大きなつり上がった目とミステリアスな雰囲気が印象的な猫・ダヤン。絵本作家 池田あきこさんが描いてきた「ダヤン」シリーズは、今年で30周年を迎えます。今回、絵本ナビで紹介するのは、とってもかわいいニューキャラクター“ベベダヤン”が主人公の絵本、『だいすき ベベダヤン』(ほるぷ出版)です。「あれ?今までのダヤンとは一味違う!?」そう思われた方も多いのではないでしょうか。そんなポップな雰囲気を持つベベダヤンには、絵本では語られていないいろんなエピソードがあるみたい…。ベベダヤンの誕生の秘密や制作エピソード、さらに、3月にスタートする初の原画展のお話を池田さんのアトリエにお邪魔して、たっぷりお伺いしました。
※絵本ナビでは2011年新・長編シリーズ第1巻『ダヤン、クラヤミの国へ』が発売された時にも、池田あきこさんにインタビューさせていただいています。こちらの記事ではダヤンが誕生した時のお話も登場していますよ。こちらも合わせて読んでみてくださいね。こちら>>>
- だいすき べべダヤン
- 作:池田 あきこ
- 出版社:ほるぷ出版
ベベは、猫のダヤンにそっくりなかわいいぬいぐるみ。ある日、こっそり家を抜け出したベベは、たくさんのおもちゃに出会って……。猫のダヤンが30周年をむかえる池田あきこ先生の新キャラクターぬいぐるみ「ベベダヤン」の、初めての絵本です。
まずは新キャラクターベベダヤンについてご紹介します。
●はじめてダヤンを知る子ども達に向けた「ベベダヤン」
───今回のニューキャラクター「ベベダヤン」はとてもポップで可愛くて、今までのダヤンとは違った雰囲気を持っていますよね。ベベダヤンはどのようにして生まれたのでしょうか?
私がはじめてダヤンを生み出したとき、ダヤンは「わちふぃーるど」という革工房のキャラクターだったんです。そのダヤンは今、絵本になって、長編ファンタジーとして読み物になって、画集になって…と本当に多くの方に愛されていきました。今回、ダヤンが誕生してから30年を迎えるとなったとき、はじめてダヤンと出会う小さい子ども達に向けて、新しいキャラクターを作りたいと思いました。
───そこで誕生したのが「べべダヤン」だったんですね。
そうです。ベベダヤンはダヤンだけれど、ダヤンじゃない、新しいブランドを作りたいと思って、生まれました。ベベダヤンも基本的設定には、ダヤンの元の飼い主リーマちゃんが、いなくなったダヤン恋しさに、 秘密の生地でお人形を作ったというエピソードがあるんですが、絵本の中ではあえてそれらを語らずに、ベベダヤンはリーマちゃんが縫い込んでくれたやさしいハートでみんなを幸せにしていくというシンプルな内容でお話を作ることにしました。
───わちふぃーるどとぬいぐるみと聞いて『ダヤンとタシルの王子』で出てくる、キマイラが作ったバニラのぬいぐるみを思い出しました。あのぬいぐるみのエピソードがすごくかわいくて大好きなのですが、ベベダヤンがぬいぐるみなのには理由があるのでしょうか?
───シンプルな内容にしようと思ったのは、先ほどお話があったように、小さい子ども達に向けて作るという思いがあったからでしょうか?
はい。本来のダヤンのお話はわちふぃーるどという世界を中心に、過去へ旅したりとかなり複雑な内容のものもあるのですが、今回はその部分を一切語らずに、初めて手にする人に向けて、絵本を作ろうと思ったんです。