
「おそとねこ」。 飼い主のいない、外で暮らす猫たちをこう呼ぶ。
家の中で、家族の一員として暮らす猫たちがたくさんいる中で、外暮らしを余儀なくされている猫たちも数えきれないほどいる。みんな、おなかをすかせて、毎日をどうにか生き延びている。そんな猫たちの声なき声を、猫の飼い主歴30年以上の著者が詩に託した。日本画家の長沢 明さんが、力強く温かい絵で詩の世界をダイナミックに表現している。子供から大人まで幅広い世代に読んでもらいたい、命を考える絵本。
人の都合で翻弄される猫たち。彼らはどんな気持ちで生きているのだろうか。
ひっこしするから ねこはつれていかない こんどはいぬをかうから ねこはいらない こねこをいっぱいうむから ねこはいらない びょうきになったから ねこはいらない
こうしてぼくらは おそとねこになった
あたたかいおうちからおそとへ ごはんはもうもらえない まいにちごはんをさがしてあるくのさ あたまのなかは ごはんだけ
だけどぼくらわすれない そだててくれたひとのこと だっこしてくれたひとのこと
きらわないで きらわないで こわがらないで こわがらないで おこらないで おこらないで すてないで すてないで
ぼくらいっしょうけんめいいきている ちょっとだけでいいから すきになって
ぼくらはおそとねこ
かだんにうんちするから ねこはきらい うるさくなくから ねこはきらい ごみばこをあらすから ねこはきらい こそこそしているから ねこはきらい
こうしてぼくらは きらわれものになった
こうえんでねていると いしをなげられ あっちへいけと おこられる あめがふったら ずぶぬれさ こんやのねぐらはどこにある
だけどぼくらわすれない ごはんをくれたひとのこと さとおやさがしてくれたひと
きらわないで きらわないで こわがらないで こわがらないで おこらないで おこらないで すてないで すてないで
ぼくらいっしょうけんめいいきている ちょっとだけでいいから すきになって
ぼくらはおそとねこ
猫の保護活動をしている方々にも届けたい一冊。
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