『なつのいちにち』(偕成社)で、子どもの頃に体験した蒸しかえるような夏の暑さと懐かしさを思い出させてくれた絵本作家・はたこうしろうさん。そんなはたさん、実は大の虫好きだそうで、新作『むしとりにいこうよ!』(ほるぷ出版)には、はたさんの大好きな虫達がとても生き生きと描かれています。読んだらすぐにでも外に出て、葉っぱの裏や石の下を覗きたくなってしまう絵本の魅力をよりアピールするために、はたさんと一緒に高尾山に行き、虫取りをすることになったのですが…。
季節は6月、梅雨真っ只中。前日から降り続く雨のため、泣く泣く高尾山からはたさんのアトリエへ取材先を変更することとなりました。
- むしとりにいこうよ!
- 作:はた こうしろう
- 出版社:ほるぷ出版
おにいちゃんは、むしとりのてんさい。きょうも いっしょに、むしとりにいくぞ!おにいちゃんといるとふしぎ。いつものみちに、だんだん、むしがいっぱいみえてくる・・・!身の回りに昆虫がいること、そして虫とりの楽しさをつたえる絵本。
●5歳の頃の実体験から生まれた絵本『むしとりにいこうよ!』
───今回の絵本ではおにいちゃんと弟のやりとりがとても微笑ましく描かれていますが、はたさんの実体験が元になっているのでしょうか?
一緒に連れて行ってほしかったぼくは連れて行ってほしいと駄々をこねるんです。最終的に母から「お兄ちゃんなんだから連れて行きなさい」と助言があって連れてってもらうんです。でも、兄の虫取りエリアが、家から歩いて1時間くらいかかる場所で、遠いし、お腹はすくし疲れるし…。
───まさに、絵本そのものなんですね!昆虫好きは5歳の頃からずっと続いていたんですか?
兄はその後も昆虫好きなんですが、ぼくは小学校高学年ごろに一度熱が冷めてしまって、絵を描くことや音楽に興味は移っていったんです。昆虫熱が再発するのは、それから10年以上経った、26歳くらいのことでした。
───何かきっかけはあったのでしょうか?
その頃、就職して関東に引っ越してきたんです。そこで、出会ったアオオサムシがターニングポイントでした。
───アオオサムシ…。そんなに珍しい虫なんですか?
どこにでもいる虫なんですけど、関東と関西では色が違うんです。関東のアオオサムシはきれいな緑色をしているんですよ。それを見て、「本当に関東は青いんや!」と感動して、再び虫に熱中するようになりました。
───一言で昆虫と言っても、いろんな虫がいるんですね。はたさんが集めている昆虫はどんな種類があるんでしょうか? やはりきっかけとなったアオオサムシ?
オサムシは兄が収集していたので、ぼくはハムシとゾウムシ、そしてフンチュウを集めています。