父親が亡くなって、母と暮らす主人公の少年が、学校の友達との出来事を通して様々なことを深く考えていきます。
恵まれた家に生まれているのに、孤独のある友人。
貧しい家に生まれ、同級生にいじめられているのに、心の美しい友人。
その中で自分はどうなのか。
その掘り下げ方が、叔父の力を借りているにせよ、到底中学生とは思えないような深さで、考えさせられます。
読んでいると、昔の日本人がいかに多くのことを学び、知識として得ていたか、現代の自分は、沢山のことを学んできた筈なのに、足りないと痛感します。
最後の方に出てくる、上級生との諍いのエピソードは、何度読んでも心が痛くなります。
それぞれの立場を深く考え、どうすべきなのか、どうありたいかを諭していく叔父や、遠くからそっと見守る母の姿も、偉大で美しいと感じました。