
ホイホイは、ともだちのフムフムを さんぽにさそいました。「こっちのあしを だし、つぎに こっちのあしを だしてすすむ。それが さんぽ」。一度も さんぽをしたことがない フムフムに、そう説明しますが……。のんびりとした時間が流れる、1975年にアメリカで刊行された楽しい物語。

ちょっと立ち止まりたいときに
1975年から読み継がれているロングセラーと伺い、時代を超えて愛される物語の魅力を知りたくて、8歳の息子とページを開きました。「散歩とは何か」という素朴な問いから始まる、哲学的な香りのするユーモラスな設定に、親としては大きな期待を抱きました。
しかし、せっかちな性格で、物語の展開を早く知りたい息子には、この作品に流れるゆったりとしたリズムが合わなかったようです。「それで、どうなったの?」と先を急ぐ彼にとって、ホイホイとフムフムの少し噛み合わないのんびりとした対話は、もどかしく感じられたのかもしれません。言葉の定義をめぐる面白さは、もう少し幼い年齢か、逆にもっと物事を深く考える年齢の方が楽しめるように思え、8歳という年頃には少し幼く映ったようでした。
この本は、明確な起承転結を追うのではなく、友人と過ごす何気ない時間の豊かさや、物事の過程そのものを味わうことに価値を見出す作品なのだと感じます。効率やスピードが重視されがちな毎日の中で、あえて「立ち止まること」を描いているのでしょう。
今回は息子の好みとは少し異なりましたが、この読書体験を通して「うちの子は今、こういう物語を求めているんだな」という個性や成長段階を再発見できました。なぜ退屈に感じたのかを話し合う、良い対話の機会にもなりました。 (マドレーヌさんさん 30代・ママ 男の子8歳)
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