表紙の結婚式から50年、とぅーさんとじゅーさんは仲良く暮らしていました。
でも今はじゅーさんひとり。
手が痛いじゅーさんに代わり、ごみ出しをしてくれていたとぅーさん。
自転車に乗れないじゅーさんに代わって、いつも買い物に行ってくれていたとぅーさん。
ひとりじゃ食べきれないたこ焼きはいつもはんぶんこにして……。
そんなとぅーさんはもういません。
でも、ごみ出しを手伝ってくれる若者がいたり、
自転車に乗れないなら、とたくましく歩いていくことを覚えたり、たこやきだって、ひとりで食べちゃって……。
描かれるのは、仲良しのとぅーさんとじゅーさんの幸せそうな姿。だからこそひとりになった時のさみしさは大きなものでしょう。けれども続いていく日々の中で、じゅーさんはどんどんたくましく生きていくのです。
いつか誰にもおとずれる大切な人との別れ。
とぅーさんとじゅーさんの50年続いた当たり前の暮らしは変わっていき、ちょっとした日常の場面で、相手の不在を感じることがあるでしょう。でも変わったら少しずつその変化に合わせて生きていく。そんな強さを人は持っているのだと、じゅーさんの姿が読む私たちを励ましてくれるようです。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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