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小学生におすすめのシリーズ

【小学1、2年生から大人までおすすめのシリーズ】「ミッチの道ばたコレクション」シリーズ

「たからもの」にまつわる、ひと夏の不思議なファンタジー

ミッチが大事にしているたからもの。名づけて「道ばたコレクション」。
ミッチは、キラキラしたビーズ、しまもようの石ころ、絵がかいてあるビンのふた‥‥‥など、道ばたで拾ったいろんなものを、おじいちゃんからもらった「たからばこ」にしまっています。

「ミッチの道ばたコレクション」シリーズは、1巻ごとに、珍しくてワクワクするコレクションが加わっていきます。さてそれはどんなコレクションなのでしょう。

「ミッチの道ばたコレクション」シリーズ紹介

どんな子におすすめ?

  • 絵本からちょっとステップアップして、読み物に挑戦してみようという時期の子どもたちにおすすめしたいシリーズです。字も大きく、挿絵もたくさん入っているので、小学1、2年生から読める易しさで、3年生ぐらいまでおすすめです。
     
  • 一方で、どこか懐かしい雰囲気のする、気持ちの良いお話は、大人が読んでも楽しめるポイントがたくさんあります。小さい頃に何か集めた経験など思い出しながら読んでみませんか。また、主人公のミッチの理解者であるおとうさんにも注目してみて下さい。

ここが面白い!

その1 1巻ごとに登場するコレクションがワクワクする!

どれも道ばたで拾ったものだけれど、ミッチにとっては特別な「たからもの」。おまけに、なかなか見つけるのが難しそうな珍しいコレクションです。いや、子どもの目線で探したら、見つかるのかも!? 1巻目では「クジラのかたちの木のかけら」。2巻目では「ねこのかおがかいてあるボタン」、3巻目では「まっしろなラッパ貝がら」。そのコレクションが登場しただけでなにか秘密が隠されていそうで、ワクワク感が高まります。

その2 コレクションには物語が隠されている

「クジラのかたちの木のかけら」は、そばに麦茶をこぼしたことで、むくむくとふくらんで、クジラそっくりの形になり、「ねこのかおがかいてあるボタン」はくすぐってみると、青いねこのかいぶつ(ドラねこまじん)が出てきたり、「まっしろなラッパ貝がら」からは、夜にうたごえが聴こえてきたり‥‥‥。それぞれの巻で出会うコレクションは、ちょっとしたことがきっかけとなって、不思議を巻き起こしたり、新しい友だちと出会わせてくれたり、ミッチの大切な思い出となっていきます。また、クジラのエサや、ドラねこまじんが食べるものもユニークなので、注目してみて下さいね。

その3 おとうさんと体験や気持ちを共有できるところが嬉しい♪

ミッチのおとうさんとおかあさんは、いつもミッチを優しく見守っています。とくに本を書く仕事をしているおとうさんは、どんなことが起きても疑わずそのままを信じてくれ、いつもミッチと同じ目線で話をしてくれます。「クジラのかたちの木のかけら」を拾ったミッチに、昔「ゾウににたかたちの木のかけら」を拾ったことがあると教えてくれたり、「ドラねこまじん」を倒すじゅもんを一緒に考えてくれたり‥‥‥。親とも不思議な体験や出来事を共有できるというのは子どもたちにとって嬉しいポイントですよね。

その4 コマツシンヤさんの挿絵が魅力的!

優しいタッチで描かれる登場人物や、かわいらしいミッチの姿は、親しみが持て、子どもたちも手にとりやすそう。

そしてなんといっても魅力的なのは、爽やかなブルーの色づかい。見ているだけで清涼感があり、さわやかな風が吹き抜けるようです。どこか懐かしい雰囲気も安心感があって、とくに大人が掴まれてしまうのでは? 表紙を眺めているだけでも懐かしい子どもの頃の空気がよみがえってくるような気がしてきませんか。

「ミッチの道ばたコレクション」シリーズは、現在3冊刊行中!

『セミクジラのぬけがら』

セミクジラのぬけがら

みどころ

子どものころの、宝もの。
おとなに価値はわからない、とくべつなコレクション!

ビンの王冠、どんぐり、牛乳キャップ。
覚えがありますぼくらにも……!

これは、そんな宝ものを集めるのが好きな男の子「ミッチ」がであう、ひと夏の物語——

ある夏の日、クジラにそっくりの木のかけらを拾ったミッチ。
さっそく、じまんの「道ばたコレクション」にくわえたのですが、うっかりその上に麦茶をこぼしてしまいます。

すると、木のかけらはピチピチと動きだして、なんと、ちいさな本物のクジラに変身!
ある特徴から「セミクジラ」と命名して、飼い始めたミッチ。正体不明のふしぎなクジラの飼育に、考えをめぐらせ、いろいろなことを試しながら奮闘していきます。

けれども、クジラはだんだん元気がなくなってきて——

ミッチの拾ったクジラは、ただちいさいだけではありません。
よろこびをあらわして潮をふいてみたり、イルカみたいにとびあがる芸をおぼえたり、
そして物語の最後には、まるで予想のつかない魔法のような光景を見せてくれるのです!

ひと夏に見た、幼い夢か、幻か……。
セミクジラのふしぎな生態や、それを金魚鉢で飼う光景など、どこか幻想的な味わいのある物語。
見たことのないはずなのに、なんだかとても懐かしく、ロマンチックな気持ちにさせてくれる一冊です。

そして、そんなミッチの夏を飾るのは、コマツシンヤさんが生み出す、ラムネのように清涼感のあるイラスト!
「道ばたコレクション」について描いたページのイラストは、ミッチのわくわくした気持ちまで色にとけているようにあざやかです。
表紙をながめているだけで、さわやかな風にふかれているような心地に……。

「ミッチの道ばたコレクション」とシリーズ名のついた今作。
イマジネーションにあふれたミッチのふしぎな拾い物が、これから増えていくのでしょうか?
(堀井拓馬  小説家)

『ドラねこまじんのボタン』

ドラねこまじんのボタン

みどころ

道ばたでひろった秘密のあれやこれ。
大人には価値のわからない、ぼくだけのお宝コレクション!
「道ばたコレクション」のミッチの物語に、ファン待望の第二弾が登場です。

図書館で見つけた、魔法の呪文のことが書いてある本。
その中にある「欲しいと思っているものが見つかる呪文」を唱えると、なにかが空から落ちてきた!?
それは、ネコの顔が書いてある、奇妙なボタン。
そのうえなんとボタンには、魔法の力を持つ、ネコの魔神が宿っていた!

「おいらの力で、ごしゅじんさまのおねがいを、叶えてさしあげますにゃあ」
「えっ、ぼくのおねがいを⁉︎」
「もちろん、どんなおねがいも、どんとこいですにゃあ! お腹いっぱい、うみゃいものを食べさせてもらえれば」

魔神のボタンを食べ物のガラの服につけると、魔神はそのガラを食べることができるのです。

お仕事のアイデアが出なくて困っているお父さんを助けてあげるため、魔神にお腹いっぱいおいしいものをごちそうしようとするミッチ。
でも、服は高いし、食べ物の柄なんてあんまりないし、そのうえ魔神は好き嫌いがはげしくって、とってもワガママ!
ママやパパに協力してもらおうとしても——

「ま、まったまった、まってくだせえにゃあ! なんでおいらのことを、話にいかなきゃいけないんですにゃあ」

と、魔神に止められてしまいます。
なんだかこの魔神、ちょっぴり怪しいような——?

不思議で切ない、どこか幻想的なひと夏の出会いを描いた前作からは一転、こんどのコレクションは、なにやら危険で怪しいふんいき!?
でも、お父さんを思いやる気持ちや、悪だくみをあばかれた魔神に対する態度など、ミッチのやさしさにはやっぱり、ホッコリさせられます。

前作にひきつづき、コマツシンヤさんのさわやかなイラストもみどころ!
少し怪しげなドラねこ魔神ですが、泣いたり笑ったり、イタズラっぽくニヤリとしてみたり、表情ゆたかでなんとも憎めません。
ボヨンとした、どこかマヌケなシルエットもかわいいポイント。
クセのあるそのキャラクターや、かわいらしい見た目も相まって、個人的には続刊にも登場してほしい名マスコットです!

やっぱり目が離せない、ミッチの不思議なコレクション!
前作からはもちろん、今作から読んでも楽しい一冊です。

(堀井拓馬  小説家)

『うたうラッパ貝がら』

うたうラッパ貝がら

みどころ

ミッチが大事にしているたからもの。名づけて「道ばたコレクション」。
道ばたで見つけた、めずらしい形や色をしているたくさんのものたちが、おじいちゃんからもらった「たからばこ」に詰まっています。

今回「道ばたコレクション」に加わるのは、「ラッパ貝がら」。家族で遊びに行った海で拾ったものです。貝がらはミッチの手よりも大きくて真っ白で、あなのまわりが花びらみたいに広がっています。楽器に似ているので、「ラッパ貝がら」と呼ぶことに。ラッパ貝がらは光があたると虹色に輝いてとてもきれい!

家に帰ったミッチは、貝がらをたからばこにしまう前に、机の上にかざることにします。
するとその夜、なにやらとてもきれいなうたごえが聴こえてきて‥‥‥。

「らららら、るるるる、」とやさしくつづくうたごえ。
いったいだれがうたっているのだろう?
貝がらのなかに、だれかすんでいるのかな。

「ねえ、なかに だれかいるの?」
ためしに呼びかけてみると、ぴたっ、とうたがとまってしまいました。

「もしかすると うたっているのは、とてもこわがりで ひとみしりな 女の子かもしれない。」
おとうさんにそう言われたミッチは、やさしい声で毎日少しずつ話しかけます。

貝がらの中にいる女の子って、やっぱりこびとなのかな。それとも貝がらのようせい? もしかして、おばけだったりとか? そんなことを考えながら眠りについたある夜のこと、ミッチが目をあけるとそこは真っ白などうくつの中でした。
ラッパ貝がらの中らしいその場所で、ミッチが出会ったのは、いったいどんな子だったのでしょう?

今回のお話は「道ばたコレクション」シリーズの3巻目。どの巻からでも自由に読めるシリーズですが、大きな魅力は、「道ばたコレクション」に追加されていくちょっと変わったアイテム。それは、不思議を巻き起こしたり、新しい友だちと出会わせてくれたりと、ミッチの大切な思い出となっていきます。

ミッチの不思議な体験を自然に共有してくれるおとうさんの存在も、このシリーズの素敵なところでしょう。本を書く仕事をしているおとうさんはどんなことが起きてもそのままを信じて、いつもミッチと同じ目線で話をしてくれるのです。親とも不思議な体験や出来事を共有できるというのは子どもたちにとって嬉しいポイントですよね。

児童文学作家の如月かずささんが描き出すひと夏のファンタジー。軽やかで楽しく読みやすいお話は、小学1、2年生から読める易しさです。爽やかなブルーが印象的で、どこか懐かしいようなコマツシンヤさんの挿絵もお話とぴったり合って、日常の世界からひょいと不思議な世界へと誘ってくれます。

さあ、ページをめくって、ミッチと一緒に不思議な体験をしてみませんか。

(絵本ナビ編集部 秋山朋恵)

お話を書かれたのは‥‥‥

児童文学作家の如月かずささん。講談社児童文学新人賞でデビューされ、ジュニア冒険小説大賞、日本児童文学者協会新人賞受賞作家で、低学年向けの読み物からYA作品まで幅広く執筆されています。本の読み方は人それぞれでいいということを温かく教えてくれる『ふたりはとっても本がすき!』や、楽しさと元気が詰まったシリーズ作品が、とくにおすすめです。

いかがでしたか。

ページを開けばあっという間に、日常の中で不思議な体験をさせてくれるシリーズ。
ミッチと一緒に楽しんだあとは、身近なところで自分だけの「たからもの」を見つけてみませんか。

秋山朋恵(あきやま ともえ) 

絵本ナビ 副編集長・児童書主担当

書店の本部児童書仕入れ担当を経て、私立和光小学校の図書室で8年間勤務。現在は絵本ナビ児童書主担当として、ロングセラーから新刊までさまざまな切り口で児童書を紹介。子どもたちが本に苦手意識を持たずに、まず本って楽しい!と感じられるように、子どもたち目線で本を選ぶことを1番大切にしている。著書に「つぎ、なにをよむ?」シリーズ(全3冊)(偕成社)がある。

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