きょうは やまに
- 文:
- 柴田 聡子
- 絵:
- ハダ タカヒト
- 出版社:
- 講談社
絵本紹介
2025.07.11
「じゅう かぞえるまでに、かーえろっ」女の子が足を踏み入れた山は、おそろしくてかわいくて……!? 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『きょうは やまに』。声に出して読むと楽しい「はちゃめちゃジェットコースター山登り絵本」、どんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
「じゅう かぞえるまでに、かーえろっ」
この山は、おそろしくてかわいくて、とんでもない!? 女の子と一緒に読者も迷い込み、心配になってきた頃、目の前には違う景色が見えてきて……。
まるでジェットコースターに乗ったような、はちゃめちゃで爽快な気持ちにさせてくれるこの絵本は、シンガーソングライターとして活躍されている柴田聡子さんが初めて手がけられた作品。理解不能な響きの言葉が並んでいるようで、声に出して読んでみればテンポ良く、不思議と状況や展開を感じることができるのです。
その響きの後ろに広がるのが、画家ハダタカヒトさんの描く濃厚で怪しげ、かつ可愛くて美しい山の世界。いったい何が起きたのか!? 読んだ後、山に行きたくなるような、ならないような。今までに出会ったことのない、クセになる山登り絵本の登場です。
ちょっと怖いけれど、それでも
こんもり丸く、深い緑に覆われた山は、遠くから見ていても、なんだか生きているような、動いているような。自分はこの山に歓迎されているのかな、されていないのかな。絵本の中の出来事は、十数えている間のほんのひと時。それなのに、信じられないほど濃密な時間が流れていて。ちょっと怖いけれど、それでも好奇心をくすぐられてしまう。そんな山に対する気持ちのあらわれの一つなのかもしれません。私もちょっとだけ、踏みこんでみようかな……。
この書籍を作った人
シンガー・ソングライター。北海道札幌市出身。武蔵野美術大学卒業、東京藝術大学大学院修了。大学時代の恩師の一言をきっかけに活動を始める。歌うことを中心に活動の幅を広げ、詩やエッセイなどの寄稿も多数。『きょうは やまに』(絵:ハダタカヒト/講談社)が文章を手掛けた初の絵本となる。
この書籍を作った人
絵描き。兵庫県生まれ。長野県在住。個展を中心に絵を発表し、主に子どもの本の挿絵、絵本の作画を手掛ける。絵本に『ろじうらの伝説』(作:柳家喬太郎 編:はばけんいち/あかね書房)、『まどのそと』(作:佐野史郎 編:東 雅夫/岩崎書店)、『きょうは やまに』(作:柴田聡子/講談社)など。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。