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連載

【連載】木村カエラはじめての絵本出版記念連載「私の出会った絵本たち」

KADOKAWA

2018/03/29

【連載】ねむくんとココロちゃんはこうして生まれました!

【連載】ねむくんとココロちゃんはこうして生まれました!

2017年から、木村カエラさんが手がけてきた絵本が、ついに完成間近となりました。『ねむとココロ』というタイトルのこの絵本、いったいどんなお話になったのでしょうか?
第3回では、絵本を出版することになった経緯や、『ねむとココロ』(KADOKAWA)ができるまでの楽しさや苦労など、制作秘話をお伺いしました。
●「モヤモヤした気持ちをどうしたらいいの!?」というのが、『ねむとココロ』の物語の出発点になっています。
――「いつか絵本を作りたい」とおっしゃっていたカエラさんですが、実際に「絵本を作りましょう」というお話をいただいたときには、どんなお気持ちでしたか?
「とうとう、踏み出すときか」と思いました。みんなもそうだと思いますが、すごくやりたかったことでも、初めてやるときはすごく勇気が必要で。でもせっかくチャンスをいただいたので、自分のためにも、夢のためにも「やらなきゃな」と思いましたね。

――絵本のアイデアはすぐに浮かびましたか?
もともと「この歌詞は絵本にしたらこうなるだろうな」と思いながら歌詞を書くことが多いんです。子どもから大人まで、いろんな人に共感してもらいたいと思うと、絵本のようになるんですね。『ねむとココロ』も、新しく絵本の内容を作るというよりは、先にアイデアがありました。
――元になったアイデアとは、なんだったのでしょうか?
2016年にリリースしたアルバム「PUNKY」に収録されている、『BOX』という曲です。
歌詞を書くときは、自分の実体験や、感じていることをもとにしています。『BOX』の歌詞を書いたときには、自分らしさがうまく表現できなくなった瞬間があって、「おかしいな」と悩んでいた時期で。なぜだろうと思ったときに、真っ先に「大人になってきたんだな」と感じたんです。自分のことよりも、周囲のことを考えられるようになることが大人だと思っているんですが、そうするとやっぱり、どこかで自分を抑えたり、我慢したりすることが増えてくる。
もちろん、周囲に対する思いやりを持つことはよいことだと思いますが、音楽を制作する場合には、逆にそれが少し邪魔をしてしまうときがあって。それで、自分を信じて作品を送り出すというバランスが、うまくとれなくなってきたんです。自分の作品に対して「私らしくない」と感じたというか。
そんな「モヤモヤした気持ちをどうしたらいいの!?」というのが、『ねむとココロ』の物語の出発点になっています。
主人公のねむは、モヤモヤした気持ちを抱えた男の子です。
ふしぎな世界に迷い込んだねむは、なくしてしまった「たいせつなもの」を探しに行きます。
ねむは、「たからもの」を探しているときに、ココロに出会います。
でもココロは、ねむに対して怒っている様子。
――『ねむとココロ』には、ねむくんとココロちゃんの2人が登場します。どちらのキャラクターが先に生まれましたか?
ココロちゃんです。「心」なので、イメージはそのままハートです。そこに顔があって、ちょっとふしぎみたいな。私はボーダー柄がすごく好きなので、必ずどこかにシマシマを入れようとか、人間らしくないほうがいいけど、顔の色は人間と同じがいいなとか、スケッチをたくさん描きながら作っていきました。
カエラさんが指を指している絵が、最初に描いたココロちゃん。
顔を変えたり、髪の毛をはやしたりして、「人間と心のダブル」みたいなイメージを追求したそう。
――ココロちゃんは、どんな子ですか?
やんちゃで、口が悪い感じの子です。パッと見かわいいんだけど、よく見ると気持ち悪いみたいな。
――偉そうな態度だけど、なんだか憎めないかわいさがありますね。ねむくんは、どんな子ですか?
とっても心がやさしい子です。やさしいからこそ、我慢して、傷ついてしまう。ねむくんは、なんとなく描き始めたら、すんなりできあがりました。
ーーカエラさんは作詞をなさっているので、文章を書くことには慣れていらっしゃると思いますが、絵を描くことへの挑戦はいかがでしたか?
小さいころから、絵を描くのは好きだったんです。これまでも、ファンクラブの会報でイラストを描いたり、グッズのデザインで絵を描いたりすることはあったんですが、絵本のように本格的なものは初めてです。
――絵本の絵を描くのは初めてということで、紙や画材選びから始めたと思いますが、絵を描く作業はどうでしたか?
絵本に挑戦し始めたときは、まだ『BOX』の歌詞を書いたときの、モヤモヤした感覚を引きずったままだったんです。それが画材選びにもすごく影響していていますね。
もともと自分が好きなものがわかっていて、その答えにたどり着いていたはずなのに、「違う描きかたをしたい」「だれかになりたい」「他人のように描きたい」という思いが邪魔をして、描き始めるのにすごく時間がかかってしまって。そうしたら、編集者さんに「絵で悩んでいますよね」と言われて、「ばれている!」と(笑)。
――編集者さんは、カエラさんのことがよくわかっているんですね。
そうかも。言われてはじめて、「そうだ、私はポスカとクーピーの組み合わせが好きだったんだ」と気づいたんです。そこから、一気に描けるようになり、描けば描くほど、どんどん自分らしさが戻ってきて。だからある意味、この絵本を作ることで自分自身を取り戻すことができて、すごくよかったです。

――では、『ねむとココロ』の絵を全部描くのに、どのぐらいかかりましたか?
2週間ぐらいで、集中的に。私は、頭の中がその世界に入った瞬間にやってしまわないと、次の日になったときに、どんな色を使ったのか、どうやって描いていたのかも忘れちゃうんです。だから逆に、集中力を切らさないようにしました。
――絵を描いている間、苦労したことはありましたか?
描いていること自体が、すごく楽しかったんですよね。苦労は……床に落ちた消しゴムのカスを拾うのが大変だったことかな(笑)。
――カエラさんが、作詞や絵本を作るときにどんなアプローチをしているのか、とても興味深いお話をたくさん伺うことができました。次回は、発売直前に迫った『ねむとココロ』の絵づくりについて、さらに詳しくお話を聞きたいと思います。ありがとうございました。
インタビュー・文:中村美奈子(絵本ナビ編集部)
撮影:コザイ リサ

ねむとココロ ねむとココロ」 作:木村 カエラ 出版社:KADOKAWA

いつも何かモヤモヤとした気持ちを抱えていたねむ君=B
そんな気持ちをどうしていいかわからなくなった時、
ココロちゃん≠ノ出会います。
そして、ココロちゃんと話していくうちに、ねむ君は、
本当の自分の心≠ノ必要なものは何かということに気づいていく……。


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