
ガンピーさんが小舟で川下りをする途中、子どもやたくさんの動物たちが乗り込んできて……。夏らしさが伝わるさわやかなタッチで描かれた秀作絵本。ページごとに乗り込む仲間が増えていき、何やらだんだんにぎやかになっていきます。最後のすてきな場面に乞うご期待。ペンと色鉛筆を併用したイラストが、何でも受け入れるガンピーさんの優しさと重なり柔らかい作風をかもし出しています。小舟の背景にのぞく田園風景がのどかです。1970年英国ケイト・グリーナウェイ賞受賞。 ――(ブラウンあすか)

ガンピーさんが、小舟で出かけます。途中で、子どもたち、うさぎ、ねこ、いぬ、ぶた、ひつじ、にわとり、こうし、やぎ……と、つぎつぎに「乗せてください」と乗りこんできました。 はじめは、みんな仲よく乗っていましたが、さて、どうなるでしょう? バーニンガム独特のさわやかなタッチで描かれた、ケイト・グリーナウェイ賞受賞の傑作絵本が新版として生まれかわりました。

ほのぼの川くだり
ガンピーさんが小舟で出かけると、途中で子供たち、うさぎ、ねこ、犬、ぶた、ひつじ、にわとり、子牛、やぎが次々と乗り込んできます。子供たちには「けんかさえしなけりゃね」、うさぎには「飛んだり跳ねたりしなけりゃね」、ねこには「うさぎを追い回したりしなけりゃね」…とそれぞれ条件を伝えるのですが、その条件って実は彼らの本能そのもの。みんなが乗り込んでしばらくすると、みんなはいつもの自分たちに戻ってしまい……。
やさしく何でも受け入れるガンピーさんのキャラクターが魅力的。川くだりという英国的な田園の楽しみ方にも惹かれました。どんどん動物たちが乗り込んで小舟が狭くなっていく情景は「てぶくろ」を思い出したけれど、この作品のよさはむしろ劇的な変化よりもゆったり流れる午後の平穏さとそこにたたずむ主人公たちかな。
動物たちが登場する場面は右ページが彼らのポートレートになっていて、特に小さな子供たちを魅了することでしょう。(娘もこの右ページいっぱいに描かれた動物が大好き。)最後の方にアフタヌーンティーの場面が描かれているのですが、ほのぼのしていていいなー。テーブルの上のケーキ、いつかこれを焼いてうちでもアフタヌーンティーを楽しみたいなと思ったのでした。 (ムースさん 40代・ママ 男の子9歳、女の子4歳)
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