子供のころから知っている有名なお話です。子どものころは、なんとなくかわいそうなお話だな、という程度で本を閉じるとそれでおしまいでした。
でも、今読むと、本を閉じたあとに余韻が残ります。
人魚姫は、恋は甘くやさしいものではなく、苦しいものだと知ってしまいました。けれどその苦しみを受け入れるのです。それが人魚姫にとっての幸せだったのです。誰にでもできることではないのですが、人魚姫の生き方は理解できます。
いわさきちひろさんの絵からは、人魚姫のういういしさや、一途な感じがつたわってきます。はかなくて透明感のある色がすてきです。