【内容】
田舎のおばあちゃんの家で暮らす事になった少年。おばあちゃんの家は、昔ながらの木と紙でできた一戸建て。古い家だ。天上が高い。少年は天上が気になって見上げていると、怒った顔の男の人がいた。ばあちゃんにその事を言うと…
古い家にまつわる何とも言えないおばけの話。
【感想】
田舎の古い家を知っているので、実に生々しい恐ろしさを感じた。絵が実にうまく、生き生きとした描写が、少年の不安や家の不気味さを余すところなく伝えてくれる。
ところで、この少年が一体何の理由でおばあちゃんの家で暮らすことになったのか、いつまでいるのか、年齢や家族構成などの細かいことは全く描かれていない。出てくるのはおばあちゃんと、少年、そして多すぎる猫。あらゆるところに猫がいて、どうやらこの家はおばあちゃんが一人暮らしをしている猫屋敷のようだ。いたるところに居る猫も、怖い。何でこんなにたくさんいるのだろう。この絵本は謎が多すぎる。話も断片的で、それまでの少年やおばあちゃん、梁の上に居る男の情報は語られず、またその後の少年の状況も判らない。突然始まり、プッツリと終わる。まさに怪談。読了した後、しばらくしてふと気になってしまうところも怪談。特に暗くなってから思い出したり、古民家や猫を見たら思い出したりする。本がない時間もたっぷり怖さを楽しめる。さすが、ベテランの作る絵本は凄まじい。
この絵本は、年齢問わず誰でも楽しめる。
特に、古い日本式の家で暮らしたことがある人、古い民家に泊まったことがある人は実にリアルに雰囲気を味わい楽しむ事ができるのでおススメ。また、田舎で恐怖を味わった人、猫が怖い人も楽しめます。この何とも正体不明の、つかみどころのない茫洋とした恐怖感、不安感は、ぜひ一度体験していただきたい。