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母方の農場にやってきたペネロピーは、ふとしたことから16世紀の荘園に迷い込み、そこで繰り広げられていた王位継承権にまつわる事件に巻きこまれる。時を往復する少女の冒険。
前から気になっていましたが、やっと読みました。
すっごく良かったです。
読み終わってからしばらく気持ちがその世界に浸ってしまいました。
アリソン・アトリーの作品は先に『グレイ・ラビット』のシリーズを読んでいたので、物語の切り込みの違いに最初はちょっと戸惑ってしまいまいました。
でも読み進めていくと、表現の似ているところがたくさんありました。
動物の動きや、農場や森の風景、この世界に吹いている風の動きなど、描かれている世界の情景がすごくよく見えるんです。
この文庫自体はわりと最近邦訳されたものですが、
アリソン・アトリー自体イギリスの古い児童文学作家です。
私たちが子どもの頃の基準だと、この本は小学校高学年くらいから中学生くらいのお子さんたちにお薦めできますが、今どきの子はこの手の文学的匂いのする作品にはなかなか手にしてくれないかもしれません。
それでも、小学校高学年くらいから中学・高校生くらいの間にできれば一度は手にして読んでほしい1冊です。
主人公の女の子・ペネロピーが、20世紀初めの自分の生きている世界と、16世紀の自分のご先祖様のいる時代を行き来する物語で、
今でいうSF小説のハシリです。
ファンタジックな描き方をしていますが、日本でいえば『時をかける少女』的な要素があって、
16世紀に実際あった出来事と作者自身の故郷での思い出を上手く織り交ぜた素敵な物語です。
はっきり形にはしていませんが、ほんのり芽生えた恋も描かれていて、ロマンチックなお話や歴史が好きな人にもお薦めできます。 (てんぐざるさん 40代・ママ 女の子16歳、女の子11歳)
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