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【辞書編集者連載】新小学1・2・3年生のパパママ必見! 小学国語辞典の選び方、楽しみ方を教えます。

ベネッセコーポレーション 小学館 学研 三省堂

2020/03/05

【連載】第4回『三省堂 例解小学国語辞典 第七版』 三省堂 細見雅彦さん 荻野真友子さん GRID 八十島博明さん(デザイナー) モリサワ 高田裕美さん(フォント開発者)

【連載】第4回『三省堂 例解小学国語辞典 第七版』 三省堂 細見雅彦さん 荻野真友子さん GRID 八十島博明さん(デザイナー) モリサワ 高田裕美さん(フォント開発者)

小学生向けの国語辞典を作っているスペシャリストに、辞書の特長とおすすめポイントを聞く、辞書編集者連載。
第4回目は、小学生向け辞書に初めて「UDデジタル教科書体」を使用した、三省堂の『三省堂 例解小学国語辞典 第七版』です。
三省堂辞書出版部の細見雅彦さんと荻野真友子さんにお話を伺いました。さらに、紙面をデザインされた八十島博明さん、UDデジタル教科書体の開発者であるモリサワの高田裕美さんにも同席していただきました。
◆『例解小学国語辞典 第七版』の特長とは……?

三省堂 例解小学国語辞典 第七版 三省堂 例解小学国語辞典 第七版」 編:田近 洵一 出版社:三省堂

"『三省堂 例解小学国語辞典』がオールカラーになって新登場です。
●さらに見やすい紙面に
・カラー紙面を取り入れるに際して、目にやさしく刺激の少ない色使いを工夫しました。
・辞書ではじめて見出しにUDデジタル教科書体を使いました。多様な子どもたちに、読みやすくわかりやすいと評判の書体です。教育現場では読む速度が上がる検証もされ、学習効果が上がると言われています。またロービジョン(弱視)や、ディスレクシアなど学習障害の子どもたちでのエビデンスも取得、紙やタブレット教材にも多く採用されています。2020年度の小学教科書の本文にも多く登場する信頼ある書体です。
・全ページに五十音のツメを表示してはじめの文字を大きく示し、すべての漢字にふりがなを付けました。1年生からの学習にもぴったりです。
●収録語数は類書中最大級の36,500語に
・各社教科書などから新たに1,000語を収録して、収録語数は最大級の36,500語となりました。ことわざや故事成語、四字熟語、慣用句も多数掲載し、用例で実際の使い方がわかります。
●定評ある例解コラムがさらに充実
・定評ある豊富な例解コラムが、さらに充実しました。「ことばの勉強室」「使い分け」「表現の広場」「ことばの窓」「ことばを広げよう」の5種類、380のコラムで、言葉が楽しく学習できます。
●豊富な図版で理解を助ける
・動植物や身の回りの品、乗り物、人の体、地図など、1,000点近い豊富な図版が理解を助けます。
●漢字学習にも活用
・新学習指導要領にも対応しており、常用漢字は特別見出しでていねいに示しました。学習漢字には筆順や配当学年も表示しているので、漢字学習にも活用できます。
●納得の特典ポスター
・特典として「百人一首」「新いろはがるた」のポスターも付いています。
●かわいいデザインの「とらデザイン」も同時刊行!"


・誰にでも読みやすいUDデジタル教科書体を使用した、読みやすい紙面。
・色使いを工夫した、見やすいデザイン。
・わかりやすいイラスト、ていねいな解説と豊富な用例で言葉の理解を助ける。
・総ふりがなで、1年生から使える。楽しくためになる、380のコラム。
※特典:「百人一首」「新いろはがるた」のポスター付き。


【三省堂辞書チームが教える 辞書選びのポイント】

・同じ言葉を引き比べ、子ども自身が、探したい語にスムーズにたどりつきやすい辞書を選びましょう。
・子どもの手になじむ、軽く扱いやすいものを選びましょう。
そのうえで、子どもがいちばん気に入ったものを。

◆だれにとっても見やすく、わかりやすい「例解小学国語辞典」を作りたい
――今回、2020年の学習指導要領改訂に合わせて、『三省堂 例解小学国語辞典 第七版』が出版されました。新しくなった辞書のポイントを教えていただけますか?

細見:いちばんのポイントは、小学生向け国語辞典として初めて「UDデジタル教科書体」を見出しに採用したことです。紙面デザインもカラー化とともに刷新し、「すべてのお子さんが安心して学べるデザイン」を心がけました。また、全教科の教科書を検討して、新しく見出し語とする言葉を選びました。
細見雅彦さん
――「UDデジタル教科書体」とはどんな書体ですか?

細見:そもそも編集委員会では、ゴシック体ではなく、手の動き(運筆)がわかりやすい書体を使いたいという強い希望がありました。UDデジタル教科書体は、そうした希望にそった、とめ・はね・はらいなどがわかりやすく、かつ見出しにもちょうどいい太さの書体です。詳しくは後ほど開発者の高田さんにお話しいただきます。
――カラー紙面の色使いには、具体的にどのような配慮をされたのでしょうか。

荻野:単に色を使ってカラフルな紙面にするのではなく、必要な部分に色を使うことを心がけました。色だけに情報を持たせないようにして、メリハリのきいた紙面になるように心がけました。デザイナーの八十島さんには苦労をおかけしました。
荻野真友子さん
◆子どもにとって、言葉の意味がわかりやすい辞書
――フォントとカラー紙面については後ほど詳しく伺うとして、他にはどんなことを検討されましたか?

細見:前から載っている言葉についても再検討し、ひとつの言葉について一時間以上も議論することもありました。例えば「基礎」「基本」「根本」といった、意味が似ていて堂々巡りになりやすい語も、どう説明したらそれぞれの違いがわかりやすいだろうかと、編集委員の先生方と一語ずつ議論を重ねました。
――新しく載せた言葉には、どのような言葉があるのでしょうか。

荻野:国語科だけでなく他の教科もふくめ、教科書に載っている言葉を多く取り上げました。例えば「詠み人知らず」「六歌仙」「連句」「六書」といった、国語で「これは何?」と思われるような言葉なども掲載しています。
また、最近のカタカナ語では、テレビなどでよく耳にする「ネイティブ」「マジョリティー」「マイノリティー」などの言葉の意味も掲載していますし、例えば「レジェンド」という言葉も、「伝説」だけでなく、最近の使われ方に合うよう、「伝説になるような人」と一歩踏み込んだ解説をしています。

細見:小学生がはじめて触れる辞書として、大人の辞書には載っていないような言葉も載せていることがあります。そのほか、これは前の版からですが、ことわざや四字熟語、百人一首など「伝統的な言語文化」に関わるものもたくさん載っています。
また、動植物の図版にイラストを多用していることも特長のひとつです。
例えば「タンチョウ」の赤い頭は、写真だとわかりづらいのですが、イラストにすることで特長をはっきりと見せることができます。
「タンチョウ」のイラスト。頭の赤い部分もイラストだとしっかり描かれています。
――コラムの多さも特長のひとつに挙げられていますね。

細見:例えば、「おさめる」といったときに、「納める」「収める」「修める」「治める」のどの漢字を使えばいいのか、大人でも迷うことがありますよね。「使い分け」コラムでは、それぞれの漢字の使い分けを、用例と合わせて示しています。
「使い分け」の他にも「ことばの勉強室」「ことばを広げよう!」など、5種類、380のコラムを用意しました。小学生が作文をするときにも役立つでしょう。
使い分けコラム「収めると治めると修めると納める」
◆紙面設計もユニバーサルデザイン
――「例解小学国語辞典」はページを開いたとき、とても文字を引きやすくてびっくりしました。八十島さんはデザイナーとして関わられて、いかがでしたか?

八十島:僕はどちらかというと文字組やタイポグラフィを得意とするデザイナーなので、辞書は自分のスキルを非常に発揮できる分野なんです。
辞書のデザインの依頼は初めてだったのですが、声をかけていただいて本当に光栄でした。UDデジタル教科書体も使うのは初めてです。後ほど開発者でいらっしゃる高田さんがお話しされると思いますが、2016年に発表された新しいフォントで、非常に明瞭、辞書にもぴたっとハマる感じがあり、よくできた書体だなと感心しました。
デザイナー・八十島博明さん
――デザインではどんなことに注力されましたか?

八十島:従来辞書などのカラー化に際しては、虹のような美しいグラデーションで分類項目を色分けする手法がよくとられていたのですが、隣り合った色が似た色だと、色覚特性のあるお子さんには見分けにくいのです。ですから、暖色と寒色を交互に入れて、見分けやすくすることを、最初にご提案しました。
色別分類カラー
また、紙面では、色のみで区別するのを避け、必ず文字や記号など形からも区別できるようにしています。あとは、赤や青など、なるべく言葉にできる色を使っています。「何色のところを見て」と表現しにくい色だと、先生とお子さんの間に認識の違いが出て、指導もしにくくなるかもしれないですから。
――色彩設計にも配慮されたユニバーサルデザインなのですね。

八十島:色だけに重要な情報を持たせない工夫も随所に施しました。クラスに1、2人いると言われる色覚特性のあるお子さんにも安心して使っていただけますし、色を多用しすぎることで集中力を削がれることのないよう、刺激の少ない色使いを工夫しています。
――ページを開いたときの印象がやわらかく、やさしい感じがします。

八十島:それはうれしい感想ですね。実は、紙面の中で装飾に使っているデザインも、角を落として丸みのある形にしています。総ふりがなですし、ひらがなを読めるようになったお子さんが使うことをイメージして工夫したことが、UDデジタル教科書体のやわらかさと相まって、やさしい印象になっているのかもしれません。
◆教育現場で広がりを見せるUDデジタル教科書体
――UDデジタル教科書体について高田さんにお聞きします。高田さんがこの書体を開発されたのは、どんなきっかけがあったのですか。

高田:多様な子どもたちのための教科書体がないと知ったことが開発のきっかけでした。もともとは、高齢化社会でお年寄りにも見やすい書体の需要が高まり、UDフォントが公共の場で求められるようになりました。その開発を進める中で、ロービジョン(弱視)研究の第一人者と言われる慶應義塾大学の中野泰志教授に出会い、お話しするうちに、UDフォントは高齢者だけでなく、子どもたちにも必要とされていると知ることになります。
そこからさまざまな障害のある子どもたちの教育現場を中野教授に紹介していただき、子どもたちや先生、支援者の方たちへのヒアリングをはじめて、UDデジタル教科書体の開発につながっていきました。
UDデジタル教科書体を開発したフォントデザイナー・高田裕美さん
――具体的に、どのような読みづらさがあるのでしょうか。

高田:例えば、教科書体や明朝体の細くなったり太くなったりする線の強弱は、ロービジョンの子には拾えなくて、太いところだけ強調されて目に入ってくるから、文字をとらえにくいんです。
一方で視覚過敏がある子の中には、はね・はらいなど、とがったところが自分に向かってくるような気がして、ストレスを感じる子もいます。そういった読みに困難さを抱えている子たちは、知的能力に問題があるわけではありません。
障害の有無に関係なく多くの子どもたちに読みやすい、手の動きを取り入れた自然な形状の教科書体を目指して、ヒアリングを重ねて何度も修正してやっとできあがったのがこちらの書体です。
――今回、新しくなった『例解小学国語辞典 第七版』を手にしてみて、いかがですか。

高田:今まで開発に協力してくれた子どもたちや支援団体の方たちが「自分たちが見やすい辞書が出版された!」と喜んでくださっているので、心からよかったなあと思います。
教育現場では、ICTの導入で電子黒板を使った授業をするとき、遠くからも見やすい書体としてUDデジタル教科書体が注目されています。
また、奈良県生駒市では、すでに市内の全小中学校でUDフォントが導入されています。というのも、UDフォントの有効性を試すため、市内の小学生を対象に、「正しい」か「まちがい」の丸付けをする問題を、一般的な教科書体と比較する実験が行われた結果、通常クラスの児童生徒にとっても読みやすく、読むスピードも上がるということが実証されたからです。

――障害の有無にかかわらず、多くの子どもたちの読みやすさにつながっていくのですね。

高田:辞書をきっかけに、たくさんの方がUDデジタル教科書体の「読みやすさ」に気づいてくださればいいなと思っています。
――辞書のおすすめポイントから書体開発の裏側まで、いろいろお話を伺いました。最後に、絵本ナビユーザーへメッセージをお願いします。

細見:書店にはいろんな辞書がありますが、いくつかの語を引き比べて、使いやすい辞書を選んでいただけたらと思います。気に入った辞書を入手したら、ぜひ身近に置いてください。
わが家にも小学生の子どもたちがいますが、上の子はベッドでよく本を読むので、ベッドサイドに辞書を置いています。下の子はテレビを見ていてわからない言葉を引くため、テレビのそばに置いています。辞書は使えば使うほどよさがわかる学習材です。
辞書編集は根気のいる仕事ですが、たくさんの方に使っていただけることがいちばんうれしいです。

荻野:辞書を選ぶとき、お子さんが扱いやすいかどうかはとても大事です。今はランドセルが非常に重くなっています。小学生のお子さんが学校へ持って行くときや自分で出し入れするときには、軽いほうがよいでしょう。また、手になじみやすいもの、めくりやすいものはどれでしょうか。
辞書の紙にはある程度の厚さ、丈夫さも必要です。そして、お子さんが言葉を探すとき、どの辞書だったら、探しやすいのか……。探し求める言葉への到達のスムーズさを、選ぶときのポイントにしていただけたらと思います。

八十島:今回、できあがった辞書から、やわらかい印象を受けたという感想がとてもうれしかったです。ぜひ使っていただけたらと。

荻野:お勉強のために!という辞書ではなく、ちょっと身近な相談相手の感じがいいですよね。
今回、国語辞典にはもうひとつカバーデザインの異なる「とらデザイン」があります。こちらは『こども六法』などで人気の伊藤ハムスターさんがイラストを描いてくださいました。ふつう版はサタケシュンスケさんのイラストです。どちらも、親しみやすい辞書になっています!
高田:はじめてUDデジタル教科書体を使っていただいた辞書を、これまで協力くださった方々にも広く伝えていきたいなと思います。個人的には、趣味で俳句を楽しむ高齢の母やその友人にも「老眼でも読みやすい」と喜ばれたことがうれしかったです。
祖父母と孫が一緒に読んでもいいし、本当に、みんなが読めて、みんなで使ってくださるという、そんな場面が増えていったらいいなと思っています。
――ありがとうございました!


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