もうなかないよ、クリズラ もうなかないよ、クリズラ
作: ゼバスティアン・ロート 訳: 平野 卿子  出版社: 冨山房 冨山房の特集ページがあります!
読み手の年齢を選ばない子どもから大人まで、それぞれの感性で理解してうけとめる事のできる「みんなの本」です。
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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  40年以上愛され続ける幼年童話の傑作「がまくんとかえるくん」シリーズ 三木卓さんインタビュー

ローベルは人間の裏表をちゃんと心得ている。

───がまくんとかえるくん、それぞれのキャラクターの性格についてもはじめからイメージがあったのでしょうか?

ええ。やっぱりありました。がまくんのほうが三枚目で笑わせる方。かえるくんのほうは、少しずるいところがあるかな(笑)。

───いつも騒ぎをおこすのはがまくんですね(笑)。それにかえるくんがつきあっている。

そうですね。がまくんとかえるくんのキャラクターのイメージは最初の2冊を訳したときにおおよそ確立しました。あとはそれを応用しましたが、だいたい間違っていませんでしたね。

───がまくんとかえるくんは、小さい子同士の仲良しのおともだちの関係のようでもあり、夫婦のようなすごく密接な関係にも見えます。三木さんは、がまくんとかえるくんの関係性について、どのように感じましたか?

最初の2冊を読んだときはそれほど気にしませんでしたが、4冊訳していくうち、あれ? と思いました。ふたりだけの密接な関係、ふたりだけの世界じゃないですか。他にも登場するキャラクターはいますが、深く関わってくることはない。お父さんとお母さんも出てくるけれど、思い出の中だけ。完全にふたりだけの物語なんです。閉鎖的な世界で互いに親友だって確かめ合っているんですよね(笑)。

───シリーズ通して、ふたりの関係だけを描いた物語なのは独特ですね。

このがまくんとかえるくんの関係性がすごいと思います。これがローベルの世界なんですね。
僕は、いろいろなエピソードに表れている、ふたりがお互いを思いやる気持ちを、品良く訳したいと思いました。

───4冊の作品を翻訳して、シリーズの人気を感じるようになったのは、いつ頃からですか?

こんなにみんなに愛されるようになったきっかけは、やっぱり『ふたりはともだち』のなかのおはなし「おてがみ」が、国語の教科書に採用されたことでしょうね。発売されてから5年以上は経っていたんじゃないかと思います。

───教科書に載ると聞いたとき、三木さんはどう思われましたか?

「おてがみ」が選ばれたとき、これは直球だなと思いました。教科書に掲載するには、ちょっと分かりやすすぎるのではないかと。訳者がそんなことを言ってはいけませんけどね(笑)。
でも、あるとき「おてがみ」のおはなしを採用している教科書出版社の編集者に会ったときに言われたんです。「『おてがみ』はこれからもずっと、教科書に入りますよ。絶対です。」と。そのときに「おてがみ」の持つテーマ力みたいなものを認識しました。その通りずっと今でも「おてがみ」は、ほとんどの教科書に入っていますね。

───今や、「おてがみ」は、誰もが知っているおはなしですね。

人間にとって、「手紙」というものが本当にすごい存在なんだなと思いますね。みんな自分宛の手紙が嬉しいし、届くのを待っているんですよ。

───だから、がまくんが手紙がもらったことがなくて悲しいという気持ちや、手紙をワクワクして待つ気持ちにみんな共感するんですね。
おはなしのなかで、かえるくんは、自分で書いたお手紙の内容を、手紙が届く前にがまくんに話してしまいます。

そう。話しちゃうんです。そういうところがローベルのすごく上手いところだと思いますね。かえるくんは手紙の中身を全部正直に言っちゃう。まるっきり子どもの世界ですね。大人だとこうならない。それがまた読んでいて嬉しくなってしまいます。
手紙は、わざと「しんあいなる がまがえるくんへ」なんて訳しました。言葉が難しいと言われましたけどね、ここは絶対「しんあいなる」でいかなきゃなって思いました。

───妙に仰々しい書き出しなのが、微笑ましいです。

かたつむりの配達するその手紙を、がまくんとかえるくんは、ふたりでずっと待つんですから(笑)。


「しんあいなる がまがえるくん」

───内容が分かっていても、手紙が届くとやっぱり嬉しいんですよね。読んでいて、がまくんと一緒に幸せな気持ちになります。

手紙の持つこんな圧倒的な力をその当時知っていれば、僕も女性にもっと手紙を書いたのですが。書いていたら、少し待遇が違ったかな(笑)。

─── 一同(笑)。「おてがみ」のほかにも、シリーズを通して、心に残る言葉や場面がたくさんあります。

ふたりはいっしょ
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局

がまくんとかえるくんの物語「よていひょう」「はやくめをだせ」「クッキー」「こわくないやい」「がまくんのゆめ」の5編を収録。ニューベリー賞受賞作。

───「クッキー」は、クッキーがおいしくて止まらなくなってしまうおはなし。おはなしに出てくる、「いしりょく」という言葉は、子ども心にインパクトがありました。原文では“willpower”という言葉ですね。

ついついクッキーを食べ続けてしまうがまくんとかえるくん。面白いですね。
あれは、「いしりょく」という言葉に点々(傍点)が打ってあるでしょう。だから子どもたちが分からなくてもいいんです。でも、「意志力」という言葉を覚えてほしいという気持ちが僕にはあったのね。人間には意志力があるということを、この言葉を覚えておくと後で分かるよって。子どもの本を訳するときは、いつもそう考えています。訳が分からない言葉が出てきてもいいんだと、全部分かる必要はないけれど、頭のどこかに残っていて、後で「ああ、そうだったんだな!」となってほしいんですよ。


「ぼくたちには、いしりょくが いるよ。」

ふたりは きょうも
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局

がまくんとかえるくんのシリーズ4作目。たこあげするときも、誕生日をお祝いするときも、おばけの話をするときも、いつもふたりはいっしょです。

───「あした するよ」は、やるべきことをぐずぐずしてやらない、がまくんのおはなし。大人も共感してしまう内容ですね。

あれも、可笑しいおはなしですね。自分のこと言われているみたいでしょう?


「もし いますぐ ぼくがだよ。
おさらを あらったら、あしたは もう あらわないで いいんだろ?」

───こうやってやるべきことを片付けてしまえばいいのか、と妙に納得してしまいました。

みんな、ああやって生きてるんだなあと思ってね。いい話ですね。

ふたりはいつも
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局

がまくんとかえるくんのユーモラスな冒険物語が5編。「そりすべり」「アイスクリーム」「クリスマス・イブ」など春夏秋冬、一年間のふたりの生活が盛りこまれています。

どのおはなしが好きかと言われると、みんな良くて困ってしまうんだけど、僕は、「そこのかどまで」の話もやっぱり好きだな。

───どんなところが好きですか?

笑えるおはなしではないんだけど、いい話ですね。かえるくんやがまくんにも親がいて、過去があったんだ、としみじみします。それが春の訪れのおはなしであることも良いですね。

───小さい頃のかえるくんの姿が、「おたまじゃくしと あんまり かわらないぐらいの ころ」というのも面白いです。かえるくんのお父さんと小さなかえるくんが並んでいて。

可笑しいでしょう。それ(笑)。
それぞれのおはなしの終わり方も独特で、うちに帰って終わったり、おふとんに入って終わっちゃったりするのも子どもらしくて面白いですよね。

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三木卓(みきたく)

  • 東京都生まれ。詩集『わがキディ・ランド』で高見順賞、『鶸』で芥川賞、童話『ぽたぽた』で野間児童文芸賞、『イヌのヒロシ』で路傍の石文学賞、評伝『北原白秋』で毎日芸術賞など受賞。他の児童向けの本に『おおやさんはねこ』『星のカンタータ』『ほろびた国の旅』『イトウくん』など、翻訳にアーノルド・ローベル「がまくんとかえるくん」シリーズなどがある。

作品紹介

ふたりはともだち
作:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
ふたりはいっしょ
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
ふたりはいつも
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
ふたりは きょうも
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
ふくろうくん
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
きりぎりすくん
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
ぼくのおじさん
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
とうさんおはなしして
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
おはなし ばんざい
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
どうぶつものがたり
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
やどなしねずみのマーサ
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
ローベルおじさんのねこのマザーグース
作・絵:アーノルド・ローベル
訳:三木 卓
出版社:文化出版局
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