もうなかないよ、クリズラ もうなかないよ、クリズラ
作: ゼバスティアン・ロート 訳: 平野 卿子  出版社: 冨山房 冨山房の特集ページがあります!
読み手の年齢を選ばない子どもから大人まで、それぞれの感性で理解してうけとめる事のできる「みんなの本」です。
人気絵本をスマートフォン・タブレットで!絵本読み放題サービス♪【プレミアムサービス】
絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  みごたえ満点!船の断面図絵本『ペンギンクルーズ』のはなはるかさんインタビュー

『ペンギンクルーズ』ができるまで【2】個別ストーリーを煮詰める

───こうしてみると船内もキャラクターも初期からずいぶん変化したのですね。

そうですね。キャラクター、部屋のデザインを平行して詰めつつ、断面図内の個別ストーリーを煮詰めていきます。最初はすべて文字で書いて「登場人物が全員いるか」「伏線がきちんとしているか」を確認していきます。


夜の場面の初期ラフ。時間設定は20時頃。最初は文字だけ。


テキスト上で編集者とすりあわせをします(赤字が編集者)。

夜の場面は「怪盗」が気球で脱出し、ホールでは「はらぺこ」を「給仕1・2・3」が見送っていて、多人数部屋では「アクセサリー作家」が、間接照明をつけてネックレスを作っていたのが完成!
「画家」や「ウクレレ弾き」は眠っています。「航海士」はコーヒーを飲みつつ運転中。「船長」は航海日誌を書いています。

こんなふうにテキストの段階で散々やりとりして固めておかないと、後でつじつまがあわなくなってきます。テキストでの内容決定後、絵に変換します。


絵に変換。テキストの赤字で「夢の中身が見えると面白いですね」と編集者から提案があり、眠っている間の夢の絵を描き足しています。カップルが見ているのは結婚式の夢!?


さらに修正が入ります。ベッドのハシゴの段数も数えます!

何度も修正するので、消しゴムで消して描き直しつつ、修正箇所がわかるように、黒鉛筆→青鉛筆→赤鉛筆→付箋と段階を踏んで修正していきます。原画を描くときのために細かいメモも入れていきます。このようにラフを煮詰めるのにはかなり時間がかかります。『ペンギンクルーズ』は原画の下絵に入るまでに半年以上かかりました。


完成した夜の場面!「ねむっている あいだも こうかいは つづく」(『ペンギンクルーズ』より)


こちらは乗船してすぐの場面。「スイマーサーフボード持参」「幕はまだあけないでおく」などのメモあり。年配夫婦の間には、新婚旅行の思い出が描き加えられ、「セピア色」とメモあり。青鉛筆で描き加えられている。

───夜の場面で、アクセサリー作りをしているオシャレなペンギンが気になりました。最後の別れの場面で、船から手をふっているペンギンのひとりですよね。

そうなんです。実は「グアナじま」に着いたとき、この人だけ、荷物をもって船をおりているんですよ。なぜなら旅の目的がイグアナの友だちに会うことで、みんなは船に泊まるけれど、この子だけは友だちの家に泊まるから。みんなと少し動きがちがうんです。最後はイグアナの友だちに手をふっています。船の中で作った首飾りをプレゼントしている場面、探してみてくださいね。

『ペンギンクルーズ』ができるまで【3】デザインとカラーの決定

ペンギンたちの服装だけでなく、それぞれの旅行カバンも1つずつデザインしました。少しリッチな母子のカバンは某高級ブランド風の柄です(笑)。これらの情報を全部まとめて間違えないようリストにします。書いてある数字は、コピックの色番号。そして海の生き物たちのデザインや色も決めます。帽子の形や足の数をよく間違えるのでメモします。


キャラクター作り込みのラフをもとに、カラーリングと持ち物を描き込んだリスト。制作中は部屋の壁に貼って作業したそう。服のデザインが原画と違う子もいますが、後で変更になります。どの子かわかるでしょうか…?


海の生き物たちのリスト。アザラシやアシカやセイウチ、イルカ7匹、小さな魚たち。

───クルーズ船と一緒に南の島をめざすように、どんどん集まってくる海の生き物たちですね。きれいな色〜。小さい魚まで色の設定があったんですね。

海の生き物たちは、途中から船のまわりにちょっとずつ姿が増えていきます。終盤のハイライトになる「星空みたいに輝く海」を見るため、一年に一度の特別な夜のために、集まってきているんですよ。「オセアノ・ペンギーノ号」には乗っていないけれど一緒に旅をしていて、合流地点の海で、みんな集まってきたから船が揺れるんです。


「わーい すごいぞ! みーんな みなみの しまに むかってる!」(『ペンギンクルーズ』より)

こちらは、壁紙やデザインを調整し終えた船内の線画です。これらを元に原画を描きます。


船内の線画。この絵がすべての船内断面図の元になります。


壁紙デザイン。ペンギンや船のインテリアの後ろにトレースしています。


船内の着彩見本。ちびペンギンたちの部屋の壁紙は錨(いかり)模様。年配夫婦の部屋はヨット模様に。花や貝殻のモチーフなど、トロピカルな南国ムード、マリン調がたっぷり!

色を間違えてしまうと大変なので、色番号を全部メモしておきます。全ページとおして同じ色にするため、ここは大事なところで必要な作業です。ここまできたら、やっと原画に入れます!


圧巻! コピックの色番号がぎっしり書き込まれています。


旗は、船同士の通信に使われる「国際信号旗」の柄になっています。続けて読むとクルーズにまつわるある単語になっているそうです…!

出版社おすすめ



『にんじゃかぞえうた ひみつのてがみじゃ!』 さいとうしのぶさんインタビュー
11月限定!無料ラッピングキャンペーン開催中♪

のはな はるか(野花 遥)

  • 絵本作家、美術作家。1989年生まれ。東京藝術大学修士課程修了。絵本作品に『たくさんの たくさんの たくさんの ひつじ』『109ひきの どうぶつマラソン』(ひさかたチャイルド)『うさぎマンション』『ペンギンクルーズ』(くもん出版)がある。

作品紹介

うさぎマンション
うさぎマンションの試し読みができます!
作:のはな はるか
出版社:くもん出版
ペンギンクルーズ
ペンギンクルーズ の試し読みができます!
作:のはな はるか
出版社:くもん出版
全ページためしよみ
年齢別絵本セット