改訂新版グラファロ もりで いちばん つよいのは? 改訂新版グラファロ もりで いちばん つよいのは?
文: ジュリア・ドナルドソン 絵: アクセル・シェフラー 訳: 久山 太市  出版社: 評論社 評論社の特集ページがあります!
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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  名コンビが生み出す!トロッコでんしゃえほん 『とろ とっと』内田麟太郎さん・西村繁男さんインタビュー

内田 × 西村作品の楽しみ方

内田:西村さんはちょっと変わってるのが好きだから。はじめて西村さんのために書いた『がたごと がたごと』は、どのページも「がたごと がたごと」「おきゃくがのります ぞろぞろぞろ」「おきゃくがおります ぞろぞろぞろ」ばっかりで、原稿だけじゃ出版社がどんな内容だかわからないだろうというので、西村さんががっちりラフを描いてくれたんですよ。それを出版社に持ち込んだんだ。

───はじめてふたりの絵本として出版された『がたごと がたごと』は、大人気になりましたよね。絵の展開をよみといていく本なので、「本当にうちの子は理解しているのかしら?」と思って、男の子の服がこっちのページのおばけと同じだよね、と言ってみたんですが、「え、(もちろん)知ってるよ?」と(笑)。「何を当たり前のことを言ってるんだろう、お母さんは……」という感じの反応をされました。

内田:日本では子どもたちが当然のように、絵を見比べて楽しんでくれるけど、中国にはああいう絵本がないらしくて、翻訳版は解説付きなんだよね。

西村:そう。中国語版には、最終ページに「本の読み方」がくっついているんですよ。ここのページの男の子が、このページのおばけになってます、と。切り取り線が入ってて切り離せるようになっているんだけど。

───そうだったんですか、知りませんでした。『がたごと がたごと』や『ようちえんがばけますよ』の楽しみ方は、日本の子たちにはもうお馴染みですものね。

ふたりはいつから知り合い?

───そもそも、おふたりはいつ頃から知り合いだったんですか?

西村:20代の頃から。内田さんが絵本なんか描きはじめるずっとずっと前だよね。最初に会ったのは、あれは銀座だったかな?

内田:銀座かもね。

西村:ベトナムの子どもを支援する会の野外展に、長新太さんや田島征三さんも作品を出しているというのでぼくも絵を出したことがあるんだよね。

内田:そのとき僕は、看板を描きながら詩を書いていたんだけど。「ああ、こんなふうに絵を描いている人がいるんだなあ」というくらいで、将来絵本の文章を自分が書くことになるなんて思ってもみなかった。

西村:共通の知り合いがいてね、デザイナーの渡辺くんという人で、もう亡くなってしまったんだけど、彼がぼくと内田さんを引き合わせたの。

内田:その彼が僕に「絵本を書きなさい」って言ったんだよね。「書いた本が課題図書になったら、家が建ちます」って(笑)。
そのとき僕は子どもの本っていえば桃太郎とか浦島太郎しか知らなかったから、あんなの書いてどうするんだろうと思った(笑)。しばらくして娘が幼稚園に行くようになって、月刊絵本『こどものとも』や雑誌『母の友』(共に、福音館書店)を家に持って帰ってくるようになったのね。それを読んで、「へえー、今の絵本っていうのは、昔とちがっておもしろいのもあるんだなあ」と思ったね。

───内田さんが、37歳のとき、二日酔いで看板を描いていて、ハシゴごと倒れて腰椎を骨折する大ケガをし、一念発起して童話を書きはじめたことはお聞きしたことがあります。

内田:出版業界のことを何も知らなかったからね。ケガをして看板工には戻れないと思ったから、なんとか食べていかなくてはならないと思って、子どもの本を書いてみようと思ったのよ。
『母の友』に載っていた雑誌『子どもの館』の作品募集広告を見て、何度か投稿して載せていただきましたが、ちょうど1981年に創刊されていた雑誌『飛ぶ教室』(光村図書)の編集に今江祥智さんの名前があったから、この人はナンセンスをわかってくれると思って、第1回投稿作品募集に童話「さかさまライオン」を送ったの。今江さんに褒めていただいて、童心社の編集者さんにも見てもらって、はじめての絵本を出せることになったんだ。絵はあこがれの長新太さんで嬉しかったですね。

長さんに言われたのが「内田さんの魅力は大らかなナンセンスですからそれを大事にしたほうがいいでしょう」「内田さんは詩人だから、詩のような文を書いたほうがいいでしょう」って。

でも1985年の9月に出した『さかさまライオン』は全然売れなかった。当時僕は44歳でがっかりしてね。そしたら1年後くらいに1985年9月〜1986年8月に出版された絵本の中から選ばれる、第9回絵本にっぽん賞を受賞したんですよ。編集者から「絵本にっぽん賞を取りました」って最初に電話がかかってきたときは信じられなくて、「からかわないでください」って怒ってガチャンと電話切ったもんね。
そのあと西村さんから電話かかってきて、「絵本にっぽん賞取ったらしいよ」って。西村さんが言うなら嘘じゃないんだろうと思って。それから小僧寿司とミニ缶のビールを買ってお祝いして、翌日編集者に謝ったよね。「すみませんでした」って(笑)。

───前年に西村さんは『絵で見る 日本の歴史』で第8回絵本にっぽん賞を受賞されていますね。

西村:そうですね。この頃はずっと取材して描く絵本を描いてましたね。

───それがどうして内田さんの本に絵を描くことに?

西村:1995年に、内田さんとぼくの共通の知人である、絵本作家の木葉井悦子さんが亡くなられて、その偲ぶ会で内田さんと会ったのね。終わって、帰る方向が同じだから中央線で一緒に帰りながら、ぼくも飲んで酔っぱらってるから「内田さん最近たくさん絵本書いてるみたいじゃないですか。何かぼくにも書いてくださいよ」って言ったの。そしたら「ああいいよ」って。その2週間後に『がたごと がたごと』の原稿が出版社ヌキで直接ぼくのところに送られてきた(笑)。

西村:ちょうど1995年に『絵で読む 広島の原爆』を出して、翌年1996年に『ぶらぶらばあさん』(小学館)を出すんだけど。『ぶらぶらばあさん』を描いたことで自由に描くおもしろさというか、取材して描くのではない、物語絵本を描くおもしろさを知って、もっと描いてみたいなと思っていたときだったのね。でも自分ではなかなか書けなくて。
ぼくのオリジナル絵本は、『おふろやさん』も『やこうれっしゃ』も文字のない絵本で、要するに、絵の中にストーリーはあるんだけど、テキストでストーリーを書くのがなかなかできないから。

だから内田さんが講演会でよく言うよね。酒は文化を生みますって。飲んでケガしなかったら内田さんは絵本を描かなかったし、ぼくも酔っぱらってなければ内田さんに「ぼくにも書いてよ」なんて軽く言えなかった(笑)。

───なぜ言えなかったんですか?

内田:もともと親しくしてて、西村さんとはいつでも会えるというのもあるし、照れちゃってるんだよね。

西村:それぞれの仕事で手いっぱいで、一緒にやろうとか考えたこともなかったよね。

内田:ただ僕は西村さんの絵が好きで、いつも見てたから。西村さんがこんな絵本を描いているという情報だけは溜まっていっていた。だから書いてくださいよと言われたとき、『やこうれっしゃ』『ぼくらの地図旅行』『絵で見る 日本の歴史』『ぶらぶらばあさん』、今までの西村さんの絵本に登場した役者や小道具を全部入れた、ト書きとテキストを作って送りました。

───それが『がたごと がたごと』になり、「おでんさむらい」のシリーズ(くもん出版)にもなり、今回おふたりで組む絵本としては14冊目となる『とろ とっと』につながっていったんですね。

内田:もう、じいさん同士で作る絵本だからね、新幹線の絵本は書けないねえ。

西村:描けないね(笑)。

内田:リニアモーターカーになったら、なおさら書けないね。飛行機も書けない。途中で降りられないから。

───『とろ とっと』は『がたごと がたごと』よりさらにスピードがゆっくりですものね(笑)。

内田:ふつうの電車じゃなくてトロッコですからね。トロッコはいいですよ。何だか嬉しくなる。京都の嵯峨野のトロッコ電車とかも乗ったことがあるけど、乗っているときの開放感なのかなあ。子どもにかえったような楽しさがあるなあ……。乗るのも自由、降りるのも自由な感じがしますね。

───壁も窓も何もなくて、気持ちよさそう。「とろ とっと とろ とっと」声に出して読むと電車の音がいかにも大らかでほっとします。

内田:西村さんの人への接し方を見ていると、本当に「どなたも どうぞ」なんだよね。だから僕もこの絵本のテキストが書けたし、西村さんだから、岩がトロッコ電車に乗るというアイディアも出てきたんだと思いますね。

西村:自分にあてはめてふりかえってみても、思春期なんて、居場所がなくてしんどいじゃない。人は、自分の居場所がほしいと思っているんですよ。ぼくだけじゃなくてみんながそう思っているはずだから。
誰でもポツンと1人でいるのはイヤだし、みんながそれぞれ人と交わって生きるのがいいだろうと思うんですよ。だから「どなたも どうぞ」という言葉は、いいですよね。

───「のりますよ のりますよ」「どうぞ どうぞ。どなたも どうぞの でんしゃです」。読んでいて、何だか幸せな気持ちになってきました。 今日は楽しいお話をありがとうございました!


『とろ とっと』を手に、記念にぱちり。

文・構成: 大和田佳世(絵本ナビ ライター)
撮影: 所 靖子



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内田麟太郎(うちだりんたろう)

  • 1941年福岡県大牟田市生まれ。個性的な文体で独自の世界を展開。『さかさまライオン』(童心社)で絵本にっぽん大賞、『うそつきのつき』(文渓堂)で小学館児童出版文化賞、『がたごと がたごと』(童心社)で日本絵本賞を受賞。絵本の他にも、読み物、詩集など作品多数。 他の主な作品に「おれたち、ともだち!」シリーズ(偕成社)、『かあさんのこころ』(佼成出版社)、『とってもいいこと』(クレヨンハウス)、『ぽんぽん』(鈴木出版)などがある。

西村繁男(にしむらしげお)

  • 1947年高知県高知市生まれ。中央大学商学部、セツモードセミナー卒業。
    主な作品に『おふろやさん』『やこうれっしゃ』『みんなであそぼう』『絵で見る 日本の歴史』<絵本にっぽん大賞>『ぼくらの地図旅行』<絵本にっぽん大賞>『絵で読む 広島の原爆』<産経児童出版文化賞>(以上、福音館書店)、『がたごと がたごと』『にちよういち』<児童福祉文化賞>『はらっぱ』(童心社)、『ぶらぶらばあさん』シリーズ(小学館)、『トゲトゲぼうや』(金の星社)、『そんなことってある?』(サンリード)などの作品がある。

作品紹介

とろ とっと
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文:内田 麟太郎
絵:西村 繁男
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