読み終えた時、これはアメリカ版の「窓ぎわのトットちゃん」だと感じました。学校という社会の片隅に置かれた子供たちを、一人の教師の眼差しが救い出す、作者自身の体験に基づいた感動的な物語です。
「がらくた学級」とレッテルを貼られた子供たち。型破りなピーターソン先生は、彼らの中に眠る才能の原石を見抜き、本物のがらくたから飛行機を創り上げるという壮大な夢を与えます。誰にも期待されなかった子供たちが、一つの目標に向かって輝き始める姿に胸が熱くなりました。
生徒たちが後に各分野で大成したという事実は、私たちに大きな希望を与えてくれます。しかし同時に、現代においてもなお、子供たちが同じような環境に置かれている現実を思うと、胸が締め付けられます。
この物語は、単なる絵本の枠には収まりません。子供一人ひとりの個性をどう見つめ、その可能性をいかに引き出すか。教育に携わる全ての人に、その重く、そして尊い問いを投げかける必読の書です。姉妹編の「ありがとう、フォルカー先生」と併せて読んでみようと思います。