『
しごとば 東京スカイツリー』で第62回小学館児童出版文化賞受賞、デジタルアプリ「みんなでつなげっと」で第2回デジタルえほんアワードの大賞も受賞し、ますます活躍の場を広げる鈴木のりたけさん。
つぎはどんな絵本だろう?と、新作が出るたびにワクワクさせられます。
さて本日うかがうのは・・・貝がらをかぶったかわいい男の子が大活躍! のりたけさん初の迷路絵本『おつかいくん』制作についてのお話です。鈴木のりたけさんの「しごとば」におじゃましました。
●「おつかい おねがい!」「はい りょうかい!」
───鈴木のりたけさんと言えば、圧倒的な情報量と取材力で、すみからすみまで描きこまれたパワフルな『しごとば』シリーズのファン読者も多いと思いますが、他に『ぼくのおふろ』シリーズや、科学絵本の要素がある『おしりをしりたい』などいろんなタイプの絵本を制作されていますよね。
次はどんな本が登場するんだろうと思っていたら、なんと迷路絵本。これがすごくおもしろい!
ゆうべ小学生の息子と『おつかいくん』を読んで大変だったんです。寝る前なのに、息子が夢中になりすぎて(笑)。
どんな思いつきから生まれた絵本なのですか?
- おつかいくん
- 作:鈴木 のりたけ
- 出版社:小学館
おかあさんにおつかいを頼まれた“おつかいくん”。元気よく出かけていきますが、行った先で出会う人(動物)に、つぎからつぎへと別なおつかいをお願いされてしまいます。
はたして、“頼まれると断れない”キャラのおつかいくんは、おかあさんに頼まれた最初のおつかい任務をぶじに完了できるのでしょうか!?
頼まれたおつかいごとにそれぞれのシーンで8つのめいろが登場します。街、スーパーマーケット、森、海、etc.
おつかいくんといっしょに、めいろはもちろん、めいろの中に隠れたたくさんの不思議オモシロキャラクター探しなど、1冊でなんども楽しめる絵本です。
昨年はじめてデジタルアプリの絵を描くことに挑戦しまして、できあがったアプリはおかげさまで高い評価をいただいたのですが、いざ遊ぶとカード合わせに注目しちゃって地のマップをあまり見ないんだなと実感しました。
絵全体にせっかく遊びを盛り込んでも、マップは素通りじゃ、もったいない。そもそも見る人のページ滞在時間を長くし、絵をたっぷり楽しんでもらい、かつ、お得感を感じてもらえるにはどんなふうにしたらいいだろう?と。
そのとき、迷路なら、絵のすみずみまで目をめぐらせて遊んでもらえるんじゃないかなと思って、そこから『おつかいくん』が生まれました。
───もう、のりたけさんのねらいどおりです(笑)。一緒に読む息子が、なかなか次のページをめくらせてくれないんです。「おつかいくんってさ、なんでこんなかっこうなの」「何でも引き受けすぎじゃない」と小学生らしいツッコミをいれながら、迷路のあとは絵探し(見返しやカバー折り返しに載っているキャラクター探し)に夢中で「ぜんぶ探しだすまでお風呂に入らない」って(笑)。
僕の絵本はねー、寝る前の読み聞かせには向いていないんですよ。アドレナリンが出ちゃうから(笑)。
───いちばん気になるのが、おつかいくんの頭の上の貝がら。そしてデジャヴ感があるロンパース姿(笑)。
・・・もしかして、おむつはいてますか?(笑)
はいてます(笑)。貝がらはね、与論島か沖永良部島だったか、講演会で南の島に行ったときちょうど『おつかいくん』のコンテを考えているときで、かわいいなあと思って拾ってきたコレを参考にしたんです。
───本当だ、頭の上の貝がらそっくり! 「おつかいくん」というのはやっぱり・・・。
ダジャレです(笑)。
「かいがらかぶった おつかいくん
おつかい おねがい!」
「はい りょうかい!」
のせりふは早い時期に浮かんでいまして・・・。
───鈴木のりたけさんの絵本と言えばもうダジャレは外せませんね(笑)。
ちなみに、このユニークなビジュアルのおつかいくん。モデルがどこかにいるのでしょうか。
はい、モデルはうちの長男です。『おつかいくん』を描いているときちょうど1歳半すぎくらいで・・・。顔はこのままだし、笑っちゃうくらいバカなポーズをいっぱいしてくれるのでいいモデルになりました(笑)。
───おかあさんに牛乳をたのまれるおつかいくん。「スーパーやすい」へ行くと、スーパーのおじさんに「ちょうどよかった」とバナナを一箱渡され「ひみつそうこ」へ。そして「なにぬね農場」でピーコ(ピーマン)とリンコちゃん(りんご)を探し出すと、こんどは魚市場へりんごを届けることに。たのもしい〜(笑)。
いやいや、現実にはありえないですけどね、はだしにロンパースでバナナの段ボール箱を抱えて運ぶなんて(笑)。
───そんなたのもしいおつかいくんが海に落ちたときはドキッとしましたけど。
海に落ちても、海のなかでおつかいと迷路はちゃんとつづきます(笑)。