

「しぬのは いやだな。しにたくないな。」
ふと浮かび、いつの間にか頭の中をいっぱいにしてしまうその言葉。死んでしまったら、どうなるの? 忘れられてしまうの? 小さくたって、誰にでも平等にやってくる、そんな不安。
けれど、この絵本の女の子は、その気持ちをうたってみたのです。
♪わたしは しなない おんなのこ〜
その歌を聞いていたのは、台所へやってきたねずみ。ねずみもまたその歌をうたいます。さらに、ねずみと出会った猫、ノミ、ウナギ、みんなが歌をうたい続け、いつまでもその歌は生き続けたのです。
そして、ある時耳を澄ませていたのは……。
子どもの頃、死んで、忘れ去られ、失われてゆくことが、怖くてしかたがなかったのだと、作者の小林エリカさんは巻末で語ります。そんな彼女が出会ったのが、アンネ・フランクの『アンネの日記』。そこに書かれていた言葉に感銘し、この絵本を描くきっかけにもなったのだと。
たとえ自分がいなくなったとしても。いつか誰かが、その声を見つけてくれるのかもしれない。女の子の力強い目が、まっすぐ伝えてくれているようです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

女の子は死にたくないと、それを歌にしました。 ねずみ、猫、ノミ、ウナギ…みんなが歌い継ぎ、歌は生き続けました。
アンネ・フランクの言葉に着想を得た著者初の絵本作品。

生きているという事
「闇は光の母」シリーズの1巻。
衝撃的な題名、そして、表紙絵の女の子の強いまなざし。
死について考えてみた女の子。
死にたくないという思いが「わたしは しなない おんなのこ」という歌になるのですね。
その歌が次々と連鎖して、歌い継がれて。
言霊、でしょうか。
その着地点は、生きているという事。
作者が、アンネの日記から感じた思いを作品にしたそう。
ショッキングピンクに近い配色は、女性の象徴でしょうか。
静かに感じ取りたいです。 (レイラさん 50代・じいじ・ばあば 女の子2歳、女の子1歳)
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