鬼ばばの島

鬼ばばの島

  • 児童書
著: 今井 恭子
絵: 阿部 結
出版社: 小学館

在庫あり

税込価格: ¥1,430

  • ◆『見積書』は商品を買い物かごに投入後、作成いただけます。
  • ※かごに入れても商品の確保は完了いたしません。お急ぎの際には、お早めに購入手続きの完了をお願いいたします。
  • ※「取り寄せ注文する」の際には、出版社の在庫状況により、お取り寄せできない場合がございます。あらかじめご了承ください。

作品情報

発行日: 2021年09月16日
ISBN: 9784092893153

出版社のおすすめ年齢:低学年〜
98ページ

みどころ

“大海原のどまん中、まめつぶほどの小島に、鬼ばばはくらしていた。

その体は海を立って歩くほど大きく、ヤブのようなもしゃもしゃの髪を海にひたせば、そこにたくさんの魚が引っかかる。

クジラを取って食うほどに強く、その力は、山を叩けばぺしゃんと潰してしまうほど。

おばばに、家族はなかった。

父親のことは、ぺろりと食べてしまった。きびしい飢えをしのぎ、我が子に乳を飲ますため。

そんな子どものことも、住みやすかろう南へ捨てた。鬼ばばの子は大食らいで、ふたりで住めば島が潰れる。

「かまわんとならんもんが、おらんのはええ。いつくたばってもええ」

それが口癖のおばばは、なにも持たず、たったひとりで生きていた。

そのはず、だったのに。”

しずかに生きるおばばの元へ、流れてきたのはひとりの若者。潮の流れのせいで、もう帰ることはできないと知らされた若者は、おばばと共に島で暮らす。おばばもかいがいしく若者の世話を焼くが、彼は、いつも彼方の故郷に焦がれていた──「やっかいなもん、ひろうてしもた」

おばばが出会ったのは、クジラの腹から飛び出した、ひとりの子ども。その子は「生きているものを殺したくない」と、魚を食べようとせず、次第にやせ細っていった。「それなら人間の土地で、坊主になるほかない」、そう考えたおばばは、危険を犯して人間の暮らす土地へ向かう──「なさけないもん、ひろうてしもた」

他二篇を収録した、鬼ばばと漂流者との出会いを描いた短編集。

ひとりで生きることを良しとし、招かれざる同居人をうとましく思うおばばですが、それというのも、その扱いや行く末に悩むがゆえのこと。

「かまわんとならんもんが、おらんのはええ」

おばばの口癖は、裏を返せば「誰かがいれば世話を焼いてしまう」という、やさしい人柄の表れです。

「男が弱気になると、おばばはひそかにうろたえた。のどが、ひくひくふるえた。どうしてよいやら、わからないから、自分に腹が立った。
男が遠くをながめていると、胸の底がちんと冷えた」

「毎夜おばばは、さぶん、さぶん、波のつぶやきを聞きながら、もそもそ起きあがっては、ねむりこけた子どものひたいをなでた」

「秋の海はひんやりしていたが、犬がふせているへそのあたりだけは、ぽちりとあたたかかった」

オノマトペや、細かな風景描写にさえおばばの秘める人の良さがにじみ出ていて、ほほ笑ましい作品です。

しかし、本作で特に胸に刺さったのは、おばばのやさしさよりも、その怒りです。それは、鬼ばばの住む島に宝があると思い込んでやってきた、人間たちに対して抱いたもの。

父さえ、子さえ捨てて、それでも生きてきた自分が、いったい何を持っているというのか──

島に侵入した盗人たちを前に、腹もはち切れんばかりのおおきな怒りを抱いたおばばは、どうするのか?

その決断のやるせなさ、やりきれなさに、つよく胸を締めつけられました。

結末の先の余韻まで、切なさ香る一冊です。

(堀井拓馬  小説家)

出版社からの紹介

すべてをすてても、やさしさはすてられない

青海原の小さな島に、大きな鬼ばばが一人くらしていた。
「かまわんとならんもんが、おらんのはええ」と言いながらも、島に流れ着くあれやこれやをついつい拾って世話してしまう・・・・・・。
第1章 やっかいなもん、ひろうてしもた
第2章 とんでもないもん、ひろうてしもた
第3章 なさけないもん、ひろうてしもた
第4章 うっとうしいもん、ひろうてしもた
あるがままに生きるおそろしい鬼ばばの、愛情深い4つの物語。


【編集担当からのおすすめ情報】
小学生から大人のかたまで、広くお手にとっていただきたい、心に響く物語です。

ベストレビュー

なんて深いお話・・

本当は心優しい鬼ばばの
4つのお話が、連作になっています。

第1話で
旦那を食べて、息子を投げ捨てるシーンが、余りに強烈で、
その「どうしてー」という気持ちを整理しながら読み進めることになります。
お話が進むにつれ
さいごには、なんとも心がじわーと暖かくなるというか
湿り気を帯びるような感じがしてきます。

鬼ばばの気持ちを推し量ると
鬼婆が、時に自分に、時にだれか身近な人に見えてくる
とても不思議なお話です。
(やこちんさん 50代・ママ 女の子18歳)

今井 恭子さんのその他の作品

キダマッチ先生!9 先生 ほうきを 使う / チカクサク / キダマッチ先生!(8) 先生 南の島へ いく / 彗星とさいごの竜 / キダマッチ先生!(7) 先生 オコジョ病院へ いく / キダマッチ先生!(6) 先生 ヘソを 曲げる

阿部 結さんのその他の作品

どろぼうジャンボリ / おやつどろぼう / まよなかのかいじゅう / 飛ぶ教室 第75号(2023年 秋) / おじいちゃんのくしゃみ / ねむらせやのネミイ


PAGE TOP

  • 子どもに絵本を選ぶなら 絵本情報サイト 絵本ナビ
  • 絵本ナビスタイル 絵本から広がる子育て
  • 絵本の定期購読サービス 毎月お届け 絵本クラブ
  • 英語を絵本で楽しく学ぶ 絵本ナビえいご