こういうことってありますよね。近しい間柄だと、特に。「すき」と「きらい」を行ったり来たりしながら、でもやっぱり、一緒にいると楽しいなあ、と思う相手のことを、こどもたちは「ともだち」と表現するのでしょうね。
こどもたちが必ず体験することをシンプルに表現した、子どものこころに添った一冊だと思います。ウチの息子はいっぺんで大好きになりました。
ジョンが「ジェームズなんか だいきらいさ」とつぶやくページは、皆おなじ構図です。見開き左端にジェームズの背中。本からはみ出しています。右端にジョンの背中。真ん中に大きな余白。この余白が、ジョンのこころの内を何よりも語っています。本からはみ出しているジェームズは、何を考えているのでしょう。
そして、『転』に当たるページでは、この余白を埋めるように二人の言葉が配置されています。ことばが届く、というのは、まさにこんなイメージだな、と思いました。とても知的な絵本だと思います。