好評につき2刷!ことわざがつながって、ひとつの物語になったおもしろ絵本
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絵本紹介
2021.06.29
いつも同じだと思って居た日々の生活。でもちょっぴり視点を変えると、思わぬ発見があることも! そんな新発見に出会えそうな、素敵なおはなし絵本を紹介します。
見たもの、聞こえたものにパッと反応し、興味があるものに向かってまっしぐら。そんな好奇心旺盛な男の子とそれを見守る家族の、何気ない日常をやわらかなイラストで表現した絵本。
ずっと抱っこだった赤ちゃんが、ひとりで立っちするようになったと思ったら、あっという間に広い世界へ駆けだしていく。親はその後ろ姿を追いかけて、追いかけて……。正直疲れてヘトヘトだけど、とびっきりの子どもの笑顔を見たら「えい、しょうがないな」ともうひと踏ん張りできてしまいますよね。
あまりにもありふれていて、でもとっさにやってくる子どもの極上の笑顔を写真に残すのは難しいですが、この絵本にはそんな「心の中の風景」を切り取ったようなシーンが散りばめられています。
みどころ
高いところを見つければ、あがっちゃう。
あみあみフェンスに出会えば、のぼっちゃう。
ボタンがあれば押したいし、つり革があればつかみたい。
広い場所に出れば、もちろん……はしりたい!
「どうして いつも そんなこと するの?」
パパやママに聞かれても困っちゃう。だって、うずうずしちゃうから。ためしてみたいし、自分でやってみたいから。思わずやっちゃうってこと、あるでしょ?
家族でお出かけすれば、すっかりへとへとになっているのは大人の方。あっちでうろうろ、こっちでぴょんぴょん、目を離せばどこかに行ってしまう。「どうして、どうして」で頭がいっぱいになってしまうのです。だけど、そんな時にこそ見るべきは、
思わず体がうごいちゃう、気がつけば走り出しちゃう、小さな子ども達の満足げな表情。そうか、世界は驚きと発見に満ちているんだったね。
作者のえがしらみちこさんが切り取ってくれるのは、自らの子育て体験の中で見つける、ささやかながら大切な出来事。それはいつでも豊かで愛らしく、忘れたくない表情ばかり。家族の成長と共に、いつまでもとっておきたくなる絵本ですね。
この書籍を作った人
絵本作家。1978年 福岡生まれ。静岡県三島市在住。 熊本大学教育学部卒業。主な作品として、『あめふりさんぽ』『さんさんさんぽ』『あきぞらさんぽ』『ゆきみちさんぽ』『はるかぜさんぽ』(講談社 / 全国学校図書館協議会選定図書)、『なきごえバス』(白泉社 / 第9回MOE絵本屋さん大賞2016「パパママ賞」第1位 )『なきごえたくはいびん』、『いろいろおてがみ』(小学館 / 全国学校図書館協議会選定図書)『いろいろおしたく』、『あのね あのね』(あかね書房)、『あなたのことがだいすき』(KADOKAWA)など。『はこちゃん』(文・かんのゆうこ / 講談社)、『せんそうしない』(文・谷川俊太郎 / 講談社)、『おかあさんのいのり』(文・武鹿悦子 / 岩崎書店)、『まだかなまだかな』(文・竹下文子 / ポプラ社)の絵を担当。また、雑誌や教科書などの挿絵も手がけている。現在、静岡県三島市にある絵本専門店「えほんやさん」代表も務めている。
抜いても抜いても生えてくる雑草。実はそれ、人知れず野の花の種を植えて歩いているちいさないきもの「じっちょりん」がやっていた!?
「じっちょりん」が種を植えるのは、コンクリートの隙間や電信柱の根本。「土はいっぱいあるのに、どうしてそんなヘンテコなところに生えちゃったの?」と思う野の花に出会ったら、「きっと、じっちょりんが植えたんだろうな」と思ってしまうくらい、引きこまれるおはなしです。
みどころ
なんだかすごくおもしろい絵本を見つけてしまいました。
なんたって最初の場面で主人公達は見つけることのできない位の小ささで登場するのです。
その主人公とは団地のすみに住んでいる「じっちょりん」の家族です。じっちょりんは花びらや葉っぱを食べるけど、種だけは食べないでとっておきます。なんと、コンクリートの隙間や電信柱の根本などにせっせと植えに行くのです!ああ、散歩の途中、あんなところに、こんなところにそっと咲いていた雑草を楽しめるのはじっちょりんのおかげだったのですね。
作者のかとうあじゅさんはこの作品がデビュー作なのだそうですが、ユーモラスなじっちょりん一家の可愛らしさと、あっと驚くスケール感、そして愛にあふれた植物描写などなどに、すでにじっちょりんワールドのとりことなってしまいました。今度のお散歩は細かく細かく色んなところを覗いてしまうに違いありません。
この書籍を作った人
東京生まれ。幼いころの絵本が好きな気持ちのまま現在に至る。絵本ワークショップ「あとさき塾」出身。作品に「ただ よんだだけ」「なかよしスタンプがたまったら」(おはなしプーカ・学研)がある。「じっちょりん」シリーズは、『じっちょりんのあるくみち』、『じっちょりんのなつのいちにち』、『じっちょりんとおつきさま』、『じっちょりんのふゆのみち』(全て文溪堂)がある。
大好きなお母さんに喜んでもらいたいのでしょうか。絵本に登場する子ウサギのバニーは、しきりに「いいこって どんなこ?」とたずねます。
そんなバニーの質問に優しく答え、最後に「いまのまんまのバニーが大好き」と言うお母さん。それは親が子どもに言ってあげたい言葉でもあるし、それ以上に、子育てに奮闘しているお母さん自身が言って欲しい言葉でもあります。
子ウサギとお母さんのやりとりを読んで、我が身を振り返ってみたというレビューの評価も高い作品。お子さんのためにというよりも、親に読んで欲しい絵本として人気の1冊です。
みどころ
うさぎのバニーぼうやがたずねます。
「ねえ、おかあさん、いいこって どんなこ?」
バニーの中から、たくさんの質問があふれてきます。絶対泣かない子がいい子なの? いい子って、強い子や怖がらない子のこと? 怒っているぼくなんて嫌い?それから……
おかあさんは、どの質問にも、一つ一つ丁寧にこたえます。泣いたっていいし、こわいものがない人なんていないし、怒っていても笑っていても、どんなバニーでも大好きだと。バニーはバニーらしくしているのが一番なのだとこたえるのです。
ぼうやとおかあさんの毎日は、もちろん色々なことがあるでしょう。いたずらをしたり、泣きわめいてたり、間違ったことをすることだって。おかあさんだって、怒ってしまったり、傷つけてしまうことだってあるのかもしれません。思うようにいかないものです。
だけど、いつだってまるごと受け止めてくれる人がいる。いつだって受け止めてあげたい気持ちがある。絵本を繰り返しよむことで、お互いのその気持ちが少しずつでも伝わるとしたら。それは、とっても大切で意味のある時間になるのだと思います。
「わたしたち みんなに」
この絵本の作者は、最初にそう言ってくれています。
幼児期から楽しめる「ムーミンのおはなしえほん」シリーズの12巻目。小説を執筆中に、謎の言葉が書かれたメモを受け取ったムーミンパパが、家族で謎に挑む物語です。夏のおはなしなのに、さわったものをすべて凍らせる冬のまもの、モランが登場。その理由は、絵本を読んでからのお楽しみです。
出版社からの内容紹介
大好評「ムーミンのおはなしえほん」シリーズ
冬のまもの、モランが登場!
ムーミン谷は夏。
ムーミンパパは、この夏ずっと
ミステリー小説を書いています。
と、ベランダに置いてあった
パパのノートと万年筆がなくなっています。
だれかが持っていったのでしょうか?
でも、犯人をさがしているあいだに、
ノートと万年筆は、もとの場所に
もどされていました。
そこには、「そびし」と書かれたメモも
残されています。
謎のメッセージの意味は?
そしてメッセージを残したのはだれ?
ムーミン一家が、謎に挑みます!
さわったものをすべて凍らせてしまう魔物、
モランが登場!
幼児から楽しめると大好評の
「ムーミンのおはなしえほん」シリーズ
12巻目です。
この書籍を作った人
1914年フィンランドの首都ヘルシンキで生まれる。スェーデン系フェンランド人。彫刻家の父と画家の母を持つ、生まれながらの芸術家。家にはアトリエがあり、常に生活の中にアートが。そんな環境から自然と芸術家への道を歩み、はやくから挿絵画家、風刺画家、短編作家としても活躍する。 20歳の時、水彩画「黒いムーミントロール」を描き、その後ムーミンシリーズ第1作『小さなトロールと大きな洪水』を発表。以後 1945年から25年間にわたって書きつづけた「ムーミン」シリーズは世界各国で多くの読者を生み、国際アンデルセン大賞ほかかずかずの賞を受賞。その後執筆された小説も高い評価を得ている。 2001年6月27日に86歳でご逝去。ムーミンコミックスで共著もしていた弟ラルスさんも後を追うように1年も経たない内にご逝去されました。
この書籍を作った人
翻訳家。主な訳書に「ムーミンのおはなしえほん」シリーズ、『かようびのよる』(以上、徳間書店)など。
『ネコノヒー』『スキウサギ』『悲熊』などの人気作でSNSでも大ブレイクの漫画家・キューライスさんの、絵本最新作。コーヒーを飲みすぎて眠れなくなってしまったドン・ウッサのために、3羽の子分たちがあれこれアイデアを出しあって、なんとか親分を眠らせようとがんばります。
みどころ
「ドン」というのは、スペイン語などで姓の前につける男性敬称。
その名の風格通り、うさぎの親分ドン・ウッサが主人公です。忠実な子分、パッピーノ、ピッピーノ、プップが、親分のために奮闘するストーリー。
『ドン・ウッサ そらをとぶ』、『ドン・ウッサ ダイエットだいさくせん!』に続く作品です。さて今回は、親分の不眠解消のために、どんなアイデアが飛び出すのでしょうか?
親分の貫禄そのまま、大きなカップでコーヒーを飲んだため、ベッドに入っても眠れないドン・ウッサ。子分たちも親分も、いろいろとやってみますが、その様子が健気で、でも愉快です。
絶妙な仕上がりのゆりかごベッドはユラユラしすぎて……!? 星空の下や、海のそばに場所を変えても何だかうまくいきません。
アイデアはどんどんエスカレート。”だいぼうけん”の題名よろしく、ついには大きなタコやピラミッドなども登場する展開に。
さあ、親分と子分はグッスリ眠ることができるのでしょうか?
お子さんと一緒に安眠のアイデアを出しあうきっかけになるかもしれませんね。
漫画家・アニメーション作家でもあるキューライスさん。コマ割りも駆使した展開は映像的です。そうそう、表紙絵から、物語を暗示するアイテムも見つけてくださいね。
この書籍を作った人
1985年栃木県出身。魚座、AB型。高校生の頃から独学で短編アニメーションを作り始める。東京造形大学アニメーション専攻一期生、同大学大学院卒業。2009年(株)東北新社企画演出部入社。2017年退社。現在はフリーランスの漫画家、イラストレーター、演出家、アニメーション作家。