引っ越してきたばかりの女の子のミル。お父さんに先に行って家のカギをあけてと頼まれます。実は、ここは半年前に亡くなったおばあちゃんのうち。ミルもよく知る家のはずなのですが……どこからかクッキーのにおいがする!? もちろん、おばあちゃんはもういないし、お母さんは「お弁当にクッキーは入っていないわ」といいます。じゃあ、どこから匂いは漂ってくるの?
ミルの鼻がくいくいっと上下、左右に動くところに笑っちゃいます。おにぎりの中身も当てられるし、寝ているときも鼻が匂いに反応するなんて。こんなに食いしんぼうだからこそ、見つけちゃうんですね。夜中に台所の蛇口に座って、鼻歌を歌いながら、お皿を指で操っている……小さな小さなおばさんを。さあ、不思議なおばさんを見つけたミル、ミルに見つけられたおばさんは、いったいどうするのでしょうか?
続きは本を読んでのお楽しみ! といいたいところですが、ちょっぴりネタバレすると、小さな小さなペティおばさんとミルは、夜中の台所で素敵な時間を過ごします。もちろん、あのクッキーの匂いのワケもわかりますよ。
台所にいつの間にかいて、おばあちゃんやお母さんを見守ってきたペティおばさんと、代々受け継がれるおいしいレシピ。竹中マユミさんが描く台所は隅々の小道具まで愛情いっぱい。ページをめくるほどに、あたたかい気持ちになる絵童話です。後ろの見返しには、まさに、おはなしに登場するチョコチップクッキーのレシピがついていますよ。
いつでも本を開けば、ペティおばさんが作り方を教えてくれるはず。読み終えたら、にっこり笑顔でいいましょう。ボナ・ペティ!
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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