うそをつくとどうなるか?ということを読者に考えさせる絵本です。
劇画タッチで鮮やかな色彩を使い分けインパクトを出していますが、どことなくコミカルです。夢か現かで出会ういつもと違うみんなは怖いという表情の中にどこか『だめだよお』とたしなめているような表情が混ざってほどよく教えている感じが嬉しいです。まるで知っている人が演じていると分かっているお化け屋敷のような感じで。
みんなにうそをつかれた自分はものすごく困ってしまうよ、と思うウソスギくん、実はおとうさんおかあさんが大好きで(二人にはうそはつかないのでしょうね)、大切な二人を守るためにうそをやめよう、と思うなんて素敵です。うそをつくのはよくない、と直接伝えない手法は気づきを促すという点で効果的です。
現代は『こどもは褒めて育てる』という風潮です。その流れに乗ればうそに関しては、『うそをつくと相手が悲しむよ。うそをつかないといいことが起こるよ。』と教えるところでしょう。その中で『ほどよくたしなめて考えさせて気づかせる』本著は今のこどもたちにお勧めだと思います。