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『おむつのなか、みせてみせて!』10万部突破記念!ヒド・ファン・ヘネヒテンさんインタビュー

しりたがりのねずみくんが、友だちのおむつの中を「みせてみせて!」と聞いて回る『おむつのなか、みせてみせて!』。世界20カ国以上で出版されている、大人気のしかけ絵本です。日本では2018年にパイインターナショナルより出版され、あっという間に10万部を超えるベストセラー作品となりました。
この度、10万部突破を記念して、ベルギーに住む作者のヒド・ファン・ヘネヒテンさんにメールでインタビューを行いました。
ヒド・ファン・ヘネヒテンさんのお住まい、家族、創作の秘密、日本のパパママへのメッセージなどいろいろお答えいただきました。

おむつのなか、みせてみせて!
おむつのなか、みせてみせて!の試し読みができます!
文・絵:ヒド・ファン・ヘネヒテン
訳:松永 りえ
出版社:パイ インターナショナル

子どもが喜ぶ「うんち」がいっぱい!世界20ヵ国以上で翻訳される絵本 知りたがりやのネズミくんは、みんなのおむつの中がどうなっているのか知りたくてたまらない! おむつをめくる仕掛けを楽しみながら、ウサギはコロコロうんち、ウマは大きなまぁるいうんち……と、動物のうんちの違いを知ることができる絵本。トイレトレーニングのはじめの一歩に。

【『おむつのなか、みせてみせて!』紹介動画公開中】

10万部突破、おめでとうございます!

───日本での総部数10万部突破、おめでとうございます! 1万部を超えるとベストセラーと言われている日本の絵本業界の中で、とても驚異的な記録だと思います。
ヒド・ファン・ヘネヒテンさんがこの絵本を描こうと思ったきっかけはなんですか?

ほとんどの絵本は、すでにあるテーマのバリエーションですよね。トイレの絵本は、その良い例です。このような人気のテーマに別の角度からアプローチするのは、むずかしくもあります。自分でもこれまでにいくつかのトイレトレーニング本を手がけていて、それらも割と目新しい内容でしたが、なかでも『おむつのなか、 みせてみせて!』が最も良い仕上がりで、あっと驚く要素が一番つまっている気がします。
この本には、ユーモア、動物を主人公にしたお話、めくるしかけ、明瞭でカラフルなイラストレーション、といったわたしの作品の特徴が集約されています。
でも実は、何がきっかけでこの本のアイデアが浮かんだのか、正確には覚えていないんです。ただ、このテーマへの新しいアプローチという課題が一因となったのは確かです。

───主人公をねずみくんにした理由はありますか?

例えば性格描写の観点から言うと、動物を登場人物にすることで描く上での可能性がさらに大きく広がると思います。ねずみくんには、直感的にたどり着きました。すばしっこくて、好奇心旺盛で(ネズミには、興味のおもむくままにおいをかぐのにぴったりな形の鼻がありますね)、ユーモラスで、中間色で(服や他の動物たちをカラフルにしたときに良いコントラストを作れます)、賢くて、他の動物たちをひっぱっていくネズミを思いついたのです。

───しりたがりやのねずみくんには、どなたかモデルがいるのでしょうか?

変だと思われるかもしれないですが、わたしの作品の主人公たちは、たいてい自分自身がモデルになっています。『おむつのなか、みせてみせて!』の場合もそう。わたしが「ねずみくん」なんです。うそじゃないですよ!

───ねずみくんは、うさぎくん、やぎちゃん、こいぬくんと、お友だちのおむつの中を「みてもいい?」とたずね歩きます。出てくる動物は形もさまざまなうんちをする動物ばかりですが、登場させる動物はどうやって選んだのですか?

それはもちろん、それぞれの動物が「出したもの」が多種多様になるように、うんちの形や色を理由に選びました。異なる例があればあるほど、おむつの中を見るシーンがさらにワクワクしますよね! 同時に、自然がどれだけ創意に富んでいて多面的か、ということも学べます。

───動物のうんちを描くために、動物園や牧場など、実際に動物を飼っているところへ取材に行ったりしましたか?

わたしは妻と地方に住んでいて、近くの牧草地には、ウシやウマ、ヤギ、ブタがいます。また、家でネズミを見かけたこともありました。そういったこともあり、これらの動物たちやその排泄物がどういう見た目をしているかを知っています。ただ、写実派の画家のような視点では観察しません。
わたしの場合、「イヌ」や「ウシ」といった概念に重きがあるんです。その本質を生き生きと描くには2、3の一般的な特徴があれば十分、ということも多いですよね。子どもたちに「ゾウの絵を描いてみて」とたのんでも、写実的なイメージで描かれることはまずないですが、子どもたちはみんな、その子なりの方法でゾウの本質を表現することができるはずです。
わたし自身の表現の自由についても、同じようなことが言えます。見たものを写実的に描く方法では、その自由が制限されてしまうでしょう。

───おむつのハート柄や動物たちの洋服など、細部のデザインがとてもかわいくて、読んでいて発見も多いです。この絵本を描くときはどんな画材を使用していますか?

自分自身を飽きさせないように、ありとあらゆる画材やテクニックを使います。例えば、絵具、クレヨン、ダーマトグラフ、インク、といった画材。そして、塗る、描く、ひっかく、やぶる、切り貼りするなどのテクニック、という具合です。
最近は、デジタルでも作業します。たいていの場合、数多くの画材とテクニックを組み合わせるのですが、お話の中でその画材やテクニックがちゃんと機能するように選んでいます。絵の表現形式が決まるのは、その後です。
この本の場合はとても幼い子どもたちが読者層なので、明瞭さ(絵のわかりやすさ)、シンプルであること、カラフルな色づかい(落ち着いた中間色が多すぎないように)が重要でした。そのため、このような表現方法を選びました。

───しかけを使って、おむつの中を見せるアイディアがとても新鮮で、しかけをめくる度に、子どもたちが大喜びしますね。このアイディアは、絵本作りのかなり早い段階から、考えていたのですか?

わたしにとっては、最初の段階から「おむつの中を実際に見ることができる」かどうかがこの企画の最重要ポイントでした。本と読む人の間に双方向のやり取りが生まれる形式は、すごく面白いと思うんです。特にこの対象年齢の読者にとっては、間違いなく魅力的です。さまざまなやり取りが生まれますし、それに、このめくるしかけがとても役立ちます。こういった物理的な双方向性だけでなく、同じように大切なのが、本を読んでもらう子どもと読み手の間に生まれる交流です。めくるしかけがあることで、その交流がさらに深められます。

───おはなしの最後で、みんながねずみくんのおむつの中を見せてもらったけれど、おむつの中が空っぽ! という展開は、子どもたちもアッと驚く場面だと思います。
絵本を作るときから、トイレトレーニングの絵本としてパパママに手に取ってほしいと思っていたのでしょうか?

この絵本には、子どもたちを「楽しませる」役目以外に、学びを提供する教育的な役目もあります。文章からも、トイレが興味をそそるものとして紹介されているのが読み取れるはずです。その学びの「メッセージ」は、ユーモラスで何気ない方法で伝えられています。このようなメッセージの込め方のほうが、必ずうまくいく気がします。わたしは、何でもかんでもわかってもらうために説明する先生にはなりたくありません。

───日本では、子育て中のパパママの悩みとして「トイレトレーニング」が話題に上がります。ベルギーでも「おむつはいつ外すのか」「おむつからトイレへスムーズに移るにはどうしたらいいか」といったトイレトレーニングは、パパママの悩みの種なのでしょうか?

驚かれるかもしれないですが、わたしたち夫婦には子どもがいません。ですから、むろん経験豊富なエキスパートではありませんが、これまでに多くの幼稚園を訪ねてきました。ベルギーでは、2歳半くらいから幼稚園の最年少組に入学できるのですが、程度の差はあれ、おむつを卒業しているかどうかが入園の条件となります。幼稚園の先生たちからは、親御さんが子どもにおむつを卒業させるのに苦労しているという話をよく聞きました。わたしは、この事実からたくさんのことを学んだのです。
思うに、これは全世界の全ての親たちが向き合わなければならない、世界共通の「問題」なんでしょうね。親御さんたちからの反響の大きさを見る限り、『おむつのなか、みせてみせて!』はトイレトレーニングに取り組む際に役立っているようです。

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ヒド・ファン・ヘネヒテン(Guido van Genechten)

  • 1959年、ベルギー生まれ。
    ハッセルトの美術学校で、絵、グラフィックアート、写真を学ぶ。
    著者に『わらって!リッキ』(ハッセルト市の国際絵本賞を受賞)『リッキとアニー』『リッキのなつやすみ』『リッキのおともだち』『リッキのクリスマス』『リッキのゆめ』『リッキとにわとりのミア』(以上、「リッキ」シリーズ)、『おしりをだして』『みんなおやすみ』『ゆきがたくさんつもったら』『あなたのことがだーいすき』『だっこのえほん』『パパ、おばけがいるよ。』(すべてフレーベル館)など。
    ベルギーではもちろん、ヨーロッパ各国でも大人気の絵本作家。

作品紹介

おむつのなか、みせてみせて!
おむつのなか、みせてみせて!の試し読みができます!
文・絵:ヒド・ファン・ヘネヒテン
訳:松永 りえ
出版社:パイ インターナショナル
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