう。子どもが可愛く思えないんだろう」と思うと、追いつめられるきっかけになったりするので、うまくいっているやつばかりじゃないよと伝えたいですね。

沖本:『ヨチヨチ父』に出てくる親はみんなキラキラしていないですものね。目のクマもすごいし、くしゃくしゃで(笑)。

花本:たしかに! 「寝られていない」感じがすごい。


育児中のつらいことのひとつは慢性的な睡眠不足。(『ヨチヨチ父』より)

ヨシタケ:クマにはこだわりがありますからね(笑)。以前、国が出生率を上げるために制作した、子育てPR冊子のイラストを描かせていただいたことがあるんですが、そのとき監修者の大学の先生から「お父さんとお母さんを楽しそうな表情に描き直してください」と言われたことがありました。当時ぼくは大変な時期の渦中で、今までの価値観の、いわゆる“ツラさ”はあっても、今までになかった“楽しさ”があると、ちゃんと伝わればいいんじゃないかと思ったのですが、うまく伝えることができませんでした。
あと、ぼくが絵本を描くときに気をつけているのは、父、母、子の3人いなきゃ幸せじゃないというメッセージは出したくないと思っているんです。ぼくが絵本で描くのは、だいたい「お母さんと子ども」か「お父さんと子ども」なんですよ。でも世の中にはいろんな形の家族があって、おじいちゃんと孫しかいないけど楽しいとか、さらに言うと、血がつながってなくても家族だとかありえると思うんです。父・母・子の笑顔を描かなくても、「幸せ」って表現できるんじゃないかと思っています。

───『ぼくのニセモノをつくるには』の中の「ぎゅーっとされるのすき!」のページが大好きです。ここは、「だれが」ぎゅーっとするかは描かれていないんですよね。


「ギューってされるのすき!」(『ぼくのニセモノをつくるには』より)


やわらかいものと触れ合う気持ちよさ!(『こねて のばして』より)

ヨシタケ:ただぎゅーっとされた嬉しさですよね。『こねて のばして』も、触られるから嬉しいんです。相手がお母さんじゃなきゃ嬉しくないのか、血がつながっていないと嬉しくないのか。たぶんそうじゃなくて、突き詰めるとただ動物として、やわらかいものをさわったときの気持ちよさですよね。根源的な「嬉しい」「気持ちいい」に「お母さん」「お父さん」の記号は要らないと思います。ほら、ぎゅっとしたりやわらかいものをこねたり……気持ちよくない?って。

『こねて のばして』をスキンシップ絵本として作るなら、本当はママがあかちゃんをこねて、キャッキャッとあかちゃんが嬉しそうに笑う絵本を描くのがいちばん伝わりやすいんですよ。ただそうすることで、パパや、ぼくみたいに目覚めの遅い人が置いてけぼりになるでしょう。

───たしかに。『こねて のばして』はママとあかちゃんだけじゃなく、みんなのためのスキンシップ絵本なんですね。

ヨシタケ:パパもママも、すんなり目の前の子どもに愛情を感じられない人は、子どもにこんなふうにどんどん触ってねって言いたいです。最初は「子どもに触りたいと思わないオレって、ダメなのか?」と思いますよね。でも、まあ、ちょっと触ってみてよ、と。
触っていると、首がすわっていなくてもだんだんわかるでしょう、抱き方が。愛情があるから触るわけじゃなくて、触ったりにおいをかいだりしているうちに、愛情ってだんだん湧いてくるものなので。


踊っている…のではなく抱き方に四苦八苦。「パパダンス」(『ヨチヨチ父』より)

───そうか、逆なんですね。触るからこそ愛情が湧いてくる…。

ヨシタケ:順番としてはそっちなんですよ。

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ヨシタケシンスケ(よしたけしんすけ)

  • 1973年、神奈川県生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。日常のさりげないひとコマを独特の角度で切り取ったスケッチ集や、児童書の挿絵、装画、イラストエッセイなど、多岐にわたり作品を発表している。『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)で、第6回MOE絵本屋さん大賞第1位、第61回産経児童出版文化賞美術賞などを受賞。著書に、『しかもフタが無い』(PARCO出版)、『結局できずじまい』『せまいぞドキドキ』(以上、講談社)、『そのうちプラン』(遊タイム出版)、『ぼくのニセモノをつくるには』(ブロンズ新社)、『りゆうがあります』(PHP研究所)などがある。2児の父。

作品紹介

ヨチヨチ父 とまどう日々
ヨチヨチ父 とまどう日々の試し読みができます!
作:ヨシタケシンスケ
出版社:赤ちゃんとママ社
こねて のばして
作:ヨシタケシンスケ
出版社:ブロンズ新社
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