
糸であやつられるなんてまっぴらごめん。走って、とびはねて、広い世界へ出かけたいんだ!
むかしむかし、ジェペットという大工が小さな家にひとりっきりですんでいました。さみしいジェペットは、いつもいっしょにいてくれるあやつり人形を作ることにしました。愛情をこめてピノッキオと名づけると、それはただの人形ではなくなりました。なんと、生きているかのように、しゃべったり動いたりできたのです。ピノッキオは本物の人間になりたいと、勉強をしに学校へ向かいますが… ウソをつくと鼻がのびる「ピノッキオ」は、子どもが冒険を通じて大きく成長し、夢をかなえる物語。さらに著者が本書の最後で描いたのは、夢から覚めたピノッキオとあたたかい家庭の風景でした。
名作昔話を、こわすぎず、親しみやすく、現代にむけてアレンジした「世界の美しいおとぎ話」シリーズ3冊目。海外のお人形を思わせる大きな瞳、儚げな表情…アン・レイセンが描くイラストは、どこか影のある美しさを感じさせます。聞いたことはあるけどストーリーは知らない…そんな大人にも、おとぎ話の世界が広がるきっかけに。

ラストシーンに感動
アン・レイセンのアレンジした「ピノッキオ」の物語は、ひと味違いました。
自由奔放でジェペット爺さんの気持ちを顧みない、ピノキオの成長物語ではあるけれど、とりまく社会の邪悪さを絵で表現しようとしています。
絵で語るということに力を入れた作品です。
それだからでしょう。
ラストシーンでは、夢から醒めた夢ピノッキオを、両親が包み込む家庭劇になっています。
ジェペット爺さんがジェペット父さんになっていました。
妖精そっくりななお母さんも登場します。
この幸せな家庭を実感するまでの、試練の物語だと思ったら、ピノッキオのお話が、身近なところにあるような気がします。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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