主人公の輝の気持ちが手にとるように描かれ、伝ってくるものが多かった作品。
ずっと続けてきた輝と母との決まりごと、母がベランダから手を振り、輝が答えるというもの。
家族の習慣は人それぞれで、思春期の発達も個人差があり、自分と人とは違うことを感じ始める年代。その短い年代を本当にうまく描いていると思った。
成長は、痛みをともなうものであり、その痛みを周りの人たちが温かく容認してくれる。
成長は、振り子のようなもので、今のままでいたい気持ちと今のままではいけないと思う気持ちの間で揺れるもの。
自分もかつて経験した小さな痛み、それは成長ということだったのだと思い起こさせてくれた。