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「こびとづかん」シリーズ 11年ぶりの新作絵本!『こびと桃がたり』 なばたとしたかさんインタビュー

子どもたちの熱狂的な支持を受け、シリーズの累計発行部数270万部を超える「こびとづかん」シリーズ(ロクリン社)。絵本『こびとづかん』『みんなのこびと』から始まり、『こびと大百科』『こびと観察入門1』『新種発見! こびと大研究』、そして240種ものコビトを描き下ろした『こびと大図鑑』と、図鑑タイプの本の発売が続いていましたが、ついに待望の新作絵本『こびと桃がたり』(以上、すべてロクリン社)が登場!
実に11年ぶりの絵本、しかもコビトで一番人気の「カクレモモジリ」のお話とくれば、否が応でも期待が高まります。いったいどんなお話なの? 新種のコビトは出てくる? 作者のなばたとしたかさんに伺いました!

こびと桃がたり
作:なばた としたか
出版社:ロクリン社

桃を食べつくしてしまうコビト、オニモモズキに乗っ取られてしまった桃園。 このままだと、桃がぜんぶ食べられちゃう! “オニ”を退治するため、じぃじにもらった「桃守りの書」を片手に、僕は3人のコビトの仲間を探す旅にでた。 犬のガルシアとカクレモモジリと一緒に──。

一番人気の「カクレモモジリ」が絵本に!

───前作、240種ものコビトの生態を網羅した『こびと大図鑑』が記憶に新しいですが、絵本は、『こびとづかん』『みんなのこびと』以来、11年ぶりの新作ですね。

この11年間、新刊を出すたびに「絵本はもう描かないんですか?」と、毎回ファンの方たちに言われていたんですが、気がつけばこんなに時間が経ってしまいました。今回やっとその声に応えることができて本当に良かったです。あの時の子どもたちはすでに大人になっていると思いますけど(笑)。

───しかも一番人気のカクレモモジリ。カクレモモジリが絵本になるのは初めてですよね。

そうですね。実は今年は「カクレモモジリ発見10周年」なんですが、その節目にこうしてモモジリの絵本を描けたのはとても感慨深いですね。
カクレモモジリは今まで「発見」されたコビトの中で、圧倒的に一番人気。「こびとづかん」を知らなくても、カクレモモジリは知っているという人も多いので、そういう人たちにもこの絵本を手に取ってもらえたら良いなと期待しています。

───ピンクで丸い顔、桃みたいなお尻が可愛い! カクレモモジリは大人も子どもも好きになりますよね。
『こびと桃がたり』はどんなお話なんですか?

ある朝、主人公の「僕」が、桃園に桃をとりに行くと、あちこち食べ散らかされた桃と、くたっと倒れて元気がないカクレモモジリを見つけます。実はこの桃園は、桃を食べつくしてしまうコビト、オニモモズキに乗っ取られてしまっていたのです。「このままだと、桃がぜんぶ食べられちゃう!」と、オニモモズキ(“オニ”)を退治するため、じぃじにもらった「桃守りの書」を片手に、「僕」は相棒の犬のガルシアと、カクレモモジリと一緒に、伝説の3人のコビトを探す旅に出る──というお話です。


「桃をとってきておくれ」ある朝じぃじにたのまれた僕は……。(『こびと桃がたり』より)


ガルシアの頭の上にくたっとした桃……じゃなく、これってカクレモモジリ!?(『こびと桃がたり』より)

───カクレモモジリは“むかし話の『桃太郎』のモデルといわれる”と『こびと大百科』に書かれていましたが、『こびと桃がたり』でその秘密が明かされるんですね!?

そうなんです。カクレモモジリ、そしてお供の3人のコビト達。昔から人々はこのコビト達の力を借りてオニモモズキから大切な桃園を守っていて、それが語り継がれていつしか『桃太郎』というむかし話が生まれた……と(笑)。


「オニモモズキというコビトの仕業にちがいない」(『こびと桃がたり』より)

───オニモモズキはインパクトがありました! 桃を投げつけられる夢を見そうです……(笑)。

オニモモズキは、本当はそんなに悪いやつじゃないんですよ。本来おくびょうな性格なのに、桃を食べるとなぜか気が荒くなって、食べれば食べるほど凶暴になってしまいます。本には書いていませんがこの習性を「桃幻狂(とうげんきょう)状態」と言います。我にかえったあと、本人たちは何も覚えてないんです。それはそれで困ったコビトですけどね。


「『桃守りの書』第1章 カチイヌノチカボエを呼ぶべし」(『こびと桃がたり』より)

───今回の絵本に登場するのは、オニモモズキ以外、みんな可愛いコビトばかりですね。これまで図鑑などで登場したことがあるコビトですか?

いいえ、みんな「新発見」のコビトたちです。可愛く、縁起がよいコビトばかりです。久しぶりの絵本なので、神秘的でありながら縁起よくお祭り的にしたかったというのもあります。みんな幸紋(コウモン)※ が付いていますし(笑)。

※幸紋(コウモン)…縁起の良いとされるコビトの額についているホクロのような紋章。


『こびと桃がたり』で「新発見」のコビトたち!

───たしかにカチイヌノチカボエは紅白でおめでたい感じだし、ゴエンモンがお風呂に入っているところもかわいい……。ニジキジボジンが登場する、神々しい場面も見どころですよね。

ニジキジボジンが登場する場面の原画がこちらです。


ニジキジボジン登場場面の原画。

───神々しい〜! ニジキジボジンの羽根のグラデーションが美しいですね。実際に原画はどのように描かれているのですが?

アクリル絵の具でキャンバスボードに手描きで描いています。キャンバスボードの板がけっこう分厚くて重たいです。
描いた絵をパソコンに取り込んで、色味や配置を、パソコンで調整します。たとえば原画のニジキジボジンは茶色味が強かったんですけど、描いているうちにもっと神々しくしたいなと思って、パソコンで色を変えています。


「ニジキジボジンが現れれば、かならず巣にまいおりてくる」(『こびと桃がたり』より)

───原画と、印刷された絵本では、色が違うところがあるんですね。見比べてみたくなります。

僕はコラージュが好きで、別々に描いたものをパソコン上で合成することもよくあります。カバーの絵は、絵の具で描いたいくつもの原画を組み合わせています。配置も、背景も、最終的には全部後から組み合わせました。


4枚の原画がひとつになって、表紙の絵に!

まず中央の絵を最初は表紙にしようと思って完成させました。ですが、何となく背景が閉鎖的な感じがして、もうちょっと周囲が明るく広がって見えたほうがいいなと思い、左下の風景の絵を描いて差し替えました。また、当初はカクレモモジリが桃をつきやぶって顔を出していたのですが、なんだか描いたあとに眺めていたら物騒に感じてきたので桃かごから顔を出す形に変更しました。こうやって毎回試行錯誤しながらやっています。

───いくつもの原画が組み合わさっているんですね。

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なばたとしたか(なばたとしたか)

  • 1977年、石川県生まれ。イラストレーター。本の制作を中心に、イラスト、映像と幅広く活動している。作品に『こびと大百科 増補改訂版』、『こびと観察入門1⃣ 増補改訂版』、『新種発見! こびと大研究』、『こびと大図鑑』、『こびとづかん』、『みんなのこびと』をはじめ、『いーとんの大冒険』などがある。

作品紹介

こびと桃がたり
作:なばた としたか
出版社:ロクリン社
こびとづかん
こびとづかんの試し読みができます!
作:なばたとしたか
出版社:ロクリン社
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みんなのこびとの試し読みができます!
作・絵:なばた としたか
出版社:ロクリン社
こびと大百科 増補改訂版
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作:なばたとしたか
出版社:ロクリン社
こびと観察入門(1) 増補改訂版
作:なばたとしたか
出版社:ロクリン社
新種発見!こびと大研究
作:なばたとしたか
出版社:ロクリン社
こびと大図鑑
こびと大図鑑の試し読みができます!
作:なばた としたか
出版社:ロクリン社
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