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作: 風木 一人 絵: たかしま てつを  出版社: KADOKAWA KADOKAWAの特集ページがあります!
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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  絶滅危惧種たちに思いをよせる 絵と詩と音楽のコラボレーション『ゼツメツキグシュノオト』インタビュー

日常の彼らに目を向けてほしいという思いがありました。

───詩と絵と音楽のコラボレーション。この今までにない面白い企画が立ち上がった経緯から伺いたいと思います。作曲家の春畑さんと、作家・イラストレーターの茂木さん、おふたりの出会いを教えてください。

春畑:茂木さんはもともと「音の台所」というペンネームで「音楽紙芝居」という、パフォーマンスと音楽と絵の活動をされています。私は、はじめて茂木さんの朗読を聞いたときに、ものすごく衝撃をうけたんです。上手な朗読、美しい声ということを超えた魅力があって、「なんだこれは!」と思いました。そのときに、いつかコラボしましょう、と約束したのがきっかけです。


作曲家 春畑セロリさん

茂木:ブルクミュラーという子どもたちが弾くピアノの教則本があるんですが、私も春畑さんも関連のお仕事でもご縁がありまして、その後またブルクミュラーのイベントでお会いする機会があったんです。


イラストレーター/作家 「音の台所」(茂木淳子さん)

春畑:イベントの打ち上げの席で、茂木さんに「忘れないうちに約束を実現させましょう」と話したら、茂木さんが「わたし考えていることがあるの」とおっしゃいました。「絶滅危惧種をテーマにしたい」と。

───「絶滅危惧種」と聞いて、春畑さんはどう思いましたか?

春畑:「絶滅危惧種??」と戸惑いました(笑)。でも茂木さんがこう言ったんです。「絶滅危惧種って言っても、みんなとってもかわいいのよ。絶滅すると言われても関係なく生きてるの。かわいそうっていうより、かわいいの。その命を描き残したいの。」って。

───茂木さんはなぜ「絶滅危惧種」をテーマにしたいと思ったのですか?

茂木:直接的な動機があったのかなかったのか、自分でももうわからなくなっているんですけど、絶滅危惧種について考えるようになったきっかけは、パソコンの画面の中で見た絶滅危惧種の鳥「カカポ」でした。カカポは、ニュージーランドの孤島で生きる、別名フクロウオウム。飛ばない大型の鳥です。この世に100匹しかいないカカポですが、動画を見ると、いつも鼻歌を歌いだしそうなくらいゴキゲンに見えるんです。そんな彼らの普通の日々を絵や詩にして、音楽と一緒に心の中に記しておきたいと思いました。


カカポ

───「ゼツメツキグシュノオト」、すべてカタカナのタイトルも印象的です。

春畑:「絶滅危惧種」って漢字がなんだかこわいですよね(笑)。「滅」とか「危惧」とか。危機感をあおるイメージがあるので、そうではなく日常の彼らに目を向けてほしいという思いがありました。

───茂木さんのそっとつぶやくような詩の雰囲気にもピッタリのタイトルですね。連載の合作はどのように進めていったのですか?

茂木:毎月、まずモチーフになる生き物と、詩のタイトルとなる音楽用語を決めました。たとえば、「次回はクマゲラにしようと思うの。タイトルはレッジェーロ(軽やかに)で大丈夫?」「いいんじゃないかな」といったやりとりをして、決まったら、私は絵と詩の制作をしていく、という流れです。

───茂木さんは、画材は何を使って描いているのですか?

茂木:色の部分は、韓紙(はんじ)という韓国の手漉きの紙に顔彩などで色をつけています。いろいろな風合いの韓紙があって、色の滲み方を試してみたところ、紙の繊維の絡みかたがワイルドなものがおもしろく染まったんです。さらに色が乾ききる前に写真を撮ると、1番作品のイメージに合った素材を作れるとわかりました。
線は、鉛筆で描いたものをスキャンして、PC上で加工しています。デジタルでの作業ですが、黒い紙を切り抜くようなアナログなイメージで制作しています。 webでの連載だったので、どういう手法の絵にするかとても迷いました。PCの画面はバックライトもあるし、スマホの小さな画面で見る場合もありますよね。どういう風に人の目に映るかを意識して考えた結果、この手法に行きつきました。

───発光しているような、生き物の瑞々しい色合いは、そうやって生み出されているんですね!
春畑さんの作曲の作業はどのように進行していくのでしょうか。

春畑:できあがった絵と詩が茂木さんからメールで送られてきて、それを受けて、私は制作をスタートします。

───制作にあたって、その生き物の生態について調べたり、情報を収集したりするのでしょうか?

春畑:茂木さんの詩を読んで、私なりにその生き物の情報を集めたりするのですが、やりすぎると茂木ワールドがきっと壊れてしまうと思いました。この時点で科学的な知見にもとづいた情報をたくさん得てしまうと、きっと茂木さんの持つイメージの世界が広がらなくなってしまう。なので、あえて調べすぎず、動画を少し観るくらいに留めて作曲作業に入っていました。茂木さんの作品を見た後は、ピアノに手を置くと、もう最初の4小節くらいすぐできちゃうんですよ。今までの制作の中でも1番早く書けたかもしれませんね。

───そのなかでもこれは大変だったという曲はありますか?

春畑:音楽用語に縛られたという点で大変だったのは、「リュウキュウアカショウビン」ですね。詩のタイトルは「ポルタメント」。ポルタメントというのは、管楽器や弦楽器で滑らかに音程を変える演奏技法で、ピアノでは絶対できない技法なんです。
茂木さんに「ポルタメント」にしていい?と言われたとき「ええっ!ピアノでポルタメントできないよ。」と答えたのですが、「『リュウキュウアカショウビン』の鳴き声を聞いてみて」と言われて。茂木さんが「ポルタメント」と表現した「キョロロロロ」という鳴き声をピアノでなんとか表したいと思って作った曲です。

───「キョロロロロロ」という鳴き声をピアノのメロディで聴いて、目の前に情景が浮かびました。
1曲が、楽譜1ぺージくらいの長さの曲集ですが、ほかの曲作りと違う部分はありましたか?

春畑:短い曲を作るって、作曲家にとって案外ハードルが高いんです。その曲を構成する主題(中心となるメロディー)は、第一主題、第二主題とあるのが通常で、それを曲の中でどれだけ格好よく展開できるかということが腕の見せ所です。でも『ゼツメツキグシュノオト』の曲は、短くて第一主題を出すくらいで終わります。俳句のように1つの世界をパッと表して終わる。曲には、生き物のイメージだけでなく、まわりの空気…、たとえば夜の静寂があって、遠くの海の音が聞こえるような気がしたり……、という手触りのようなものが出したいと思って制作していますので、余白から広がる世界は、聴いた人に想像を広げてもらいたいと思います。

茂木:音楽になって、私が感じて絵を描いたもの、平面が空間になりました。音楽と絵が一緒になって広がっていく。そして体験してくれた人が、考えたり、話したり、さらに別の何かに繋げてくれる。それが、このプロジェクトの醍醐味だと思います。
このプロジェクトは、春畑さんと私のふたりではじめたものでしたが、どんどん賛同して参加してくださる方が増えて、打ち合わせで集まる人数やメールでやりとりする宛先の数に、いつのまにかこんなに?と驚くくらい大きなプロジェクトになりました。web連載からはじまって、楽譜・CD・絵本の形になりましたが、最初にあった思いがそのまま作品になって、さらに体験した人の手で広がっていくということがとても感慨深いです。

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「音の台所」茂木淳子(おとのだいどころ もぎじゅんこ)

  • コンサートやエデュケーション・プログラムの企画制作のかたわら、イラストを描きはじめる。2012年よりブルクミュラー25の練習曲や童話による「ピアノと語りでつづる音楽紙芝居」を制作。構成やイラストを手がけるとともに上映時には語りも行い、「月夜のナイチンゲール」「幸福な王子」「金の魚」「火打ち石」「オツベルと象」「王さまのねこ」などを発表し、再演を重ねている。2016年1月から2017年6月まで、音楽之友社ホームページで「ゼツメツキグシュノオト」(作曲:春畑セロリ 絵:音の台所)を連載。
    2013年より沖縄県那覇市に在住。イラストや版画(リトグラフ)などの制作を行っている。

春畑セロリ(はるはたせろり)

  • 作曲家。東京藝術大学卒。鎌倉生まれ、横浜育ち。舞台、映像、イベント、出版のための音楽制作、作編曲、演奏、執筆、音楽プロデュースなどで活動中。主な著作に、「オヤツ探険隊」「空をさわりたい」「できるかな ひけるかなシリーズ(全7冊)」「連弾パーティー・シリーズ」「きまぐれんだんシリーズ(全6冊)」(以上、音楽之友社)、こどものためのピアノ曲集「ひなげし通りのビム」(カワイ出版)、ピアノ曲集「ポポリラ・ポポトンカの約束」「ぶらぶ〜ら地図」(全音楽譜出版社、CDは日本コロムビア)などがある。
    http://www.trigo.co.jp/celeri/

内藤晃(ないとうあきら)

  • ピアニスト・指揮者・作編曲家。東京外国語大学卒業。弾き振りを含む多彩な演奏活動のほか、「もっと深い音楽体験」を共有すべく、ユニークな発想でレクチャーや執筆を行う。月刊音楽現代に「名曲の向こう側」を連載するほか、監訳書にC.ローゼン著「ベートーヴェンを“読む”」(道出版)、校訂楽譜に「ジョン・アイアランド ピアノ曲集」(カワイ出版)などがある。主宰ユニット「おんがくしつトリオ」は、教育楽器によるエキサイティングなアレンジで人気を博し、全国各地の主要ホールに招かれている。
    www.akira-naito.com

深津美佐紀(ふかつみさき)

  • 1991年、東京に生まれる。東京学芸大学大学院卒業。現在は都内の科学館で科学コミュニケーターとして働いている。子どもの頃にピアノを習ったことがきっかけで、音楽好きに育つ。現在は趣味でトランペットを吹く。デビュー作となる「ゼツメツキグシュノオト」(楽譜・CD・絵本)では、生き物の解説文を担当。

作品紹介

ゼツメツキグシュノオト
絵・文:音の台所 (茂木 淳子)
音のモティーフ:春畑 セロリ
出版社:らんか社
ゼツメツキグシュノオト(楽譜)
作曲:春畑 セロリ
絵・文:音の台所 (茂木 淳子)
出版社:音楽之友社
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