サバンナで生きる動物たちのありのままの姿を写真に収め、世界的に高く評価される著者が描く、大迫力の写真絵本シリーズ。
やさしい目、独特の模様、そしてすらりと長い首。
今回のテーマはキリンです!
一頭の母キリンが、群れを離れて子を生みました。
生まれた瞬間から、多くの捕食者に命を狙われことになる、赤ちゃんキリン。
赤ちゃんが立ち上がり歩けるようになると、捕食者から逃れるために、キリンの母子は急いでその場を離れなければなりません。
本作の母子がそうして出産現場から逃げたのは、赤ちゃんが産まれてからわずか1時間後のこと!
しかも赤ちゃんは産まれるときに、2メートルもの高さから、どすん、と落っこちてくるのです!
地球上でもっとも背の高い動物であるキリン。
そのことを考えてみれば当然なのかもしれませんが、赤ちゃんが頭を下にして2メートルもの高さから産み落とされるだなんて、衝撃的です。
また、おとながエサを探しに出るとき、子どものキリンたちは一カ所に集められ、世話役を任された一頭のおとなと共に、その場に残ります。
そう、キリンはなんと、そうして『キリンの幼稚園』をつくるんです!
もちろんこの作品の魅力は、キリンの生態を学べるということにとどまりません。
このシリーズ最大のみどころはやはり、きびしいサバンナの自然を生きる動物たちの生態にせまった、生命力ほとばしる大迫力の写真です!
幼いキリンの首で羽を休める、カラフルなくちばしの鳥たち。
みずみずしい緑の木立にたたずむ、シマウマとキリンの模様のコントラスト。
サバンナをゆくキリンの親子、そのすらりと高い立ち姿の、なんと気高く優雅なことでしょう。
そして、獲物を探すライオンと、遠くでその様子をうかがう母キリンをひとつのフレームに収めた一枚は、思わずこちらも息をひそめてしまうほどの緊張感!
まさしくこの一瞬を切り取ったからこそ伝わる、エネルギッシュな野生のリアルは、映像や動物園で見るのとはまた違う迫力に満ち満ちています。
おとなにもぜひ読んでほしい、楽しく学べる一冊です。
(堀井拓馬 小説家)
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