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		人と上手につきあえない、コミュニケーションがうまくとれない、想像力がとぼしい・こだわりがある……それがアスペルガー症候群[高機能自閉症]のつよしくん、えりかさん、あきらくんの特徴です。この絵本は、「なるほど、おともだちのちょっとふしぎな行動には、こんな理由があるんだ。じゃあ、こうすればもっと楽しく過ごせるね!」……そんな気づきをもたらします。
 
 学校やおうちでよく見られるケースをイラストでわかりやすく伝え、学校の授業や暮らしの中でできる工夫を具体的に紹介。子どもと大人がいっしょに考え学べる工夫がいっぱい!
 
 ■もくじ――
 第1章 どうしよう!?こんなとき
 つよしくんの場合――授業に集中できない
 つよしくんの場合――思い通りにならないとパニック
 えりかさんの場合――会話がかみ合わない
 えりかさんの場合――グループ行動ができない
 あきらくんの場合――100点でないと気がすまない
 あきらくんの場合――ドッジボールができない
 ふりかえってみよう
 
 第2章 アスペルガー症候群って何?
 ○アスペルガー症候群は自閉症のひとつ
 ○自閉症の特徴は3歳くらいまでにあらわれる
 ○アスペルガー症候群の特徴
 ○手助けのポイント
 
 保護者の方へ
 参考資料など
 
 
		 困った子ではなく、困っている子今や、ADHDやLD、アスペルガーを含む発達障害者は、17人に1人といわれています。しばしば、「困った子」といわれてしまう彼ら。
 けれど、彼らは、困った子、ではなく、「困っている子」なのです。
 
 この本は、知的障害を伴わない自閉症、アスペルガーについて、書かれている本です。
 
 授業中、いきなり教室を抜け出す子。誰もがわがままだとしかとらないでしょう。
 けれど、彼(彼女)にとって、先生の立て板に水のごとく話す言葉は、「スワヒリ語」なみに理解不能の言語なのかもしれません。(スワヒリ語をよくご存知の方には申し訳ない表現です…すみません)
 いつもと違う、課外授業についていけない。この子は、いつもと違う流れを、大変不安に思っているかもしれません。
 けれど、そういう子供も、絵に描いて説明してやったり、やることの順序を前もって教えたり工夫してやれば、見事に才能を花開かせることができるのです。
 
 アスペルガー当事者である、翻訳家のニキリンコさんと、作家の藤家寛子さんが共同でお書きになった本を、以前読んだことがあります。
 これは、とても大変かもしれない、と私は感じました。
 自閉症は、心の病ではなく、うまれつきの、脳の機能の障害なのですが、私たちが考えも及ばない苦労が、彼女たちにはあるのです。
 誰が、普段私たちが普通に行っている体温調節が出来ない人間がいる、と考えるでしょうか。
 誰が、嗅覚の敏感さゆえに、世の中は悪臭に満ちている、と感じる人がいると考えるでしょうか。
 皮膚の感覚が過剰に敏感で、雨があたると、非常に痛い、と感じる人がいると、誰が思うでしょう?
 「お客様の声をおきかせください」と書かれたホテルのメッセージを読んで、「意見や感想」と求められているのだな、ときづかず、「ワー!」と声をあげてしまう人がいると、あなたは考えられますか?
 (自閉症者は100人いれば100通りなので、不具合は人によって違いますが)。
 アスペルガーや自閉症の人は、そんな不具合を持ちながら、時にはわがまま、とののしられ、ときにはぐず、と非難されながらも、一生懸命生きているのです。
 
 ニキさんは、電車が到着するので、三列に並んでお待ちください、というアナウンスがあった場合、
 1人しかいないのに、三列になんて並べない、と非常に不安になるそうです。
 (言葉をそのままとってしまう為。ハイパー律儀とニキさんはおっしゃっています)
 藤家さんは、「お父さんがなくなったら、この置物を頂戴ね」と言ってしまったことがあるそうです。
 それは悪意があったわけではなく、「もし死んだら」というたとえ話が、人を傷つけると思わずに言ってしまったのです。
 
 私たちが、言葉も風習もよく分からない外国に来たら、誰でも不安に思うでしょう。
 そんな時にガイドになってくれる人がいたら、どんなに助かるか。そう考えると分かりやすいかもしれません。
 私たちは、困ったり、不安に思っているアスペルガーの方がいれば、
 「1人の時は、三列に並ばなくてもいいのよ」
 「人が死んだらっていう、たとえ話は人を傷つけるからやめようね」
 とガイドしてあげることが出来ると思います。
 彼らは、そうしてあげるだけで、ずいぶんと生きやすくなるでしょう。
 
 自閉症は、とても複雑な障害(障碍)だそうですから、
 私がこうして書いたことに、認識の間違いがあった場合は申し訳ありません。
 
 この本はとても分かりやすい本だと思いました。学級に一冊あれば、誰でもガイドになれる、とてもよい本なのでは、と感じました。
 (ルートビアさん 30代・ママ 男の子4歳)
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