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作: 北村 直子  出版社: 偕成社 偕成社の特集ページがあります!
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きゃべつさん 40代・ママ

ファンになってしまいました
大きなごつごつした石の表紙を見て、きっ…
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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  どんぐりむらの仕事とくらしの1年を描いた、どんぐりむら歳時記 『どんぐりむらのいちねんかん』なかやみわさん×絵本ナビ代表・金柿秀幸 対談インタビュー

豊かに生きるためにも「働くこと」を軽んじてほしくないと思います

金柿:改めて「どんぐりむら」シリーズ全体のテーマである「仕事」について、伺いたいと思います。どんぐりむらで働くどんぐりたちの姿には、働くことの喜びが描かれていて、仕事を通じて大人になることへの夢があると思います。やはり、それはなかやさんの仕事観が関わっていますか?

なかや:はい。それは、シリーズの軸としている部分です。私が子どもの頃は、もう少し将来に対して夢が持てた気がするんです。将来何になりたいか聞かれても、みんな平気で「総理大臣」とか「バレリーナ」とか、浮世離れしたことを言っていたし、全然それが恥ずかしくなくて。それが当たり前だと思っていました。
でも自分の子どもができてから、ほかの子どもたちを見ていくなかで、将来に対する大きな夢を持つ子がいなくなっていると感じることがありました。夢に大きい小さいの差はないですが、「安定している職業」というだけの理由で、夢を話している子が目につきました。きっとどんな仕事なのか内容も知らないんじゃないかと思ったんです。

金柿:きっと親が口にしていたことばなのでしょうね。そう言って喜んでもらったことがあったのかも。

なかや:そうですね。期待に応えたいという気持ちから出たことばかもしれない。でも本当は、将来の夢なんて、もっと自分勝手に持っていいと思うんです。特に小さいときは。大人がやっている楽しそうな仕事を自分もちょっとやってみたいとか、単純な憧れでいいと思うんです。だんだんその仕事のやりがいが分かったり、深く知っていけばいいですし。
でも世の中にたくさんある職業も、見る機会がなければわからないですよね。絵本で仕事を描くことで、子どもたちが働くことを考えるきっかけになってくれたらと思ったんです。
どんぐりむらという世界のなかで、いろんなどんぐりたちが自分の仕事を楽しそうにやって生活している。それがみんなのため、自分のためになって……というところが伝わればいいなと思います。それが将来職業を意識したときに、どこかに繋がってくれたらいいなと。

金柿:今は、新しい仕事が生まれたり、なくなっていく仕事もあったり、仕事のあり方もどんどん変わっていっています。仕事観が変わっていく時代だからこそ、「根っこ」の部分は、変わらないと思うんです。それはどんぐりむらの発するメッセージそのものだと思います。

なかや:どんなに職業が変わっても、根底にあるのはやりがいですよね。自分がやったことを感謝されて、自分もやってよかったと思えることに尽きますね。それで生活できればすごくいい、そういうことかなと思います。
仕事で満たされれば、自分の価値を肯定できるし、すごくつらいことがあっても仕事が救ってくれるんです。
仕事は人生を大きく変えます。豊かに生きるためにも「働くこと」を軽んじてほしくないなと思います。

金柿:子どもたちはきっとシンプルにおはなしが面白くて「どんぐりむら」シリーズに夢中になるんだと思いますが、親御さんに、仕事の価値を伝えてくれる「どんぐりむら」シリーズのすばらしさをもっと伝えていきたいです。僕は、以前もお話しましたが、(過去のインタビューはこちら>>)『どんぐりむらのぼうしやさん』をはじめて読んだとき、感激したんです。ビジネスの神髄がある!と。

なかや:ありがとうございます。読者のお父さんからも、「子どもの本が何気にビジネスを語っていた」といったレビューがついたり、その視点で作ったわけではないですが、嬉しかったです。

金柿:仕事をしている人が読んでも嬉しいんですよね。ぼうしやさんのどんぐりたちは、需要がないところに、逆転の発想で価値を作る。すごいなと思いました。

なかや:仕事をしているなかで、私もいつもその目線は持つようにしています。なのでとても自然に出てきたものでした。

金柿:工夫を大切に新しいものを作っていく、なかやさんらしさが、作品のキャラクターにも乗り移っているんですね。『どんぐりむらのいちねんかん』でも、ぼうしやさんはまた新しいぼうし「あめよけぼうし」を作っていて、ファンとしてとても嬉しかったです。

子どもたちに長い文章を読んでほしい

金柿:なかやさんはデビュー20周年を迎えられた今、感じることはありますか?

なかや:そうですね……。私の本はちゃんと時代に受け入れられているのだろうかと不安に思うことがあります。

金柿:ええっ? 大人気絵本作家のなかやさんが? それはなぜでしょうか。

なかや:読者ハガキで、「文章が多い」というメッセージを受け取ることがあって、それが1人2人ではないんです。たとえば「くれよんのくろくん」シリーズは、私の作品の中では1番文章が少ないシリーズなのですが、文章が長いという声が届いたときは驚きました。絵と文字のバランスでできる限りシンプルな文にしていますし、わかりやすいことばで、子どもに伝わるよう「てにをは」も悩みぬいて決めています。これ以上短くしたら文章として成り立たないですし、どういうことだろうかとショックを受けました。

金柿:それは困惑しますね。

なかや:これは、世の中のお母さんたちが変わってきているのではないかと思うんです。日常的にコミュニケーションを、短い文(会話)でやりとりするSNSの影響も大きいと思います。
今、私の作品は、園で絵本を読んだ子どもたちが、お母さんに「これ面白かったから買って」と頼んで買ってもらうことがよくあるのだそうです。以前はお母さんが選んで子どもたちに与えてくれていたのですが、今は逆です。お母さんたちと私の感覚が合わなくなってきたのかと寂しくなるときがあります。もちろん、私を支持してくださる熱心なお母さんたちもいらっしゃるので、二極化しているのかとも思うのですが。

金柿:子どもたちに選ばれているのが、面白い絵本である決定的な証明だと思いますが……。

なかや:子どもたちが選んでくれているのはとても嬉しいことですが、結局はお金を出すのは親(大人)なので、世の中で売れている絵本のランキングを見てもわかるように、上位に言葉が少ない絵本が増えています。昔より物語絵本が売れなくなっているように感じます。

金柿:昔からあるロングセラーの絵本の人気が以前よりは落ちているという話は聞きます。

なかや:子どもがいっぱい言葉を吸収できる時期は限られています。その短い大切な時期に、言葉が少ない絵本を選んでしまうのは、とてももったいないことだと思います。 読み聞かせをすればどんな絵本でも子どものために良いということではないと思います。月齢にあった、言葉のきちんと精査された、もっと長い本を読んであげてほしいなと思います。 絵本って、絵本のなかだけで完結するわけじゃなくて、そこから日常に繋がったところを見つけて親子で一緒に世界を広げて楽しめるんですよね。でもそういうことも情報量がないとできないわけですから。

金柿:絵本ナビとしても、考えさせられます。でも、やっぱり子どもが絵本を読んで楽しくて、言えなかったことばを言えるようになったり、心を豊かにしてくれる。それが大人は嬉しいはずなのですが……。
「どんぐりむら」シリーズは、特にそうやって親子の世界が広がっていく絵本だと思います。

なかや:広げてほしいです。広げる要素をたくさん描いていますから、それを見つけて親子でぜひ楽しんでたくさん会話をしてほしいと思います。

金柿:今後の「どんぐりむら」シリーズについて、構想を伺えますか?

なかや:そうですね。今後取り上げてみたい職業をあげるとすれば、人間界には存在しないけれど、どんぐりの世界ならではの面白さがあるような仕事も楽しそうですね。
この先、まだどんぐりむらで取り上げていない、医療や小学校も描きたいと思っています。
それから、介護職など、ハードなイメージがあるけれど尊い職業もぜひ描きたいです。『どんぐりむらのだいくさん』のだいくさんの奥さんは、ヘルパーさんの設定なんですよ。

金柿:たくさんの候補がありますね!

なかや:今の社会において子どもたちにちょっと気づいてほしいな、こういう職業もあるんだよ、という仕事のおはなしや、どんぐりの世界でしかない職業もまぜこんだり、ちょっと変化をつけていきたいと思います。

金柿:とても楽しみです! 最後に、絵本ナビ読者へメッセージをお願いします。

なかや:どんぐりむらの仲間たちが仕事をしている以外の姿を、12カ月の行事を通して楽しく見られる新しいおはなしです。絵を楽しみながら、最後にはクイズの場面もありますので、読んだあともぜひ楽しんでください。

金柿:ありがとうございました!

ラフと原画を見せていただきました


5月と6月のページの原画。美しい色彩に目を奪われます。


今作では、カバー袖に、お願い事を書いて使える「どんぐりおまもり」がついています!

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インタビュー:金柿秀幸(絵本ナビ代表)

文・構成:掛川晶子(絵本ナビ編集部)
撮影:所靖子(絵本ナビ編集部)



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なかやみわ

  • 埼玉県生まれ。女子美術短期大学造形科グラフィックデザイン教室卒業。企業のデザイナーを経て、絵本作家になる。
    主な絵本に「そらまめくん」シリーズ(福音館書店・小学館)、「ばすくん」シリーズ(小学館)、「くれよんのくろくん」シリーズ(童心社)、「どんぐりむら」シリーズ(学研)、「こぐまのくうぴい」シリーズ(ミキハウス)など多数ある。愛くるしく魅力的な登場人物を描いた絵本作品は、子どもたちの絶大な支持を受けている。

作品紹介

どんぐりむらのいちねんかん
作・絵:なかや みわ
出版社:学研
どんぐりむらのぼうしやさん
どんぐりむらのぼうしやさんの試し読みができます!
作・絵:なかや みわ
出版社:学研
どんぐりむらのぱんやさん
どんぐりむらのぱんやさんの試し読みができます!
作・絵:なかや みわ
出版社:学研
どんぐりむらのおまわりさん
どんぐりむらのおまわりさんの試し読みができます!
作・絵:なかや みわ
出版社:学研
どんぐりむらのどんぐりえん
どんぐりむらのどんぐりえんの試し読みができます!
作:なかや みわ
出版社:学研
どんぐりむらのほんやさん
作:なかや みわ
出版社:学研
どんぐりむらのだいくさん
作:なかや みわ
出版社:学研
どんぐりむらのあそびやさん
作:なかや みわ
出版社:学研
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